- 本文の内容
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- 国内消費 4月の消費支出、前年比11.1%減少
- 伊藤忠商事 時価総額が総合商社首位
- レオパレス21 レオパレス、再建に暗雲
- みずほFG システム運用子会社を日本IBMに譲渡
- メルカリ 米フリマ事業、遠い黒字化
国内消費にみる国民生活の変化
総務省が5日に発表した統計によると、4月の2人以上世帯の消費支出は前年比11.1%減少しました。
減少率は比較可能な2001年以降最大で、パック旅行費や外食などサービス分野を中心に落ち込みが大きくなっています。
4月になって増加したものと減少したものを見ると、人々の生活にどれほど変化があったのか、如実に見て取れます。
増加したのは、マスク、パソコン、パスタ、ウェットティッシュ、ゲーム機、郵便料、即席麺、カップ麺、石鹸など。
一方、減少したのは、乳液、口紅、婦人用スラックス、タクシー代、背広代、定期代、飲食代、映画演劇などの入場チケット代、航空運賃、宿泊料、パック旅行、遊園地の入園料など。
私の近所でも、スーパーで買い物して自炊する人が増えているような印象を受けます。
そういった影響もあるのか、電子レンジが売れていると言う話も耳にします。
この調子でいくと、飲食店の回復には時間がかかると思います。
また、一気に回復するのではなく、まだらに回復していくような状況になると私は見ています。
伊藤忠商事が三菱商事を時価総額で上回った理由とは?
伊藤忠商事の時価総額が2日、終値ベースで三菱商事を上回り、初の総合商社首位となりました。
資源価格の急落で商社ビジネスの先行き懸念が強まる中、安定的な生活関連ビジネスに強い伊藤忠が相対的に買いを集めました。
純利益では、三菱商事は少し減少したものの、まだ伊藤忠を上回っています。
三井物産、住友商事も純利益が減少している中、伊藤忠のみ純利益を減らしていません。
時価総額ベースで伊藤忠が三菱商事を抜いたのは、私が記憶する限り初めてです。
三菱商事は、インドネシアなどの天然資源で大きく利益を出していますが、伊藤忠は細かくアパレルなどで稼いでいます。
ここにきて、純利益を落とさずに安定している理由の1つでしょう。
レオパレスに今必要なのは、現実的に経営を再建できる株主
日経新聞は5日、「レオパレス、再建に暗雲」と題する記事を掲載しました。
賃貸アパート大手・レオパレス21の2020年3月期連結業績が、803億円の最終赤字となる見通しです。
2018年に相次いで発覚した施工不備問題で改修費用がかさむことに加え、新型コロナウイルスの感染拡大で主力の法人利用が急減していることが響いています。
4月は転勤などで新しい需要が掘り起こせる時期ですから、それが空振りになったのは、レオパレスにとって非常に大きな痛手だったと思います。
その上、今後テレワークが普及することになると、転勤自体が見直される可能性もあり、以前のように回復できるかは定かではありません。
建築したアパートで施工不良が相次ぎ見つかり大きな問題になりましたが、やはりその影響が大きく、赤字額が大きすぎる状況になっています。
そのような状況において、村上ファンド(投資会社レノ)が株主として入り込んできて、経営を揺さぶっています。
重要なのは、村上ファンドには経営を脅かす力はあっても、立て直す力はないということです。
今必要なのは、「物言う株主」ではなく、現実的にレオパレスの経営を立て直す力を持ったファンドです。
そういう株主が入ってこない限りは、レオパレスはこのまま崩壊の一途をたどってしまうかもしれません。
みずほFGと日本IBMの座組みは、30年前に流行した手法
みずほFGは2日、システム運用を担う子会社・みずほオペレーションサービスの株式65%を日本IBMに譲渡すると発表しました。
子会社は持分法適用会社に留める方針で、これにより、みずほが持つ大規模システムの運用ノウハウと日本IBMの自動化、AIなどの先端技術を融合し、効率的なシステム運用を目指す考えです。
この手法は、今から20~30年前に流行ったやり方です。
特に、ロス・ペローがこの手法を活用していました。
例えば、GMやエクソンのシステム部門を買収し、その部門の業務を効率的に改善していきます。
効率化の結果として、稼働に余裕が生まれますから、その分他の仕事もこなせるようになる、というものです。
最近、この手法の大きなディールは見かけていなかったので、今回のみずほFGと日本IBMの話は非常に懐かしいと感じます。
日本IBMは、みずほFGの前身でもある富士銀行や日本興業銀行とも関わりが強かったので、そうした背景もあり、今回の株式取得に至ったのでしょう。
メルカリは米国の黒字化にこだわらないほうがいい
メルカリの2020年4-6月期決算で、米フリマ、スマホ決済事業の赤字が計300億円となりました。
巣ごもり消費の影響で米事業は上向いているものの、広告費やシステム開発費が膨らんでいることに加え、競合も多い現状で、黒字化のハードルはなお高いとしています。
私は、無理に米国で黒字化を目指さずに撤退しても良いと思います。
今の山田氏を見ていると、スプリントの黒字化に四苦八苦していたソフトバンクの孫氏を思い出します。
結局、ソフトバンクもTモバイルに歯が立たず、スプリントを黒字化することができずに終わってしまいましたが、メルカリも同じようにならないことを願うばかりです。
メルカリ全体として見れば、日本のオペレーションは非常にうまく機能していて、赤丸急上昇中ですし、大きな問題もないと言えます。
それだけに、米国の赤字は非常にもったいないと私は感じます。
米国の黒字化にこだわらなくなれば、メルカリは大きな重荷から解放されると思います。
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※この記事は6月14日にBBTchで放映された大前研一ライブの内容を一部抜粋し編集しています
今週の大前の視点を読み、皆さんはどうお考えになりましたか?
今週は国内消費や国内企業のニュースを大前が解説しました。
大前は、データをもとに、新型コロナウイルス感染拡大の影響を分析しています。
データの見方は1通りではありません。
報道をそのまま鵜呑みにするのではなく、「なぜそうなっているのか」自分の言葉で説明する力を磨くことが大切です。
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