【ウクライナ発】地下鉄は核シェルター 深さ105メートル


地底に吸い込まれそうだった。しかもこれで終わりではない。もう一回エスカレーターに乗らなければ駅のホームには辿り着けない。=21日、キエフ地下鉄アルセナーリナ駅 撮影:田中龍作=  

 エスカレーターの最下段は地の底に吸い込まれていて見えなかった。さらに驚くのは、エスカレーターはこれで終わりではない。駅のホームに辿り着くにはもう一基エスカレーターに乗らなくてはならない。

 キエフ地下鉄のアルセナーリナ駅は地上からの深さ105.5メートルの所にあった。同駅は、東京で言えば銀座駅にあたるフレシャーチク駅の隣の駅だ。

 キエフの地下鉄はソ連統治下の1960年代に開業した。友人が地下鉄の設計に携わったという男性(70代)によれば、地下鉄はそもそも核戦争の際のシェルターとして作られた。

 「沿線には水や食料を貯蔵している場所もあって、人も住めるようになっている」と話す。

地下鉄は5分ほど待てば来た。=21日、キエフ地下鉄駅 撮影:田中龍作=

 ソ連から独立して30年余りが経った今、利用者に「空爆があったらシェルターとして逃げ込むか?」と質問した。

 「他のシェルターがなければ来る」(スリトラーナさん=医師・50代女性)

 「人がたくさん集まって空気が少なくなるので、私は利用しない」(ラチャナさん=音楽家・60代女性)

 ソ連時代は地下鉄に限らずビルや民家の地下がシェルターだった。

 だが独立後、シェルターは駐車場や倉庫に変わり、めっきり少なくなった。

 ソ連統治下のウクライナはNATO諸国に向けた核ミサイルの前線基地だった。ソ連は西側諸国のノド元にナイフを突きつけていたのである。

 それが、いま攻守ところを変えようとしている。

 万が一にでもロシアの空爆があり、キエフ市民がシェルターを求めて逃げ惑うとすれば、あまりに歴史は皮肉である。

下から上を見上げても最上段はかすんで見えなかった。=21日、キエフ地下鉄アルセナーリナ駅 撮影:田中龍作= 

    ~終わり~

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