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『少子化対策はデフレ対策である(前半)』三橋貴明 AJER2020.1.28

 

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三橋TV第191回【「国民の皆さん○○して消費拡大して」って嘘でしょ?】
 
 新型コロナウイルスの流行を受け、各国が続々と「国境」を引き上げていっています。

 昨日、フィリピン政府が自国民と永住権を持つ者を除き、中国(香港、マカオ含む)からの入国を禁止。ニュージーランドも、中国を訪れた外国人の入国を禁止。
 ロシア政府も、1月31日に中国との陸上国境を閉鎖。韓国政府は明日から、過去14日以内の湖北省滞在経験者(※外国人のみ)入国全面禁止。台湾政府は、湖北省に加えて広東省の中国人も入国禁止。

 中国外務省によると、1月末時点で62カ国が何らかの入国規制措置を設けたとのことです。

 日本政府は、2月1日から中国湖北省発行のパスポートを所持する中国人の入国を原則禁止しています。さらに、中国各地の日本人に「一時帰国を含む安全確保」の検討を促しています。

 すでに、中国では上海などでも食料が入手困難になりつつあるとのことです。中国国内でも移動の制限が実施されている以上、当然ですが。

 昨日、中国浙江省の温州市が「都市封鎖」されました。武漢との距離を考えると、温州市と同じ程度である上海市の「封鎖」の可能性も、十分にあり得ると考えておくべきです。
 
『武漢から遠く離れた温州も都市封鎖、買い出しは「2日に1度 各世帯1人」中国
【2月2日 AFP】中国東部・浙江(Zhejiang)省温州(Wenzhou)市は2日、住民の移動を制限し、道路を封鎖した。新型コロナウイルスの感染拡大の中心地である中部・湖北(Hubei)省武漢(Wuhan)に次いで思い切った措置となる。
 人口900万人を抱える温州市の当局によると、生活必需品の買い出しのための外出は、2日に1度、各世帯1人に限り許可される。また、高速道路の料金所46か所も封鎖された。
 浙江省は湖北省に次いで新型コロナウイルスの感染者が多い省で、これまでに661人が確認されている。うち265人は、武漢から道路距離で800キロ超離れている温州で確認された。
 温州市は公の行事を中止し、プールや映画館、博物館などの公共施設を閉鎖。省境をまたぐ長距離バスだけでなく、地下鉄などの公共交通機関も運休となった。』
 
 今回の新型コロナウイルス流行を受け、改めて考えたのは「国境」の意味です。
 
【歴史音声コンテンツ 経世史論】

http://keiseiron-kenkyujo.jp/apply/
※「歴史に魅せられて、myと辿る邪馬台国への道(前編)」が視聴可能となりました。

 

 国境とは、もちろんモノ、ヒト、カネ、サービスの移動も制限しますが、同時に悪しきもの、例えば「疫病」が外国から国内に流入することを防いできたわけです。

 ちなみに、疫病とは家畜からヒトに感染するケースが多いのですが、家畜文明ではなかった我が国でも、疫病は何度も流行しています。

 崇神天皇の時代、疫病が流行し、大勢の国民が死にました。日本書紀によれば、
「民の死亡するもの、半ば以上におよぶほどであった」
 とありますから、半端ありません。日本書紀では「大物主」の呪いが原因とされていますが、実際には「外国から訪れた人」が原因でしょう。

 縄文時代から、日本人は樺太から朝鮮半島、沖縄まで丸木舟でぐるぐる動き回っていました。大陸との「人の交流」があった以上、疫病は普通に日本海や東シナ海を渡ってきます。

 逆に、日本列島が大陸から「ほどほど近く、ほどほど遠い」ため、疫病の流入を防ぐことができず、人々が抗体を持つに至った(厳密には抗体を持たない者は死んだ)。結果、1543年以降のポルトガル人、スペイン人到来の際に、彼らが持ち込む疫病に殺戮されることがなかった。

 日本列島が人の行き来が不可能なほど大陸と離れていた場合、イベリア半島の連中がやってきた際に、アメリカ大陸と同じ有様になった可能性があります。すなわち、文明崩壊です。(コロンブス以降のスペイン人が持ち込んだ疫病により、アメリカ大陸の先住民は95%が死んだと考えられています。(ジャレド・ダイアモンド:著「銃・病原菌・鉄」)

 疫病に限らず、我々が「国境」により守られていない場合、
「外国の産業、労働者との自由な競争により、国内市場で所得を稼ぐことが困難になる」
 という形で、苦境に立たされることになります。

 そもそも、イギリスが「自由貿易!」などと標榜したのは、国内の過剰な生産能力により生産される綿製品の「市場」を求め、世界最大の綿製品製造大国、消費大国だったインドに目を付けたためです。

 インドは軍事力を背景にした英東インド会社、英国政府により国境を引き下げられ、「モノ」の移動を制限できなくなります。
 産業革命を経て生産性が極端に高まったイギリス面産業に、インド側は全く対抗することができませんでした。

 イギリス製品が流入するまでは、綿布産業で繁栄を極めていたインドのダッカ、スラート、ムルシダバードなどの街は貧困化の一途をたどり、当時のイギリスのインド総督が、
「この窮乏たるや商業史上にほとんど類例を見ない。木綿布工たちの骨はインドの平原を白くしている」
 と嘆くに至ります。

 80年代以降の日本は、「自由貿易? 自由だからいいじゃない」といった幼稚なレトリックにより、ひたすらグローバリズムを推進。国境を引き下げ、自ら貧困化し、自分たちの「安全な生活」を破壊してきました

 今でも、
「国境は低ければ低いほどいい」
 と、歴史や経済、国家、主権について無知な連中が繰り返し、多くの国民はグローバリズムを礼賛というか、信仰している有様です。

 今回の新型コロナウイルスの流行を受け、我々は「私たちを守る国境」について、改めて真剣に頭を悩ませ、「適切な国境の高さ」について議論するべきです。

 別に、鎖国するべきだとは言いませんが、「国境は低ければ低いほど良い」という考え方も間違っています。必要なのは、「適切な国境の高さ」について、我々の生活、安全、ビジネス、歴史、文化、伝統、習慣、ライフスタイル、そして「人生」に基づき、臨機応変に決めることだと思うのです。 
 
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