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「菅政権の地方経済潰しをくい止めろ(前半)」三橋貴明 AJER2020.12.15
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菅・竹中・アトキンソンのショックドクトリン 共同体破壊には団結して抗え! [三橋TV第330回]
26日に経営科学出版から「「貨幣で読み解く世界史の謎」〜人類の文明を進化させた貨幣という最大の発明」がリリースになるのですが、
「誰かの純資産の増加は、誰かの純負債の増加」
は、誰にも否定できない絶対原則です。
そして、この世には「政府」「民間」「海外」の三つの経済主体しかない。
【政府と民間、海外のストック・フロー】
※民間=家計+企業(+NPO等)
三者は上記の通り、ストック(純資産増・純負債増)とフロー(黒字・赤字)のやり取りをしていますが、
「純資産増加の総計+純負債増加の総計=ゼロ」
「黒字の総計+赤字の総計=ゼロ」
にならざるを得ない。
例えば、政府と民間が黒字ならば、必ず海外が赤字。政府と海外の純負債が増えているならば、必ず民間の純資産が増えている。
この三者間のストック・フローの関係さえ理解すると、
「クニノシャッキンでハタンする~っ!」
「クニノシャッキンは返済しなければならな~いっ!」
といった、ナイーブ(幼稚、という意味)な発言する政治家や評論家たちが、「どれほどバカか」が如実に理解できてしまうわけです。
『企業・家計の現預金が過去最高 7~9月、日銀統計
日銀が21日に発表した7~9月期の資金循環統計(速報)によると、9月末時点の企業の現預金残高は前年同月比14.3%増の309兆円と、さかのぼれる2005年以降で最高となった。家計も4.9%増の1034兆円と伸び率、残高ともに過去最高を更新した。新型コロナウイルスの先行き不透明感から手元に資金を置いておく企業や家計の姿が浮き彫りとなっている。
企業の現預金残高は6月末(15.6%増)に続いて2四半期連続で2桁の伸び率となった。株価の持ち直しを受け、株式等の残高も376兆円と7.2%増加。金融資産の総額は6.1%増の1215兆円と過去2番目の大きさとなった。
金融機関の貸出残高は5.6%増の937兆円と、過去最高だった6月末(941兆円)に続いて高水準で推移。うち企業向けは9.7%増の354兆円と高い伸びが続き、家計向けも284兆円(2.7%増)と過去最大の残高となった。
7~9月期はコロナ禍から経済活動が徐々に再開した時期にあたるが、企業や家計の間には投資や消費を抑える動きが根強い。第一生命経済研究所の星野卓也氏は「足元では感染が再拡大するなどコロナ禍が長期化する懸念が高まっており、10~12月期も現預金の伸びは続くだろう」とみている。』
【三橋貴明の音声歴史コンテンツ 経世史論】
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http://keiseiron-kenkyujo.jp/keiseishiron/
相変わらず、日本「経済」新聞とやらは「貨幣のプール論」にガッチリとはまり込んでいますが、預金が増えているということは、「企業と家計」をマクロでとらえるならば、
「投資や消費を抑える動き」
とやらは関係もありません。(家計が消費を抑制しているのは確かでしょうけれども)
家計が消費をすれば、
「家計の預金が減った分、企業の預金が増える」
に過ぎず、企業が投資を増やしたところで、
「A企業の預金が減り、B企業の預金が増える」
ため、いずれにせよ全体(家計+企業)の預金量に変化がありません。
預金がマクロ(家計+企業)で増えるのは、「誰かが借りたとき」です。何しろ、預金は誰かの借用証書と引き換えに、銀行が「書く」ことで発行するのです。
家計や企業の現預金残高が増えたということは、「誰か」が借り入れを増やしてくれたことに他なりません。
【2020年9月末時点 日本国家のバランスシート(兆円)】
http://mtdata.jp/data_73.html#bs2009
というわけで、20年6月のBSと比較すると、一目瞭然ですね。
純負債(=資産-負債)を増やしてくれたのは、政府(約9兆円)と、非金融法人企業(約14.7兆円)です。
政府の国債発行と、企業の借入により両経済主体の「負債」が増えた結果、家計と企業の現預金が増えたわけでございます。
7-9月期なので、政府の対策による銀行融資の拡大があったのでしょう(10月以降が怖いですが)。
家計の純資産は15.9兆円ほど増えているのですが、これは反対側で政府や企業が純負債を増やしてくれたからこそ、成立するのです。
また、20年9月末時点で、政府は約722兆円の純負債状況になっていますが、反対側で我々が同額分の純資産になっている。
この種の「当たり前のこと」を理解し、早急に国民に広める必要があります。
20年6月末から9月末にかけ、家計の純資産は確かに増えました。
「なぜ、増えた?」
反対側で政府(や企業)が純負債を増やしてくれたおかげなのですよ、と。
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