Everyone says I love you !

弁護士・元ロースクール教授宮武嶺の社会派リベラルブログです。

安倍内閣の第二次補正予算案が成立。しかしコロナの影響で経営悪化が続く医療機関に対する対策は1割未満。病院全体の診療報酬増額にはゼロ回答。これでは第2波が来る前に医療崩壊が起きてしまう!

2020年06月12日 | 自公政権の拙劣なコロナ対策
これからもぜひ毎日一回、上下ともクリックしてくださると大変うれしいです!!!

 第2次補正予算が2020年6月12日成立しました。

 この第2次補正予算は、新型コロナウイルスの感染拡大に対応するため、事業者の賃料の負担軽減や雇用調整助成金の拡充などが盛り込まれ、追加の歳出は一般会計の総額で31兆9114億円と、補正予算としては過去最大となっています。

 しかし、その中で医療機関への支援と言える額は1割を切っていて3兆円もありません。

 

 観光事業への振興策には1兆7000億円も支出を予定していて、その業務委託費だけで3000億円も使うというのに、安倍政権は物事の軽重を全くわきまえていないのが

 これに先立つ6月11日の参院予算委員会で、国民民主党の増子議員が安倍首相に対して、感染拡大の影響で経営が悪化している医療機関への支援について

「ある程度の資本注入を思い切って行わなければ、病院はもたない。日本人の命と健康を守れなくなったら大変だ」

と指摘して問いただしたのですが、安倍首相は

「さまざまな手段やメニューを検討しながら、医療提供体制が立ち行かなくなることがないよう、交付金や十分な予備費も活用しながら支援していきたい」

と述べました。

 つまり、30兆円を越える史上空前の第二次補正予算では医療機関に対する独自の施策はゼロ。

 白紙委任でせしめた10兆円から出す、というのですが、こんなのまさに白紙委任で安倍政権は何も拘束されていませんから、どうなるかしれたものではありません。

 

 

 かつて新型コロナウィルスに対するPCR検査をしすぎると、病床数など機材も人員も足りない日本の医療機関が崩壊するとして、検査不足が正当化されたのですが、コロナの感染拡大が、医療機関の経営に深刻な影響を及ぼしています。

 日本病院会や全日本病院協会などがまとめた病院経営状況の調査結果(速報値)によると、回答した全国1049病院の4月の平均損益は約3600万円の赤字で「全体の8割の経営が悪化した」。

 2019年4月の400万円余りの黒字から赤字に転落し、収入が約4億円で前年同月比10.5%減。一方で費用は1.4%減でした。約3分の2の病院が赤字でした。

 

 それにしても、去年でも平均で400万しか黒字じゃないって、病院や医師が金持ちだってイメージが吹き飛びました。

 そして、今年の4月は4000万近い赤字。5月6月はもっとひどくなる見込みです。

 これはコロナ感染症患者を特に受け入れているかどうかとまったく無関係に、一般の病院の3分の2が赤字だというのです。これは、コロナの感染を恐れる市民が診療の受け控えをしたことなどが原因です。 

 一般の手術では、感染防止のため延期するケースも多数に及び、患者さんの健康への影響と共に、病院経営への打撃にもなっているのです。

 

 さらに、コロナ感染症の患者を受け入れている病院はもっと深刻で、赤字の病院は約8割に上ります。

 コロナ感染症患者を受け入れる病院の経営を圧迫する要因には、コロナ患者の治療に伴う負担増があります。

 コロナの重症患者には、医師、看護師を通常より手厚く配置して対応しなければならないですし、スムーズな患者受け入れのためには、病床を空けておく必要があるからです。

 

 東京の医療情報提供サービス会社「eヘルスケア」が5月20~25日にインターネットで医師817人を対象に実施したアンケートによると、新型コロナウイルスによる医療機関の経営への影響について、全国の医師に尋ねた民間企業のアンケートで、回答した528人のうち、2割超が「ある」と回答し、解雇や給与削減、休診に追い込まれた他、閉院を検討している人もおり、コロナショックで医療機関も経営が悪化している状況が浮き彫りになりました。

 地方の医療機関での悲鳴はもっと深刻です。

 青森県保険医協会(青森市)はこのほど、県内の医療機関や歯科医院を対象に実施した新型コロナウイルス感染拡大の影響についてのアンケート結果を公表しましたが、医科の9割近くが4月の外来患者、保険診療収入ともに減少したと回答しています。

 結果によると、4月の外来患者数が前年同月よりも「減少した」と回答した医療機関は、医科が159人(86・9%)、歯科が77人(65・8%)。同様に、保険診療収入が「減少した」と回答した医療機関は医科が153人(83・6%)、歯科が74人(63・2%)でした。

