No. 1510 私たちの破壊された国

私たちの破壊された国

by Paul Craig Roberts

ある意味、ヒトラーは第二次世界大戦で勝利した。ユダヤの文化的なマルクス主義者はドイツを逃れ、米国に「March through the institutions」(共産主義を普及させるために教育や制度を通した長い行進によって行うというスローガン)を持ち込んだ。彼らはまず大学を、次に公立学校を行進し、民主党、企業の指導者、そして知的で教養ある人々の多くを西洋の道徳的・文化的伝統から切り離すことに成功したのである。

文化的なマルクス主義者は、文学の正典に文化的多様性が欠けていると攻撃することでこれを実現した。彼らは教育を利用して、否定的に描かれた自分たちの文化に敵対する人々の価値観や展望を学生に教え込んだのである。時が経つにつれ、研究対象としてのシェイクスピアやチョーサーは、クィア(性的マイノリティ)理論、ポストコロニアリズム、批判的人種理論、ジェンダー理論にとって代わられた。そして文化的統合によって形成された社会的一体性の代わりに、アイデンティティ・ポリティクスによる分裂が生まれた。

ジェンダー論は、男と女、男性と女性の区別をなくした。批判的人種理論は白人の子供たちに罪悪感を植え付け、彼らの人種と両親から引き離した。正常であることは排他的だとして非難され、変態の多様性に取って代わられた。これは数十年前から大学で進められてきたことであり、現在ではバベルの塔の新しい多様な文化に馴染んだ卒業生によって構成されている公立学校のアジェンダとなっている。

近年では行進は企業や男女のスポーツにまで及んでいる。ディズニーのCEOは子供たちに批判的人種理論やジェンダー理論を教え込むことを提唱している。米国の企業、大学、政府、軍隊の白人男性、異性愛者の従業員は、感受性トレーニングを受けなければならない。最近、デトロイト・タイガースは「プライド・ナイト」を開催し、好きなLBGTQ+団体への寄付を奨励した。女性の性別を名乗る男性が女子スポーツに出場するようになった。明らかに、今日のアメリカ文化は完全に混乱している。

このように混乱した社会が存在できるのだろうか。明らかに統一がないのだ。統一がなければ、社会も国家も存在しない。

では合衆国とは何なのか?アメリカ合衆国という名称は、シェイクスピアやキリスト教の道徳と同じくらい時代遅れではないだろうか? アイデンティティ政治と文化的多様性は一つの州の中での統一を許さないし、ましてや州の間の統一を許さない。

人々を団結させる文化がないときは力だけが頼りだ。それは強制力に依存した人工的な統一である。そのような国には権利章典や憲法による保護の余地はない。

罪の概念さえも裏返しにされてしまった。今日、性的倒錯に対する伝統的な道徳の不支持は、不寛容の罪として非難される。ひとたび道徳が武装解除されれば、退廃への障壁はすべて崩壊する。

そして、それは崩壊した。

新しいバリアは、打倒された文化の価値観に対する強制力だ。それはもはや許されていない。

若者たちはバベルの塔の中に生まれてくる。彼らにとってはそれが正常なのだ。

Our Destroyed Country