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9月19日(土) 「安倍政治」の継続を許さず野党共闘で連合政権実現を [論攷]

〔以下の論攷は、『全国商工新聞』第3426号、2020年9月14日付に掲載されたものです。〕

 安倍政権の「負の遺産」と新しい政治の展望

 史上最長にして戦後最低・最悪の政権が幕を閉じました。持病の潰瘍性大腸炎が悪化を理由に、安倍首相が辞任を発表したからです。病気での辞任はやむを得ないことですが、できればもっと早く、私たちの力で安倍首相をその座から引きずり下ろしたかったと思います。
 辞任の直接的な理由は持病の再発ですが、本当は長年の悪政のツケが溜まり、政権運営に行き詰まったからではないでしょうか。一斉休校や「アベノマスク」配布、困窮世帯限定の30万円給付案の撤回など、相次ぐ新型コロナウイルス対策の迷走と国民からの批判、内閣支持率の低下などによって安倍首相のストレスが高まり、急速に病状が悪化した可能性があります。
 第1次政権での辞任も病気が理由でしたが、実際には直前の参院選で敗北し「ネジレ国会」となって政権を投げ出したのでしょう。今回も日本経済の先行きに展望が持てず、コロナ対策にお手上げとなり、政権運営に行き詰まって逃げ出したように見えます。そうであれば、持病が口実として利用されたことになります。

 日本全体が満身創痍

 コロナ禍の下で安倍首相の持病が悪化し「体調不良」に陥ったのと同様、日本全体も「統治不全」で満身創痍になっています。安倍首相は政治と経済、社会を壊せるだけ壊し、ガバナンスを崩壊させてその座を去りました。安倍首相には「長い」という以外に「レガシー(遺産)」となるものがありません。
 安倍政権は「異次元の金融緩和」による株価の上昇と国政選挙6連勝を武器に強権と独善によって権力を私物化し、自民党内と国会内での「一強体制」を実現することで長期政権となりました。しかし、その実態は「やっている感」の演出にすぎず、デフレ脱却や三本の矢、女性活躍、地方創生、働き方改革、人づくり革命など、スローガンを多発して政策を食い散らかすだけで、残ったのは「残飯の山」ばかりです。
 アベノミクスによっても実質賃金は上がらず、景気回復の実感はなく、2度の消費税率の引き上げで経済は沈滞し、コロナ禍によって大打撃を受けています。外交ではアメリカの顔色をうかがう従米政策を続け、拉致問題や北方領土問題は解決できず、韓国との関係も戦後最悪です。安全保障面では軍事大国化を目指し、国家安全保障会議(NSC)の新設、特定秘密保護法や安保法(戦争法)の制定、沖 縄・辺野古での埋め立て強行、米国製兵器の爆買いなどを進めてきました。
 このような個々の政策での「負の遺産」だけでなく、立憲主義や民主主義を真っ向から踏みにじる政治姿勢も深刻な問題を残しています。憲法を尊重し擁護する立場なのに国民の望まない改憲を最大の課題とし、「96条改憲論」や9条への自衛隊明記など手を変え、品を変えて改憲発議をめざしました。それでも支持が広がらず、挫折させたのは運動の力です。
 国会を軽視し、憲法53条に基づく臨時国会の召集要求を拒み、内閣人事局などで官邸支配を強めて忖度をはびこらせてきました。「モリカケ」や「桜を見る会」、河井夫妻への資金1憶5000万円などの問題では、嘘やごまかし、言い逃れが相次ぎ、公文書の隠ぺいや偽造にまで手を染めました。統治機構をゆがめて政治への信頼を損なったのは大きな問題ですが、その疑惑の中心にいたのは安倍首相夫妻です。

 差別と分断乗り越え

 このような安倍首相にただ一つ〝功績〟があったとすれば、それは市民と野党の共闘を促進したことです。今後、「安倍政治」によって荒廃した日本を立て直すために、ポストコロナ社会にふさわしい差別と分断のない新しい政治を実現しなければなりません。安倍なき「安倍政治」を引き継ぐ自公の亜流政権では、それは不可能です。
 時あたかも、野党再編によって立憲民主党と国民民主党、無所属グループなどによる「合流新党」が生まれ、野党共闘に新たな展開が生じています。この新党は旧民主党が単に「元のさや」に納まったものではなく、新自由主義からの脱却と共産党との連携をめざすリベラルで共闘志向の強い「大きな塊」だという特徴があります。
 3年前には小池百合子都知事や前原誠司民進党代表と共に野党分断に加担した連合の神津里季生会長も、今回は新党結成に協力しています。過去3回の参院選と衆院選で野党共闘は大きな成果を生み、東京都知事選でも25の全小選挙区で市民選対が確立するという実績を積んできました。戦争法反対運動以降、5年間の市民運動は無駄ではなかったのです。
 新首相の就任後、早期に解散に打って出て不意を突こうとする動きがあります。野党の側も選挙準備を急ぎ、協議を始めるなど共闘態勢を確立しなければなりません。野党結集の動きをさらに強め、新しい市民と野党の政治を実現できるような連合政権の樹立に向け、次の総選挙が政権選択にふさわしい選挙になることを願っています。

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