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「物流24年問題の実態と解決策(前半)」三橋貴明 AJER2024.3.5

  

令和の政策ピボット呼びかけ人に「独身研究家 荒川和久先生」が加わって頂けました。

 

なぜ経団連は消費増税に賛成するのか?〜増税を利用してボロ儲けする影の支配者とは?[三橋TV第840回] 三橋貴明・高家望愛


https://youtu.be/DxaXRiauX7Q

 

 さあ、いよいよ4月1日です。24年問題が始まります。


 やはり、最も早期に問題が生じると思われるのが、運送です。本日以降、トラックドライバーの時間外労働に、年960時間の上限が設けられることになります。


 長期デフレにより供給能力が毀損し、人手不足に陥るという「サプライロス型インフレ」の状況で、さらに規制で供給能力(厳密には労働時間)を抑制する。前代未聞の社会実験の開始です。

トラック運転手に残業規制=産業界、消費者も迫られる対応=物流停滞に懸念・24年問題
 1日からトラック運転手の時間外労働に年960時間の上限が課される。働き方改革の一環だが、人手不足や物流停滞を招く「2024年問題」が懸念されている。経済活動や生活に不可欠な社会インフラの物流を維持するため、産業界や消費者も対応を迫られる。
 運転手の拘束時間も厳格化され、1人が1日で運べる荷物量や距離が減ることになる。物流シンクタンクのNX総合研究所は、対策を講じなければ24年度に14.2%の輸送力が不足し、30年度には34.1%の荷物が運べなくなると試算する。(後略)』

 今後の可能性としては、大きく二つ。
1.供給能力を抑制したものの、生産性向上の投資は起きず、ドライバーの実質賃金が高まらず、ますます人手不足に陥り、「モノが運べない」発展途上国と化す(そして、移民受入が加速する)
2.供給能力不足を生産性向上の投資で埋め、ドライバーの実質賃金が上昇。インフレギャップが解消される。
 

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 もちろん、話はオールオアナッシングではなく、1と2が入り乱れた形で推移することになります。


 一応、大手運送会社は、いくつかの生産性向上投資を進めているようです。


 例えば、車体と荷台の分離。積み込みをドライバーではなく、別の作業員が行う。その後、荷台を車体に載せ、運ぶ。


 あるいは、量子コンピュータを用い、最も積載効率が上がる積み方を計算する。運送サービスの場合、荷物形や重さ、輸送期限などが異なるさまざまな荷物を組み合わせ、積載しなければなりません。その組み合わせは膨大です。


 それを、量子コンピュータであっという間に計算し、その通りに積むことで、積載率が向上します。


 ちなみに、政府は、高速道路の大型トラック最高速度を時速90キロにするという、ショーモナイ規制緩和をします(本日から)。


 ご存じの通り、大型トラックが時速80キロ超で走ると、壮絶的に燃費が悪くなります。負担が運送会社に押し付けられることになるわけですね。


 速度規制の緩和は、「やったふり」としか思えないわけですが、一定規模の発荷主・着荷主、物流事業者にドライバーの荷待ち・荷役時間の削減やトラックの積載効率向上に向けた計画策定などを義務付ける物流総合効率化法は、すでに閣議決定されています。後半国会で成立することになるでしょう。


 いずれにせよ、今日から始まる強制的な運送サービス供給能力の抑制は、社会実験です。


 運送会社やドライバーのみならず、荷主(特に荷主!)や消費者にもできることは数多くあります。


 今回の社会実験が、何とか「2」の生産性向上と実質賃金上昇に結び付くよう、わたくしもできる限りのことはしたいと思います。さもなければ、というか、そうでなくとも、政府は運送の人手不足を「移民受入」に活用しようとしてきますので。
 

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