もう一つ。2016年、ヒラリー・クリントンが負けたのに、2020年にジョー・バイデンが勝ったのは、バーニー・サンダースが支持したからですよね。2016年もバーニー・サンダースは民主党の指名を求めて、最後まで争いました。だが結局ヒラリーに負ける。今回も結局は負けたのですが。違いがありました。2016年の選挙の時は民主党の組織をヒラリーが押さえていて、あまり人が見ない時間に討論会をやるとか、討論会の数を削るとか、何かもう裏から仕組んでバーニー・サンダースが負けたという感覚を多くの人が受けました。もちろん、バーニー・サンダースも、バーニー・サンダースの支持者も、そう思ったわけです。だからバーニー・サンダースは一応、ヒラリー支持と言ったのですが、全然心がこもっていなくて、彼の支持者は11月の本選挙では選挙に行かなかった方が多かったですよね。「ヒラリーなんかに入れるもんか」と。で、選挙に行った人はトランプに入れたんですよね。ヒラリーの、貧乏人の代表みたいな顔をしてウォールストリートの1回の講演で何百万円も謝礼をもらっている。あんな女なんか絶対に許さない。リムジンに乗った民主党員なんか許さないという人が多かった。今回はバーニー・サンダースが好きとか嫌いとかの問題じゃなくて、トランプにもう一回やらせるわけにいかないだろうと。ぜひ選挙に行ってトランプを落としてくれ、とバーニー・サンダースが支持者にうったえました。 サンダースに言わせれば、ジョー・バイデンとは意見は違う。いろいろあると。俺は勝ちたかったけど、アイツが勝ったと。それは残念だけど、ジョー・バイデンというのはまともな奴だと。そういうことを訴えた。それがやはり大きかったと思います。


じゃあ負けたトランプはもうやる気がないのかというと、やる気満々で、俺は若いんだ、エネルギーに満ちてるんだ、と訴えています。トランプさんが選挙集会でよく使う曲を知っていますか?「YMCA」って歌です。「俺は若いぞ、ヤングマンだ!」と訴えるためにです。


~「YMCA」に合わせてリズムを取るトランプの映像を流す ~


だからやる気は満々なんですよね。やる気は満々なんですけれど、トランプさんは1946年生まれですよね。あと3年後って、いくつですか?そんなに若くはないですよね、客観的に見ると。バイデンさんは1942年生まれですよ。この間私、「ミッドウェー」という映画を見に行ったのですが、1942年はミッドウェー海戦の年ですよ。だからお二人とも、そんなに若くない。だから本当にこの二人のリターンマッチかな?という気はするわけですよ。


共和党の側はトランプが出ないのだったら、トランプの票をもらって出たいという人はもちろんたくさんいます。その代表が、もちろんトランプのそばにいたマイク・ペンス副大統領だし、もう一人のマイクですよね。つまりトランプの最後の国務長官をやっていたマイク・ポンペオですよね。ジョン・ボルトンはさすがに出る可能性がないのでほっとしているのですが、ただトランプが元気で出るんだったら、ペンスもポンペオも必要ないわけですよ。本物のトランプが出るんだから。偽トランプが出る必要はないわけですよ。


問題なのは、トランプじゃない人が共和党の代表になる時には、誰になるのか。それで注目されているのがこの女性ですよね、ニッキー・ヘイリーです。トランプに国連代表に任命されて、国連代表としてとことんイスラエルを擁護した人です。トランプの周りの人は皆トランプからクビにされて辞めています。ところが、このニッキー・ヘイリーだけは突然「私もう辞めるわ」と、トランプとうまくいっている時に言って、辞めたんですよね。一身上の理由と言うのですが、誰もそんなことを信じる人はいません。ニッキー・ヘイリーは、「このトランプという人とくっついているとヤバい」、「この男はヤバいぞ」、「早くこの船から降りておいた方がいいぞ」と思ったのではないかといわれているのですね。案の定、国連代表をめでたく辞めたヘイリーが、最近トランプ批判を口にし始めました。だからトランプが共和党の代表になるんだったら、それはもう仕方がないけれど、トランプ以外の人を選ぶ、その方がまともと思うのだったら私よ、ということをヘイリーが言い始めたわけです。ヘイリーは女性ですし、比較的若いし、ある意味共和党の星なんですよ。それでやはり注目しておくべきことは、この人はもともとインド系なのです。お父さんはシーク教徒の移民です。自身は、結婚してキリスト教に改宗したのですよね。そういう意味では、インドのメディアはこのニッキー・ヘイリーで盛り上がっているところがあります。印度パキスタン語を専攻なされた大阪外大の卒業生の方はご存知だと思いますが。


