- 本文の内容
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- 航空業界 日本発着の国際線 冬のダイヤ比96%減
- 豪航空大手 任意管理手続き入りを発表
- ニトリHD ニトリ店員「休業」求めるSOS
- 西友 新型コロナ対策に13億円
- 米ネットフリックス 「巣ごもり」で最高益
航空業界は世界的に総崩れ状態
国土交通省の統計によると、日本発着の国際線で4月19日~25日の予定便数は約200で、昨年冬のダイヤに比べて96%減少しました。
世界各国で海外からの入国を禁止・制限する措置が取られ、人の往来が急変しているとのことです。
新幹線の指定席予約率も約90%落ち込むなど、交通関連全体として非常に厳しい状況です。
政府が外出自粛、公共交通機関を使わないように促しているので、これは致し方ないことだと思います。
航空業界は世界的に総崩れ状態で、欧州最大の航空会社であるルフトハンザドイツ航空ですら、ドイツ政府の支援なくしては成り立たないところまで追い込まれています。
また、豪州でカンタス航空に次ぐ2番手の航空会社、ヴァージン・オーストラリアはすでに任意管理手続き入りしたことを発表しています。
負債総額は約3400億円に達するとのことです。
モリソン政権はヴァージン・オーストラリアを救済しないと発表しています。
ヴァージン・オーストラリアは日本初就航を決定し、2020年3月29日にブリスベンからの乗り入れを開始することになっていました。
楽しみにしていたので、私としては非常に残念です。
地域別の航空会社の損失予想を見ると、アジア太平洋で8兆8000億円、欧州で7兆6000億円、北米で5兆円、中東で1兆9000億円、ラテンアメリカで1兆5000億円、アフリカで4000億円程度の損失額が見込まれています。
座席キロの減少率も大きくなっています。
これらの数字を見ても、このままでは世界的に航空業界が成り立たないとわかります。
そして、航空会社の損失は止まらず、今後さらに膨らんでいくことになると思います。
公共交通機関の使用を制限するという流れが、新たな「差別」を生みつつあり、その点も私は懸念しています。
具体的には、都会から田舎への移動を差別化するような風潮が出てきています。
この種の偏見は、相当根強いものがあります。
偏見は毎日の報道から生まれてくるものなので、しょうがないのかもしれません。
しかし、事実によってではなく、偏見で判断するのは問題だと私は思います。
テレワーク需要で盛況なニトリ
J-CASTニュースは先月24日、「ニトリ店員『休業』求めるSOS」と題する記事を掲載しました。
インテリア大手「ニトリ」の来客数が増加しています。
家具店が休業要請の対象から外れたことで時間を短縮して営業を続ける中、テレワーク向けのデスクやチェア、及び収納用品や食器の需要が高まっているとのこと。
土日は年末と同程度に混雑するという店内に店員からは感染への不安の声があがっているとのことです。
航空業界とは逆に、盛況になっているのがテレワーク需要のある業界です。
ニトリにはテレワークの時に使いたいモノがたくさん揃っています。
社員としては休業を求めたいほど忙しいのかもしれませんが、会社としては非常に嬉しい状況だと思います。
同じように盛況になっているのが、もはや衰退の一途をたどっているとしか思えなかった総合スーパー業界です。
息を吹き返した西友だが、課題は一次的な需要が落ち着いた後
西友は先月24日、新型コロナウイルス対策として13億円を投資すると発表しました。
最前線で働く33500人に対しスーパーヒーローボーナスを支給する他、約3000人を新規に募集するということです。
コロナの追い風を受けて盛況なスーパーにおいて、西友が驚きの施策を発表しました。
このタイミングで3000人の人員募集をするというのは私も驚きました。
内定取り消しにあった人なども対象に、正社員でも雇用すると発表しています。
ウォルマートでも成功に導けなかった西友が、ここで息を吹き返すことになるとは想像できませんでした。
ただし、これは一次的な需要ですから、落ち着いてしまえば、また元の木阿弥という可能性も高いと思います。
タイミングによって明暗を分けたネットフリックスと競合サービス
日経新聞は先月23日、「ネットフリックス『巣ごもり』で最高益」と題する記事を掲載しました。
2020年1-3月期に最高益を更新したネットフリックスが投資家からコロナ禍の勝ち組と見られています。
株価も上場来高値圏で推移。
自社で手掛ける映画の撮影が中断するなど、将来の品揃えにリスクを抱える一方、映画館が閉鎖されたために配給会社がネットフリックスでの配信を決める例も出始めています。
ニトリ、西友以上に「巣ごもり需要」で最高益を叩き出しているのがネットフリックスです。
タイミング的には、ディズニーやアマゾンプライムなどの競合サービスにもチャンスがありましたが、間に合いませんでした。
コンテンツを揃える前に、コロナ騒動が起こってしまい、その時点で最もコンテンツが豊富で充実していたネットフリックスが恩恵を受けた形です。
売上も利益も急激に増加し、欧州、中東、アフリカなど世界各地で会員数も伸長しています。
時価総額でも約19兆円に達し、コロナ禍の影響で株価が下落したウォルト・ディズニー・カンパニーを上回っています。
ディズニーとしては、見放題のサービスを充実させる前にコロナ騒動が起きてしまったのは残念なところでしょう。
加えて、外出自粛でテーマパークに集客ができないことが、時価総額の下落につながってしまいました。
今後、アマゾンプライムなどの競合サービスが、どのくらい盛り返してくるのか、注目したいところです。
またネットフリックスほどではありませんが、追い風を受けているサイバーエージェントの「AbemaTV」も大いに期待できると思います。
立ち上げ当初はかなり苦労していましたが、この波に乗っていければ大きく飛躍できるかもしれません。
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※この記事は4月26日にBBTchで放映された大前研一ライブの内容を一部抜粋し編集しています
今週の大前の視点を読み、皆さんはどうお考えになりましたか?
今週は米ネットフリックスのニュースを大前が解説しました。
新型コロナウイルスの影響が、企業経営に大きく出始めています。
その影響を正しく捉えるためには、定量的に理解することが大切です。
この数字は何を意味するのか?
このままいくと、どれくらいの影響になるのか?
数字で考える力が求められています。
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