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10月17日(土) 『日刊ゲンダイ』に掲載されたコメント [コメント]

〔以下のコメントは『日刊ゲンダイ』10月17日付に掲載されたものです。〕

*巻頭特集「浮かれる国民 Go Toは強権政治の「パンとサーカス」」

 教育基本法14条は、特定政党を支持するなどの政治教育を禁じている。15日の毎日新聞には「思想統制のようで気味が悪い」「政府の対応は明らかにやり過ぎで国民目線からずれている」といった国立大教授らの声が掲載されていた。

 だが政府は「問題ない」との認識だ。15日の会見で加藤官房長官は「協力を求める趣旨で、強制を伴うものではない」「弔意表明を行うかは関係機関で自主的に判断される」と発言、内心の自由や教育の中立性の侵害にはあたらないと強調した。小渕恵三(2000年)、鈴木善幸(04年)、橋本龍太郎(06年)の過去の元首相の合同葬でも同様の対応をしたとして、「前例踏襲」であるとも説明した。

 政府は問題の沈静化に躍起のようだが、ならば過去には大きな問題にならず、なぜ今回はこれほどの大騒ぎになったのかをよく考えるべきだ。「政府方針に従わない官僚は異動してもらう」と言い放った首相が、学術会議の任命拒否で学問分野の人事にまで介入したのである。日本学術会議法という法律を無視するだけでなく、憲法が保障する「学問の自由」すら平気で侵す。法治主義をないがしろにする強権政権が、弔意表明は「要望であり強制ではない」と言い繕ったって、誰が信じられるものか。

 法大名誉教授の五十嵐仁氏(政治学)はこう言う。

 「そもそも特定の政治家の葬儀に国が費用を出すのが間違いなんですよ。時代が変わってきている。宗教行事や特定の政治家の行事に対し税金を使うことに、もっと厳密になるべきだという民主主義意識の高まりもあります。学問の自由を脅かす政治介入があり、政権への批判や疑念が膨らんでいるところへ、今度は文科省が教育現場に弔意を求めた。反発を招くのは当然です。私は安倍政権が戦後最低最悪の政権だと思っていましたが、下には下がいた。安倍前首相は隠れて強権的な権力行使をしてきましたが、菅首相は堂々と表に出す。傍若無人というか自制心がないというか。本当に危険な人物です」

 ただでさえコロナ禍で9600万円もの国費をかけて合同葬を行うことには批判的な世論もあるのに、菅政権は何から何までトチ狂っている。


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