 沖縄県保険医協会が県内の開業医101人に新型コロナ感染拡大の影響を聞くと、9割の90人が4月の外来患者が昨年4月より「減った」と答え、3分の1は3~7割まで減少したというのです。
 
 また沖縄タイムスが実施したアンケートでは、新型コロナ患者に対応する県内15の協力医療機関のうち、半数超の9病院が受け入れや準備により4月の事業収益が前年に比べ減り、このうち8病院が現状が長引けば2020年度内に資金が不足する恐れがあると回答しています。
 
 ある1病院は4月の事業収益が前年に比べて20%以上減り、5病院は10~19%減だったというのです。
 

 

 ご存じのように医療機関はもともと人件費比率が高く、高額な医療機器も少なくないため、コスト削減はたやすくできないわけで、このような収入減の影響は他の業種よりもさらに深刻です。

 これに対して厚生労働省が打った手は、コロナ患者が集中治療室で治療を受ける場合の診療報酬を3倍に引き上げ、コロナ専用病棟では空いている病床に補助金を支払うことでした。

 また、一般の病院や診療所に対しては公的機関が無利子融資枠を拡大することや、通常は支払いまで約2カ月かかる診療報酬の期間を短縮するとしています。

 しかし、日本医師会は全体の診療報酬の増額を要望していたのに、安倍政権は職員への慰労金以外は、一般の医療機関には以上のような資金繰り支援にとどめてしまったのです。

こんな微々たる「御手当て」で、疲弊した医療従事者が現場から離れていくのを止められるわけがない。

 

 

 けれども、コロナ以外の患者を受け入れている病院が倒れ始めれば、それだけで市民の命と健康に重大な影響を及ぼしますし、コロナ感染症患者を受け入れている病院にますます重い負担がかかります。

 そもそも、全国の病床数が足りないから症状が出ている患者さんさえコロナの検査ができなかったのに、安倍政権は以前からの全国の病床数をを減らす方針をここに来ても変えておらず、その医療の充実など眼中になく、小手先の施策で何とかしのごうとしている姿勢にはあきれるばかりです。

 医療機関は、コロナ以外の病気の治療も含め、市民生活を支える最重要のライフラインであり、命と健康のために欠くことのできない社会基盤なのです。

 日本に暮らす人々の命を守る施策が足りなすぎるのですから、予備費10兆円を重点的に医療機関に投入することを国会で安倍政権に約束させる、そうでなければ、第三次補正予算を作らせる。

 いずれにしても、安倍政権が様々な疑惑の追及を免れるために、6月17日でも通常国会を閉会して、臨時国会もやらないなんて言う市民生活を無視した憲法違反は絶対阻止しないといけません。

 

追伸

 私と同じくコロナ対策担当の西村大臣と同級生で、東京都立川市で287床の立川相互病院高橋雅哉院長が語った病院の実態が、この増子議員の質問でも具体例として挙げられました。

 

 高橋君が我が学年のメーリングリストに投稿したところによると

  1. 第1波、コロナ患者18人。さいわい全員退院されてほっとしたところ、感染がぶり返してきて新たに中等症1人。
  2. 第1波のあいだ、16床のHCUを10床にへらしてコロナ専用病棟として使用。
  3. 発熱患者は、コロナが否定できるまで、コロナ疑い病棟に収容。ここは、一人一部屋にせざるを得ず(陽性と陰性が混ざってはまずいため)、47床の病棟を13床として使用。コロナ病棟も、疑い病棟も、防御のフル装備が必要。職員の負担大。発熱患者だというだけで専用の個室管理・感染防御を要するということは、コロナで医療の構造が変わったということ。従前のハード(病棟構造・人員体制)では対応できない。
  4. 上記のように、病床を減らさざるを得ず、手術も控えたため、予算収益6億/月のところ、4月9000万赤字、5月1億2000万赤字。(費用は、ほとんど不変なので、減収=赤字。もともと、低医療費政策のため、ベッド稼働94%=ほぼ満床で収支ギリギリのところ、5月は73%↓↓)「(独)福祉医療機構」が9億融資してくれたが、このままでは、一年もたない。おまけに、たとえコロナがおさまっても返済できる見込みはなし。
  5. 政府は、重症コロナ患者の診療に対する手当は厚くするというが、赤字の中心である「つぶしたベッド」に対する補償はなし。同規模の急性期病院はどこも1か月1億程度の赤字。コロナをみていない小病院やクリニックも、患者減で同様。病院の倒産が相次ぐのは必至。日本医師会、日本病院会なども一致して、政府に前年並みの診療報酬の補償を要請している。どの業種も大変だが、医療は、消防や警察と同じ社会資源である。
  6. 医療を継続するためには、公的に補償してもらうしかないので、5/29テレビ朝日モーニングショーに当院の副院長がでて、実名で窮状を訴えた。風評被害が出たが、懲りずに、6/21(日)テレビタックルにも再度出演する予定。
  7. 立川相互病院 hashtag on Twitter

