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【新番組】「安藤裕と三橋貴明の日本経済論 第一話」(前半)三橋貴明 AJER2020.5.5

    

 

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就職氷河期世代の救済は「公務員増強」以外にない! [三橋TV第393回] 三橋貴明・高家望愛


https://youtu.be/ezUZkyRRkcc
 

 さて、我が国は例によって「特定の誰かの利益を拡大する」構造改革は、「国民を救う政策」とは異なり、猛烈な勢いで進みます。
 銀行が非上場企業に100%出資することを可能とする銀行法が、あっさりと改正されました。

改正銀行法が成立 事業会社への出資緩和
 業務の範囲が制限されてきた銀行に人材派遣やシステム販売などを新たに認める改正銀行法が19日、参院本会議で賛成多数で可決、成立した。事業会社への出資上限を原則5%(持ち株会社では15%)としてきた規制も緩め、地元産品の販売など地域経済に寄与する非上場企業には100%出資を可能とする。超低金利で事業環境が悪化した銀行の収益機会を広げる。(後略)』

 「超低金利」で事業環境が悪化している銀行、特に地方銀行が多いのは確かですが、これはデフレのせいです。
 

 デフレ、総需要不足で企業の資金需要が不足している以上、金利が上がるはずもない。銀行は、「書く」ことで預金貨幣を発行し、しかもそこから金利収入を得ることが可能ですが、「借り手」がいなければどうしようもない。
 

 政府が本気で地方銀行を救いたいならば、「デフレ脱却」のための財政拡大をすればいい。とはいえ、それは緊縮財政でNG。
 

 それどころか、日本政府は、
「経営統合した地方銀行の日銀当座預金に0.1%の金利を付与」
「銀行統合の際の、システム統合に助成金を出す」
 といった、地銀再編の政策を進めています。


 理由は、アトキンソンや竹中が主導する「中小企業改革」、いや「垂直統合モデル」にとって、地銀が邪魔であるためです。何しろ、中小企業は「融資」により、地方の中小企業を助けてしまう。中小企業が救われると、垂直統合モデルは成立しません。


 垂直統合モデルとは、何なのか。


 株主資本主義が蔓延し、大企業(上場企業)は中長期の技術投資、研究開発が困難になっていきます。中長期の投資は、「短期的な自分の利益」を求める株主の意向に沿わないのです。


 そもそも、技術開発は中長期の投資であり、短期の利益にはなりません。
 

 株主資本主義の下で、経営者は中長期的な技術投資が困難になっていきます。
「この技術は、十年後、二十年後に我が社に利益をもたらす」
 と、株主総会で説明しても、株主側は納得しないのです。しかも、企業の技術投資が将来的に本当に利益をもたらすか否かは、現実には誰にも断定できません。


 というわけで、株主は中長期の技術投資に難色を示し、経営者に「短期の利益」を拡大し、配当金を増やすように圧力をかける。株主からの圧力を受け、経営者は技術開発を含む投資や人件費を削減し、利益を強引に膨らませることで、株主への配当金を増やす。


 もっとも、さすがに企業が競争に勝つためには技術が必要です。ならば、どうすればいいのか?
 

「買ってくればいい」
 という話なのでございます。具体的には、技術力が高い中小企業をM&Aで買収する。中小企業が懸命に開発した技術を頂いてしまえばいい。

 

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 というわけで、株主資本主義に基づく、上場企業の「技術力がある会社を買いたい」というニーズを満たすべく、「安く買い、高く売る」M&Aビジネスがアメリカで勃興しました。中小企業は「金融商品」と化し、M&A会社がデューデリジェンスやコンサルティングでぼろ儲けすることになります。


 同じ「M&Aビジネス」を、日本で推進しようとしているのが竹中氏であり、アトキンソン氏なのです。日本の垂直統合モデルは、主に三つの政策により推進されています。
 

 一つ目は、地銀再編。地銀が統合されていくと、「地元の中小企業を支援する地方銀行」の数は、確実に減っていきます。


 さらに、「産業競争力強化法等の一部を改正する等の法律」により、中小企業への支援を減らし、兵糧攻めにし、同時に「M&A」を容易とする。「事業承継」もまた、M&Aビジネスに利用されています。


 そして、今回の銀行法改正。「国内で銀行免許を持つ銀行」に対し、非上場の中小企業に対し、事実上「100%」出資を可能とする。ちなみに、「国内で銀行免許を持つ銀行」であるため、アメリカ系、中国系の銀行であっても、出資可能です。いわゆる「外資制限」はありません。


 一連の法律が全て施行されると「技術力に秀でた中小企業に、銀行などが出資し、M&Aを推進する」スタイルの禿鷹ビジネスが大流行することになります。禿鷹たちは、複数の会社を束ね、不要部門、不採算部門、重複部門を切り捨て、上場企業に「高く」売り飛ばす。


 かつて、上場企業で行われた禿鷹ビジネスを、今度は中小企業を対象に展開するわけですね。


 垂直統合モデルは、確かに「短期」的には上場企業に利益をもたらします。とはいえ、その後は?
 

 技術力に秀でた中小企業は、上場企業の「部門」となり、それまでの開発力を喪失することになります。そもそも、中小企業の技術力は「短期の利益追求」ではなく、オーナー経営者の長期的な視点の賜物です。上場企業の「部門」になると、短期の利益にならない技術投資は不可能になります。


 菅政権が進める垂直統合モデルは、「技術大国・日本」を完全に終わらせることになるのですよ。
 

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