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7月6日(月) 小池百合子候補が圧勝した東京都知事選挙の結果をどう見るか [選挙]

 昨日、注目の東京都知事選挙が投開票されました。コロナ禍の下で実施された大型地方選挙で、その結果は国政にも大きく影響すると見られています。
 結果は以下の通りでした。

 小池百合子 3,661,371
 宇都宮健児 844,151
 山本太郎  657,277
 小野泰輔  612,530

 ご覧のように、366万票を獲得した現職の小池百合子候補の圧勝でした。4年前の選挙で獲得した291万票を75万票も増やしての再選です。
 こうなった要因については様々な要素があり、その分析は今後の課題ですが、さし当り指摘できることはコロナ禍によって高まっている都民の不安感であり、安定志向です。東京アラートの解除後、新型コロナウイルスの感染者数は増え続け、連日の感染者三桁越えという中で「これからどうなるのか」と不安を高めた都民は新人よりも実績のある現職に都政をゆだね、変化より継続を選択したものと思われます。
 また、コロナ対策という点でも都道府県の首長は「頑張る知事」として注目を集め、小池都知事は最大限、マスコミの報道を利用してきました。安倍政権の対応を批判したり、全国に先駆けて休業要請や協力金の支給を打ち出したりするなど、安倍首相のずさんでピント外れの対応に比べれば数段ましに見えた「錯覚」も、小池都知事には有利に働いたものと思われます。

 しかも、小池都知事は意識的にこのような状況を利用する選挙戦術を展開しました。私はこれを「惨事便乗型選挙運動」と呼んできましたが、コロナ対策の節々でマスコミに登場して露出度を高め、選挙が始まると一転して都民の前から姿を消すという作戦に終始しました。
 コロナ対策に集中するという口実で街頭演説は行わず、テレビ討論にも応じませんでした。その結果、主要な候補者によるテレビ討論は一度も開かれず、候補者間の政策論争も深まらず、これまでの都政の問題点や公約違反も十分に明らかになりませんでした。
 選挙運動のやり方としても、密集を避けるということで街頭演説にあまり人が集まらないように配慮するなど、これまでとは様変わりしました。このような運動スタイルの変化も、現職に有利に新人には不利に働いたものと思われます。

 対する野党としては、ほぼ政策と支持基盤が似通っている宇都宮候補と山本候補が分裂する形で立候補したのが最大の問題でした。とりわけ、野党共闘を断って「後出しジャンケン」のような形で突然立候補した山本太郎候補とその支持者には深刻な反省を求める必要があるでしょう。
 立候補に際して山本さんは小池都知事の票を食うようなことを言われましたが、実際には小池さんには全く影響せず、大きな影響を受けたのは宇都宮さんでした。宇都宮さんはこれまで2回の立候補で約100万票を得ていましたが、今回は84万票と16万票ほど減らしました。
 前回の野党統一候補だった鳥越俊太郎候補が得た134万票との比較でも50万票の減ですが、この分は山本候補の獲得した66万票に含まれていると思われます。つまり、前回の野党統一候補が獲得した票は、今回の宇都宮さんと山本さんに分かれてしまったということになります。

 このような形で野党候補が分裂し、勝利への展望を充分に示すことができなかった点に、野党側の最大の敗因があると言うべきでしょう。市民と野党が固く団結して手を握らなければ勝利の展望を切りひらけないということが、今回の都知事選での最大の教訓です。
 それでも、このような困難な条件の下で宇都宮さんが健闘されたこと、その原動力となったのが市民と野党の共闘であったことは重要な成果として確認しておく必要があります。選挙直前に宇都宮さんが「火中の栗を拾う」決意をされ、敢然と立候補を表明しなければ「不戦敗」になったかもしれないのですから。
 私も「革新都政をつくる会」の呼びかけ人代表の一人として野党各党に共闘を要請しましたが、なかなか候補者が決まらず焦りを覚えたことがありました。このような中で宇都宮さんが立候補を表明されどれほどホッとし安堵したか、それにもかかわらず今度は山本さんが告示3日前に突如立候補されいかに大きな戸惑いと困惑を覚えたか、今でもまざまざと思い返すことができます。

 その後の宇都宮陣営での市民と野党の共闘の発展は目覚ましいものでした。25の衆院小選挙区での市民と野党共同の市民選対が立ち上がり、立憲民主・共産・社民・新社会・緑の党の支援だけでなく小沢一郎さんや原口一博さん、平野博文幹事長などの国民民主党の幹部も応援に加わり、社会保障を立て直す国民会議の野田佳彦元総理や岡田克也元副総理、無所属の中村喜四郎さんまで激励に駆け付けています。
 宇都宮さんは事実上の野党統一候補として選挙を戦うことができたと思います。当初、都立・公社病院の独立行政法人化に賛成していた立憲民主党の都議が反対に転ずるなど、政策的合意の範囲は拡大し、コロナ対策をめぐる論戦をリードすることにもなりました。
 市民と野党との共闘という点で、今回の都知事選挙は来るべき総選挙に向けての「予行演習」としての役割を果たし、共闘体制の確立に向けての準備作業として大きな意味を持ったと思います。この点でも「活路は共闘にあり」という教訓を、今一度、しっかりと確認しあうことが必要なのではないでしょうか。


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