 

 

 この必死の投稿に対して、別の同級生の医師は
 
『政府は、重症コロナ患者の診療に対する手当は厚くするというが、赤字の中心である「つぶしたベッド」に対する補償はなし。
 
 同規模の急性期病院はどこも1か月1億程度の赤字。コロナをみていない小病院やクリニックも、患者減で同様。病院の倒産が相次ぐのは必至。
 
 日本医師会、日本病院会なども一致して、政府に前年並みの診療報酬の補償を要請している。どの業種も大変だが、医療は、消防や警察と同じ社会資源である。

医療は社会資源、おっしゃるとおりです。(北欧やドイツを見習うべきですよ)』

『「コロナの医療費を3倍にします」とか「、医療従事者に10万~20万支給します」とか・・・

支持率アップのために、しょーもない発言(私にはこの上もなく腹立たしい発言!!)をする政治家がいて

いつものように少なくない国民は騙されて「医療従事者はいいよな」とか思っているようですが

そんなレベルの話ではないです。

ちなみにブルーインパルスに手を振った自衛隊の病院は

予算充分で余裕があるので

院内感染もおこさずにすむし、倒産もしないですよ。』

と、怒りをもって応えています。

 さらに三人目の同級生も

『うちも13床の有床診療所ではありますが、入院、外来とも落ち込んで、4月、5月は赤字に転落したうえに、職員のマスク、ゴーグル、予防着、消毒用アルコールなどの購入に出費がかさみます。

 しかも、感染対策で1人の患者さんにかかる手間が増えて、余計な仕事が増加してます。おまけに、お産を予定していた都内の医院で新型コロナ感染が出たため急遽うちでの帰省分娩を希望してきたり、また逆に急遽里帰り分娩を取りやめる人がいたりと、現場は混乱してます。

 ぜひ、民間病院や有床診療所にも手厚い支援をお願いしたいものです。』

と書いていました。

 立川相互病院の皆さま。今週まで入院していた病院を思い出して逆ホームシックになりそう。。。

 

 

二人とも、私みたいに普段からうるさい人ではなくて(笑)、ほんとに病院経営が苦しくなり、日本全体が危ういと感じての投稿でした。

二人の医師とも

「ご理解とご協力をお願いいたします。」

「諸兄のご理解、ご支援を乞う次第です。」

と言っていますが、この二人がここまで言うのは、これはよっぽどのことなんで、読者の皆様もぜひこの問題を我が事として関心を持っていただきたいと思います。

職場紹介】立川相互病院6階東病棟

高橋君は今回の私の食道がんについてもいろいろ相談に乗ってくれたんですよ。

こんな大きな、そして評判のいい大病院の院長さんだったんだなあ。お気楽な僕と違って苦労して真っ白になっちゃって(笑)。

 

 
日本の病院の平均黒字がコロナ前で月400万円。。。。弁護士事務所よりやばいじゃん。。。
実はそこに私は一番驚きました。
 
ほとんど余力がないじゃないですか。現に、コロナで黒字だった額の10倍の赤字になってしまってます。
こんなの、返すお金である融資じゃなくて、司法注入をしないと絶対だめです。
医療現場を魅力ある職場にしないと日本に暮らす人みんなが困るんですよ。
 
医療従事者と医療機関は、第一波でも相当傷んでいると思うんですが、こんな状況がずっと続いたらどんどん病院が倒れて、コロナ以外のそれこそガンとかでも、診療を満足に受けられなくなるかもしれませんよ。
 
今回のブログ記事を書くにあたって高橋君にメールしたら、病院の名前を出してもいい、自分の名前も出していいというから、その真剣さに現場の深刻さを感じましたね(顔写真は事後承諾だけど何とかなるやろww)。
 
私たち一人ひとりにとって、もう他人ごとでは済まされません。
 
よろしかったら大変お手数とは存じますが、上下ともクリックしてくださると大変うれしいです!
 
