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「PB黒字化目標は民間赤字化目標 でしょ?!(前半)」三橋貴明 AJER2020.2.9

    

 

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大暴露!菅内閣の中小企業・地域経済潰しスキームの全容 [三橋TV第355回] 三橋貴明・高家望愛
https://youtu.be/nzKfpsmnEoI
 

 昨日同様、「貨幣」について正しく理解していないと、「嘘」を言って大恥をかくことになるという話。
 あるいは、下手の考え休むに似たり、でございます。

個人金融資産1900兆円の行方(上) 政府債務の穴埋め 限界も 松林洋一・神戸大学教授
 2020年9月末時点の家計金融資産は1901兆円となり、統計が遡及できる05年以降で最高水準となった。民間非金融法人企業の金融資産も前年同月比6.1%増の1215兆円となった。他方、国際通貨基金(IMF)の20年10月時点の推計では、政府債務の国内総生産(GDP)比は266%と先進諸国で最高だ。(後略)』

 松林教授は、そもそも(後略部で)、


銀行預金がさらなる貸し出しにつながり、貸し出しを通じて実体経済が活況を呈する
 

 と書いており、完全に商品貨幣論です。


 あのね、松林教授、そもそも銀行預金とは貸し出しで生まれるのですよ。貸し出しが銀行預金を生むのであって、逆ではありません。
 

 銀行預金は、銀行からの貸し出しの際に「書く(キーボードを打つ)」ことで生まれる貨幣であり、金貨銀貨や現金紙幣ではありません。
 

 能動的預金だ、受動的預金だと、よく分からないことを書いていますが、
「銀行預金はどのように生まれるのか?」
 を理解していない以上、全ての論説は「嘘」ということになります。
 

 興味深いことに、松林教授は論説でMMTにも触れています。

『政府債務と民間金融資産の相互の関係についての考察が必要で、2つの見解がある。1つ目は民間金融資産により政府債務がファイナンス(資金繰り)されるという見解であり、民間金融資産の水準が鍵となる。2つ目は政府債務は民間金融資産に縛られることはないという見解だ。
 銀行が国債を買い入れて政府が公共投資をするということは、銀行が政府に資金を貸し出していることを意味する。借り入れを受けた政府の口座には銀行から入金があり預金が作り出される。そして公共投資の発注を受けた企業の銀行口座には発注額分の預金がなされる。公共投資を通じて景気が上向き家計所得が増えれば、家計の預金も増えていく。こうした連鎖を通じて民間部門全体の預金が創造されるので、政府支出の累積による政府債務の増大は、新たな民間預金の増加を意味しており、必ずしも憂慮しなくてもよい。
 貸し出しを通じて預金が創出されるという銀行部門の信用創造のメカニズムを政府部門にも適用させた解釈だ。この見解は昨今注目されている「現代貨幣理論(MMT)」と呼ばれる考え方の一部を成している。
 同理論の見解は論理的には整合的だ。前述した預金の能動的預金としての側面をとらえており、政府支出により経済が成長し、信用創造が十分に機能している局面では説得的かもしれない。だが現在のような低成長下で、民間預金の受動的預金が顕著な局面では、預金が実体経済の成長につながらず、政府支出に充てられる。表現を変えれば、現在の日本経済では、潤沢な民間金融資産が政府債務をファイナンスしているという側面からの解釈の方が自然であるように思われる。

 ゴメンなさい、最後の一文、何を言っているのか全く分からないです。


 改めて、政府支出(例えば公共事業)が民間の預金を生むプロセスは、
1.政府が国債を発行し、市中銀行から日銀当座預金を借りる
2.政府が、公共事業を受注した企業の銀行口座の残高を代金分、増やすように銀行に指示
3.市中銀行が、受注企業の口座残高を増やす
4.政府から、日銀当座預金が市中銀行に移り、決済
 と、なります。


 つまりは、政府の国債発行と財政支出は、「否応なし」に民間の預金を増やしてしまうのです。
 

【三橋貴明の音声歴史コンテンツ 経世史論】


現在、特別コンテンツ 【信じがたい歴史的真実!フランス革命とMMT(現代貨幣理論)】の一部をYoutubeで公開中!

https://youtu.be/j-lLu2feXfU

 

 ついでに、政府の口座に生まれる預金(日銀当座預金)と、企業の銀行口座に生まれる預金(銀行預金)は、全く別の貨幣です。


 日銀当座預金と銀行預金は、完全に「別世界」の貨幣であり、
『民間金融資産が政府債務をファイナンスしている』
 などということはありません。
 

 ちなみに、松林教授は日本の家計消費が低迷している理由として、
1.政府債務の肥大化
2.社会保障制度に関する将来不安
3.非正規雇用者を中心とする雇用契約
 を、挙げています。


 消費する際に、いちいち「政府債務が増えているから、消費を控えよう」などと考える国民は皆無でしょうが、残りの二つは、まあいいでしょう。

 

 問題は、松原教授が消費停滞の決定的な理由について触れていない点です。消費が低迷している理由の第一は、消費税です。
 

 何しろ、消費税とは消費に対する罰金です。
 

 消費をするたびに罰金を取られる税制である以上、家計消費が低迷するのは至極当然でしょうに。
 

 まあ、松原教授は、論説の最後を、

『民間部門の資金余剰に安堵することなく、財政再建ひいては政府債務の削減に向けて明確な方向性を打ち出すことが、将来不安を払拭し、日本経済の成長を促す鍵となるはずだ。』

 で、結んでいる以上、単に「貨幣について無知な財政破綻論者」に過ぎないのでしょうけれども。


 それにしても、昨日のエントリーにせよ、本日のエントリーにせよ、「貨幣のプール論」「モノ・マネー論」がどれだけ根深いか分かるでしょう。


 松原教授、いやしくも「教授」を名乗るならば、貨幣について正しく理解しなければなりませんよ。貨幣について無知なまま、経済や財政を語るなど、中野剛志先生の言葉を借りれば、
ウイルスが何か知らないまま、感染症について語っている
 のと同じでございます。

 

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