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5月1日(金) 新型コロナウイルス禍の下で迎えたメーデーは労働組合の真価を問うている [労働]

 今日は「労働者の祭典」と言われるメーデーです。世界80カ国以上で祝日とされ、例年なら全労連は代々木公園で、全労協は日比谷野外音楽堂で集会を開きます。
 最大の労働組合全国組織(ナショナルセンター)である連合は、連休が始まる前に集会を開いていました。今年は、新型コロナウイルスへの感染を避けるということで、どこも集会を開かずインターネットでの動画配信にとどめています。

 メーデーは、1886年5月1日に、8時間労働日と労働条件の改善を求めてシカゴの労働組合がストライキを行ったのが始まりです。その時のスローガンは、「第1の8時間は労働に、第2の8時間は休息に、そして残りの8時間はわれらの自由に」というものでした。
 このメーデーが初めて日本で開催されたのは1920年5月2日のことです。今年は100年目に当たりますから、盛大に祝われるはずでした。
 世界で初めてのメーデーから130年以上、日本での最初のメーデーからでも100年の歳月が経過しています。それにもかかわらず、8時間労働日の実現という目標はいまだに実現していません。

 今年のメーデーは新型コロナウイルスの感染危機というかつてない状況の下で迎えることになりました。緊急事態宣言が出され、さらに1カ月ほど延長されると報じられています。
 自宅での滞在や営業の自粛が呼びかけられ、経済活動や雇用に打撃的な影響が懸念されています。このような状況の下で「労働者の祭典」をどう迎えるべきだったでしょうか。
 働く人々の雇用や労働がかつてない危機に直面している状況ですから、連合や全労連、全労協などが力を合わせて危機打開の方向を示すべきだったのではないでしょうか。せめて、連名で労働者を励ますような共同宣言などを出せれば良かったと思います。

 3つの労働組合全国組織は、それぞれが支持したり協力関係を持ったりする政党を異にしています。これはそれぞれの労働組合全国組織の立場や政策の違いを反映したものです。
 しかし、すでに市民と野党の共闘は進み、野党間の連携は様々な実績を残してきました。今回の補正予算をめぐる国会審議でも、野党は統一した対応を行っています。
 残念ながら労働組合分野ではこれに対応した共同行動は実現していません。コロナ禍による雇用と労働の危機においてこそ、このような共同した対応が必要だったのではないでしょうか。

 まだ、遅くはありません。これから緊急事態宣言が延長されれば、経済と雇用、労働と生活の危機はかつてないほど深刻なものとなるでしょう。
 立場や潮流の違いを超え、労働組合全国組織が力を合わせることによってこの危機を乗り越えることが必要です。そのことが今ほど求められている時はありません。
 それはコロナ禍に苦しむ労働者を守り支える大きな力となるでしょう。さらには、市民と野党の共闘を強めて政治を変える新た力を生み出し、将来的には統一したメーデーの開催に結び付くかもしれません。

 分断ではなく連帯を。対立ではなく共同の力の発揮を。
 そうしてこそ「労働者の祭典」を、本当の意味で祝うことができるのではないでしょうか。新型コロナウイルスが生み出した危機によって、労働者を守るべき労働組合の真価も問われているように思われます。

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