 

新型コロナウイルス感染症患者を受け入れる県内の協力医療機関の経営が悪化している。地域の中核病院でコロナ禍による経営破綻が相次げば、感染拡大の第2波に備えるどころか、医療体制全体が崩壊しかねない。国や県は手厚い支援を急がなければならない。

 沖縄タイムスが実施したアンケートで、新型コロナ患者に対応する県内15の協力医療機関のうち、半数超の9病院が受け入れや準備により4月の事業収益が前年に比べ減り、このうち8病院が現状が長引けば2020年度内に資金が不足する恐れがあると回答した。1病院は4月の事業収益が前年に比べて20%以上減り、5病院は10~19%減だった。新型コロナ患者を延べ171人を受け入れた那覇市の病院は「病院経営上、最大の危機に陥ると予測する」と訴える。

 協力医療機関は、感染症治療の中心となる県立病院などの6指定医療機関で受け入れられなくなった主に軽症から中等症の患者や、感染の疑いがある人を受け入れている。県内の感染拡大期に果たした役割は大きい。

 協力医療機関では感染防止のために病床数を減らしたり、外来・手術を制限するなどして対応した。病棟を閉鎖する事例もあった。そのため、病院経営上の目標(計画病床)に対するベッド稼働率の低下が事業収入を直撃、ほかの病気の患者の受診控えも追い打ちを掛けた。受け入れのためにベッドを空けた場合の補助も十分ではない。

 「新型コロナ患者を受け入れれば受け入れるほど損になる」という声が上がる事態は看過できない。

■    ■

 経営悪化は規模の大きい病院だけではなく、開業医の診療所にも広がっている。

 県保険医協会が県内の開業医101人に新型コロナ感染拡大の影響を聞くと、9割の90人が4月の外来患者が昨年4月より「減った」と答えた。3分の1は3~7割まで減少したという。感染を警戒した外来患者の受診減が響いている。

 医療機関に診療報酬が入るのは申請から2カ月後。患者の落ち込みが激しくなった4月の影響は2カ月後の6月から出てくる。資金繰りで厳しくなれば、廃業も起きかねない。

 地域医療に詳しい専門家は小規模の病院の閉院が相次げば、大規模病院に患者が集中して医療崩壊を招きかねないと警鐘を鳴らし、医療機関に特化した財政支援の必要性を指摘する。

■    ■

 経営危機は全国的な問題だ。日本病院会などの調査によると、4月の利益率は病院全体で昨年の同じ月に比べ10ポイント減のマイナス9%で、大幅に悪化した。感染者を受け入れた医療機関は昨年4月に比べ12・2ポイント減のマイナス11・8%。より深刻な影響を受けている。

 国は20年度第2次補正予算案で医師や看護師らへの最大20万円の慰労金支給、都道府県の取り組み支援など医療提供体制の強化に2兆9892億円を計上した。

 地域の実情に合わせた実効性とスピードが必要だ。

 

県保険医協会(青森市)はこのほど、県内の医療機関や歯科医院を対象に実施した新型コロナウイルス感染拡大の影響についてのアンケート結果を公表した。医科の8割以上が4月の外来患者、保険診療収入ともに減少したと回答しており、同協会は医療機関での感染リスクを恐れた受診抑制が要因とみている。

 アンケートは、協会の会員1153人(医科710人、歯科443人)に対し、5月に実施。300件の回答が寄せられ、回答率は26%だった。

 結果によると、4月の外来患者数が前年同月よりも「減少した」と回答した医療機関は、医科が159人(86・9%)、歯科が77人(65・8%)。同様に、保険診療収入が「減少した」と回答した医療機関は医科が153人(83・6%)、歯科が74人(63・2%)だった。

 また、診療で使用する医療物資の確保状況について「すでに在庫がない」と回答した割合はそれぞれ、防護服は医科44・8%、歯科36・8%▽ゴーグルは医科49・2%、歯科14・5%▽フェースシールドは医科44・3%、歯科23・9%――だった。

 
2020年6月11日 15時00分 (6月11日 15時22分更新)  中日新聞
 
 新型コロナウイルスによる医療機関の経営への影響について、全国の医師に尋ねた民間企業のアンケートで、回答した528人のうち、2割超が「ある」と回答したことが11日、分かった。
 解雇や給与削減、休診に追い込まれた他、閉院を検討している人も。コロナショックで医療機関も経営が悪化している状況が浮き彫りになった。
 アンケートは東京の医療情報提供サービス会社「eヘルスケア」が5月20~25日にインターネットで医師817人を対象に実施。3月と4月にも調査していたが、今回は新型コロナの経営への影響を初めて聞いた。
 その結果、「特に影響はない」を選んだのは76%だった。
 
 
 
よろしかったら大変お手数とは存じますが、上下ともクリックしてくださると大変うれしいです!
コメント    この記事についてブログを書く
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 小池都知事が基準を満たして... | トップ | 小池百合子都知事が出馬表明... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

自公政権の拙劣なコロナ対策」カテゴリの最新記事