じゃあ、民主党は、というと。もうあと4年やったら、やはりミッドウェー海戦の年に生まれた大統領はもうちょっときついかなと思いません。そう思うとしたら、次は誰かなという。バイデンさんのテレビ演説の時によく見ていてほしいのですが、日本のニュースだと、喋っているところしか出てきませんが、演説を全部見ていると、バイデンは会場に走って出て来たりするんですよ。なんで走る必要があるのか、「俺は若いぞ、走れるぞ!」ということを見せたいんですよね。前、都知事選の時にいろんなことをやる、真向法とかをやる候補者がいましたけれど。だから4年後、もしかしたらバイデンはないかもしれないと思ったら、次はというと、当然副大統領ですよね。それでカマラ・ハリスという人に今、注目が集まっているし、カマラ・ハリスはもう各国の首脳に電話したりして、大統領のように振舞っているのですよ。だから「副」という字がすごく小さく見える。


このカマラ・ハリスはどういう人なのか、ということです。カマラ・ハリスが女を上げた、こういう人がいるんだと彼女の選挙区以外の人が思ったのは、大統領選挙の予備選挙の時です。結局バイデンが勝ちましたが、1年前を覚えていらっしゃいますか。民主党からたくさんの候補者が出たんですよね。バイデンとその他だったわけです。だからバイデンが本命で、バイデンを倒さないと誰も自分に勝ち目がないことは分かっていました。その時に、ハリスがバイデンに?みついたわけです。何を言ったかというと、バイデンって、1970年代から50年も政治家をやっているんですよね。だから、叩けばやはり埃が出るんですよ。どういう埃が出るかというと、バイデンは議会にいて共和党と妥協を繰り返して、いろんな法案を通してきたから、あまりカッコよくないこともしてきているわけです。民主党的には嫌だなという人たちとも付き合ってきているのですよね。


70年代に割と大きな問題だったのは、60年代、70年代、やはり人種隔離、人種差別が激しくて、黒人の地区は、その地区の人の税金で学校が運営されるから教育がすごく貧弱なんですよ。白人の地区はすごく教育が良いわけですよ。これでは教育が平等ではないというので、黒人の貧しい子どもたちを朝バスに乗せて白人の学校に通わせる、人種の融合をやったのです。Busingバシングというのですが、黒人の間ではもちろん人気がありましたが、白人の父兄はものすごく嫌がったんですよ。「え、黒人の子なんて、うちの学校に入れないわよ」というので反対がすごく強かったのですね。それでバシスイングに反対したんですよ、バイデンは。その方がやはり選挙には良かったから。それを突いて、あなたは人種主義者ではないけれど、昔は間違えたでしょう?と。あのバシングに反対したでしょうと。あの最初のバスに乗って、白人の学校に行った世代にいたのが私よ、と訴えました。バイデンが予想外のことを言われて、ちょっとよろめくというシーンがあります。


~カマラ・ハリスとバイデンとの討論シーンを流す~


というシーンです。このハリスのキャンペーンのすごいのは、こうやってバイデンに?みついた瞬間にインターネットに「あの時にバスに乗っていた子どもは私」というメッセージが流されます。そして?カマラ・ハリスTシャツを買って、カマラ・ハリスを応援しよう“というCMがネット上を駆け巡りました。何というか、本当にすごい女だなと思わせるキャンペーンですよね。実際に仕切っているのは、ハリスの妹だと言われていますが。これがあったので、バイデン周辺は、やはりハリスはひどいと。なんか闇討ちにして、一斉にTシャツを売るような女だから、バイデンはハリスを副大統領には指名しないのではないかと言われていました。けれど、バイデンはやはり懐が深いというのか、「俺に?みつくぐらいの女じゃないと大統領はやれない」ということで、ハリスを副大統領に指名しました。


このカマラはどういう人でしょうか。ハリスのお母さんはインド系なのですね。カリフォルニア大学のバークレー校で研究をしていました。お父さんはジャマイカ系でスタンフォード大学の先生ですね。二人は人種差別反対というデモで出会って結婚してカマラが生まれましたが、7歳の時に離婚しているということです。カマラ・ハリスが生まれたのは1964年。だから前回の東京オリンピックの年です。ミッドウェー海戦の大統領と東京オリンピックの副大統領という組み合わせになります。


これがお母さんで、黄色い服を着ているのがカマラ・ハリス。赤いのが選挙を仕切っていると言われている妹さんの子どもの頃です(幼少期の写真を示す)。ということは、2024年の大統領選挙というのは、どうもインド系対立という目がかなり濃い。少なくともインドの新聞は盛り上がっています。すんなりそういくか。ただ、バイデンが途中で辞めると言ったら、ハリス副大統領がなるのは自動的ですし、バイデンが1期の任期を務めあげるとしても、副大統領が次を継ぐのは当たり前です。だから2024年はインド系対立の選挙になる可能性があると申し上げておきたいと思います。外れたら忘れてほしいのですが、当たっていたら、「あの時、高橋が言っていたな」と。カレーでも食べながら思い出してください。


>>次回につづく