三橋経済塾第九期の入塾申し込み受付中!
株式会社経世論研究所 講演・執筆依頼等、お仕事のご依頼はこちらから
三橋貴明のツイッターはこちら
人気ブログランキングに参加しています。

チャンネルAJER更新しました。
『全ての国民を救えるんだ(前半)』三橋貴明 AJER2020.5.5

令和の政策ピボット呼びかけ人に、高橋あさみ様(私立Z学園高等学校 1年4組 16歳)が加わって下さいました。
また、メルマガ「令和ピボットニュース」が始まりました。皆様、是非とも、メルマガ登録を!

 

三橋TV第236回【国債発行は政府貨幣発行 財務省が死んでも認めたくない真実】

https://youtu.be/cmAQKwVJqL0

 

 中国武漢発祥の新型コロナウイルス感染症パンデミックにより、第二次世界恐慌が勃発し、各国のGDPが急収縮の局面に突入していますが、地域によって状況が異なるようです。

 なぜか、GDPの報道が対前期比と年率換算が入り乱れており、解り難くなっています。と言いますか、アメリカの数値が対前期比年率換算のみ、ユーロ圏が対前期比のみしか報じられていないのです(理由は分かりません)。

 というわけで、アメリカに合わせて全て年率換算で見てみましょう。

 アメリカの2020年1-3月期のGDP速報値は、対前期比年率換算で▲4.8%。

 ユーロ圏の経済成長率の改定値は、不思議なことに対前期比と「対前年比」で報じられています。いや、「対前年比」なんて、最近は発表したことなかったじゃん。
 
ユーロ圏GDP、第1四半期改定は前期比-3.8%
 欧州連合(EU)統計局が発表した第1・四半期のユーロ圏域内総生産(GDP)改定値は前期比3.8%減となり、現行方式で統計を取り始めた1995年以来、最大の減少となった。新型コロナウイルス感染防止のための封鎖措置が打撃となった。
 前年比では3.2%減少。2009年第3・四半期(4.5%減)以来の大幅なマイナスとなった。
 国別では、フランスが前期比5.8%減と最も大きく落ち込み、スロバキア(同5.4%減)、スペイン(同5.2%減)と続いた。イタリアは前期比4.7%減で、2四半期連続のマイナス成長。域内最大の経済国ドイツは2.2%減、フィンランドは0.1%増と唯一プラスを達成した。(後略)』
 
 仕方がありませんので、アメリカ同様に「対前期比年率換算」を計算すると、ユーロ圏全体では対前期比▲3.8%、年率換算▲14;4%となります。

 各国を見ると、フランスが対前期比▲5.8%、年率換算▲21.3%。スペインが対前期比▲5.2%、年率換算▲19.2%、イタリアが対前期比▲4.7%、年率換算17.5%、ドイツが対前期比▲2.2%、年率換算▲8.5%となりました。

 なるほど。フランスを見ると、対前期比年率換算で二割(!)を越す、とんでもないマイナスになってしまった。あまりに酷い数値で見せたくなかったからこそ、年率換算を発表せず、対前年比(中国か!)を付け加えて発表したわけですね。(そうとしか考えられない)

 というわけで、年率換算で比較すると、1-3月期はアメリカよりも欧州の状況が悪く、しかも「イタリア」や「スペイン」ではなく、なぜか「フランス」が最悪値であったことが分かります。なぜ、フランスなのか。お判りになる方がいらっしゃったら、コメントしてくださいませ。

 もっとも、コロナ危機による第二次世界恐慌は、4月以降がむしろ「本番」となりました。

 アメリカの4-6月期について、米議会予算局(CBO)は4月24日、GDPが年率換算で前期比40%減に落ち込むとの予測を公表しています。欧州にしても、4-6月期の経済成長率のマイナス幅は、1-3月期を上回ってくるでしょう。

 

【三橋貴明の音声歴史コンテンツ 経世史論】

http://keiseiron-kenkyujo.jp/apply/
※ノンフィクション作家「河添恵子」先生との対談「歴史から学ぶ中国と中国人の本質」が視聴可能となりました。

 

 そして、我が国の1-3月期のGDPが、5月18日に発表になります。
 
『1-3月GDPは2期連続マイナス成長へ-コロナ深刻化で経済停滞
(前略) 内閣府が18日発表する1ー3月期の実質国内総生産(GDP)について、ブルームバーグのエコノミスト調査では、全員がマイナス成長を予想した。中央値は前期比1.1%減、年率4.5%減。新型コロナの悪影響が消費や生産をはじめ月次統計で顕在化する中、予想を下方修正する動きが相次いだ。(後略)』
 
 これまで、わたくしが予想値として使っていた日本経済研究センターの「対前期比▲0.74%(年率換算▲2.89%)」は、やはり「甘かった」という結末になりそうです。

 対前期比▲1.1%、年率換算▲4.5%ということは、ほぼアメリカ並みの悪化ということになります。
 
 しかも、我が国は19年10月の増税で、すでにGDP成長率が▲1.8%、年率換算▲7.1%に「落ち込んだ10-12月期」と比較し、さらに対前期比▲1.1%、年率換算▲4.5%になるわけです。

 というわけで、19年10月以降の半期(20年3月まで)で見ると、▲2.88%のマイナス(見込み)です。半期を年率換算にすると、▲5.6%(!)。

 もっとも、4月7日の緊急事態宣言以降、事態は悪化しておりますので、実際の2019年10月から2020年9月「年度」のGDPの落ち込みは、少なくとも10%に達すると見るべきでしょう。何しろ、緊急事態宣言の4月、5月だけで、45兆円のGDPが吹き飛ぶとの試算が出ています。

 しかも、恐慌の場合は消費以上に投資を激減させるため、影響が長期化します。正直、第二次補正予算で100兆円の新規国債発行(貨幣発行)をしたとしても、2019年9月水準に「戻る」のがやっとのところだと考えます。

 欧米が上記の有様ですから、「外需」には全く期待できません。フランスの1-3月期の経済成長率が、年率換算だ二割を超すマイナスになるような状況で、「外需」に何を期待しろと?

 もっとも、外需が期待できないということは、日本国が元々の「内需主導型の経済成長」を取り戻すチャンスではあります。
 
【図 2018年 主要国輸出依存度(%)】
 
 落ちぶれつつあったとはいえ、我が国が未だに輸出依存度(財・サービスの輸出÷名目GDP)が低い内需大国であることに変わりはないのです。

 逆に、この状況でありながら「外需! 輸出! インバウンド!」などと政治が動くのでは、我が国の凋落は止まらないでしょう。
 
 コロナ危機、第二次世界恐慌を機に、本来の「内需主導型の経済成長」を取り戻す。財政拡大、そして内需主導型経済成長への転換こそが、まさに「令和のピボット」なのです。
 

「内需主導型の経済成長を取り戻そう!」に、ご賛同下さる方は、

↓このリンクをクリックを!
本ブログへのリンクは以下のバナーをお使いください。