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「潜在成長率の誤解に殺される(前半)」三橋貴明 AJER2020.10.26
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日米に格差拡大をもたらしたトリクルダウンという「貨幣のプール論」[三橋TV第315回]
さて、20年7-9月期(Q3)の経済成長率が発表になりました。
当たり前ですが、4-6月期に緊急事態宣言がありましたので、回復することは分かっていました。問題は、どこまで戻るか、です。
ちなみに、他の国の4-6月期、7-9月期のGDPを見てみると(年率換算)、
アメリカ 4-6月期 ▲32.9%⇒7-9月期 +33.1%
EU 4-6月期 ▲39.5%⇒7-9月期 +61.1%
と、回復(7-9月期)の方が「数字」は大きくなります。(もちろん、対前期比のパーセンテージなので、戻ったわけではないですが)
対する日本は、4-6月期 ▲28.1%⇒7-9月期 +21.4%。
最も戻りが遅い・・・・・・・。
『GDP回復、米中より鈍く 経財相「守りのマインド」
2020年7~9月期の実質国内総生産(GDP)は前期比年率21.4%増と4期ぶりのプラス成長に転じた。新型コロナウイルス禍による落ち込みからいち早く持ち直した中国や米国よりも回復のペースは緩やかだ。設備投資の減少が続くなど経済の正常化はまだ見通せていない。
西村康稔経済財政・再生相は7~9月期のGDP発表後の記者会見で「着実に経済は戻っているが、持ち直しの動きはまだ途上だ」と述べた。戻りが遅れる理由として「マインドがまだ守りの状態にある」と指摘した。
日本のGDPは1~3月期と4~6月期で合計8.7%減った。7~9月期は5.0%増えたが、19年10~12月期と比べた回復率はまだ52%にとどまる。4~6月期にプラス成長に回帰した中国は7~9月期と合わせてGDPが15%近く増えた。コロナ禍による1~3月期の落ち込みを上回る回復となっている。(中略)
4~6月期は経済の潜在的な供給力を需要が55兆円下回った。西村氏は7~9月期も「30兆円を上回るギャップが存在する」との見方を示し「民需主導の成長軌道に戻すことが大事だ」と述べた。デジタル化やグリーン化、中小企業の事業再構築などの支援を盛り込む追加経済対策の策定を急ぐ考えを強調した。』
ちなみに、これだけ経済がアップダウンする時期には、対前期比や対前期比年率の方が重要になります。
実質GDPの対前年比は、▲5.8%・・・。
名目の方も見てみましょう。
【日本の名目GDPの推移(四半期ベース、兆円)】
http://mtdata.jp/data_72.html#GDP20Q3
直近のピークである19年7-9月期(消費税増税前)を回復するのは、いつの日になることやら。
【三橋貴明の音声歴史コンテンツ 経世史論】
特別コンテンツ「歴史に魅せられて、myが聞いてみた~第一回 歴史時事編~」公開中!
http://keiseiron-kenkyujo.jp/keiseishiron/
ちなみに、西村大臣は、
「マインドがまだ守りの状態にある」
などと寝言を言っていますが、日本のGDPの戻りが遅い理由は一つしかありません。
政府の財政政策が足りないせいだよ!
この状況で、「守りのマインド」とか抽象論で誤魔化し、緊縮財政と構造改革というデフレ化政策を続けるつもりかよ。
続けるつもりのようです。
さすがに、デフレギャップが大きいことは認めざるを得ないため、第三次補正予算は組まれるでしょうが、同時に、
「中小企業の事業再構築」
「デジタル化やグリーン化」
と、構造改革のメニューが経済対策に組み込まれるわけです。
今回のコロナ恐慌を「チャンス」とみて、誰も反対できない補正予算の中に構造改革のメニューをぶち込む「ショック・ドクトリン」というわけですね。
つまりは、今や日本は、
「充分な第三次補正予算が組まれる」
状況になったとしても、全く油断ができない状況ということです。何しろ、どんな「毒」が入ってくるのか、分かったものではない。
30兆円規模の補正予算を組むのは当然として、内容は、
「粗利補償」
「再度の特別定額給付金・持続化給付金」
これだけでいいです。
同時に、コロナ拡散の可能性がある「Go to トラブル」は中止する。というか、粗利補償さえすれば、観光業も飲食業も生き残れます。Go To何とかはいりません。
いずれにせよ、今回の経済成長率の発表で、
「日本政府の経済対策がいかに不足していたのか」
が、明らかになりました。
与党、野党の国会議員の皆様には、「日本の戻りが主要国最低」という現実を見た上で、現実逃避せずに、政策を議論することを望みます。
「政府は現実逃避せずに、対策を打て!」に、ご賛同下さる方は、