- 本文の内容
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- 国連総会 ロシアに賠償責任求める決議採択
- ポーランド情勢 ロシア製ミサイル着弾で2名死亡
- マレーシア航空機事故 元ロシア大佐ら3人に終身刑
反対、棄権した国々の侵略に対する姿勢に疑問
国連総会は14日、ロシアにウクライナ侵攻の責任を問い、ウクライナに対する賠償責任があるとする決議を賛成多数で採択しました。
決議は国際社会の総意を示すもので、法的拘束力は無いほか、決議への反対、棄権、無投票は合わせて99カ国と賛成の94カ国を上回っており、賠償の具体化には難航が予想されます。
中国、北朝鮮、あとは多くの発展途上国が反対、棄権、無投票を選んだようですが、自分の国が同じことをされても賠償は不要だと考えるのでしょうか。
他国に侵攻し、国土を破壊した場合は賠償しなければならないという当たり前のことが当たり前になれば、武力行使に対して大きな抑止力になるはずです。
それに反対することの重さをもっと考えてほしいと思います。
これにより、ロシアは100兆円を超える賠償責任があるとされました。
賠償しないといけないものをなぜ壊すのだろうかと疑問に思いますが、いつからかロシアの行動は合理性を失っています。
侵攻の大義名分は自国民の保護で、占領した東部地域は自分たちの国土と主張しているはずなのに、その自国民のためのインフラを破壊しているのだから支離滅裂です。
上層部がまともな判断を下せなくなっているのでしょう。
トヨタや日産がロシア事業から撤退を決めましたが、プーチン大統領およびこうした上層部が権力を握っている以上、戦争が終わった後でも再度進出するべきではないでしょう。
確かに、多くの西側企業が撤退したあとのロシアは競合が少なく、多くのビジネスチャンスがあるように見えるかもしれませんが、変な期待を持つべきではありません。
よくミャンマー進出に対しての持論として紹介していますが、行政が腐敗している、あるいは政府が理不尽なことをする国では、市場があろうが需要があろうがビジネスをするべきではないと私は考えます。
逆に言えば、ロシアの現政権が転覆し、獄中のナワリヌイ氏や他の誰かがゴルバチョフ的な穏健で合理的な政権を築くのであれば、再進出は大いにあり得ると思います。
バイデン大統領の迅速な対応を評価
ウクライナとの国境に近いポーランド東部の村で15日、ロシア製のミサイルが着弾し2人が死亡しました。
これについて、ポーランドのドゥダ大統領は16日、ウクライナがロシアのミサイルを迎撃するために発射したとの見方を示しましたが、ゼレンスキー大統領はウクライナも現場の調査に参加し、「もし我々のシステムの残骸で犠牲者が出たことがわかれば、謝らなければならない」との考えを示しました。
北大西洋条約機構(NATO)加盟国のポーランドが攻撃されたのであればすぐに反撃する必要があるため、戦争がエスカレートするのではないかとかなり緊張が走りました。
当初ゼレンスキー大統領はロシアからのミサイル攻撃だと主張し、ロシアはそれを否定。
情報を総合すると、ロシア製のミサイルであることは間違いないようです。
東欧のどこかに配備されていたミサイルが援助の形でウクライナに渡り、それを使ってロシアのミサイル攻撃を迎撃しようとしたところ、誤ってポーランドに落ちてしまったというのが真相でしょう。
ちょうどこの日はウクライナ全土にミサイル攻撃があった日で、迎撃ミサイルもフル稼働し、7割のミサイルを撃墜しました。
ウクライナの最西部の国境付近のポーランドの村に着弾したわけですが、ロシアから飛んでくるミサイルは全て米国が監視していたのではないでしょうか。
バイデン大統領はすぐにロシアの攻撃を否定し、ストルテンベルグNATO事務総長もそれを迅速に認めたため、戦争が激化する事態は避けられました。
ゼレンスキー大統領は諦めが悪い印象ですが、スリーピー・ジョーと揶揄されたバイデン大統領は、汚名返上の素晴らしい対応だと評価します。
オランダの努力で8年越しの真相究明
2014年にウクライナ東部の上空でマレーシアの航空機が撃墜され、乗客乗員298人が死亡した事件で、オランダの裁判所は17日、ロシア治安機関の元大佐ら4人のうち、3人に終身刑を言い渡しました。
親ロシア派の発射したミサイルでマレーシア機が撃墜されたと結論づけたものですが、事件への関与を否定しているロシア政府は4人の身柄を引き渡していないため、被告が欠席のまま公判が行われました。
この便の乗客はほとんどがオランダ人で、マレーシアに向かう途中の悲劇でした。
判決が下りるまでに8年の月日を要しており、関係者の方も遺族の方も苦しい日々だったとお察しします。
事件当初からロシア製ミサイルの破片が見つかっていたのですが、ロシアはウクライナの犯行だと主張していました。
その後、ウクライナ国内の親ロシア派に疑惑の目が移ります。
ここからオランダは、飛行機やミサイルの破片などを徹底的に分析し、事件の全貌を明らかにしていきます。
そして今回、4名中3名の終身刑(オランダには死刑がありません)という判決に至りました。
犯人はまだロシアにいるわけですが、政府に匿われているのであれば大問題です。
もし撃墜がロシアの命令によるものではなく、オランダの持つ証拠が確固たるものであれば、身柄の引き渡しに至るかはわかりませんが、ロシア国内で拘束される可能性は十分あります。
自分たちの同胞が被害にあったことに対して、ここまで粘り強く徹底した真相究明と裁判のプロセスを踏めることに感心しました。
日本を含め、他の国の政府ならここまでやれたでしょうか。
オランダの素晴らしい対応だと思います。
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※この記事は11月20日にBBTchで放映された大前研一ライブの内容を一部抜粋し編集しています
今週の大前の視点を読み、皆さんはどうお考えになりましたか?
今週はポーランド情勢のニュースを大前が解説しました。
大前は今後のロシアでの事業展開について、「いくらグローバル事業でクライアントがいるとしても、状況を鑑みて判断する必要がある」と指摘したうえで、「ロシアのように他国へ理不尽な対応をする国では、現在事業を行うべきではないと考える」と述べています。
企業が日々事業活動を行う中で、企業が社会の一員として倫理観を持つことを忘れてはいけません。
常に企業理念や行動指針を念頭に置き、自社のビジネスや働き方としてふさわしいかどうかを客観的に判断することが求められます。
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