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10月23日(金) ポスト安倍時代における憲法闘争の課題(その1) [論攷]

〔以下の論攷は、2020年9月18日に開催された「「安倍政治」の継続許さない!―九条の会東京連絡会9・18大集会」での講演の記録です。『生きいき憲法』No.69、2020年10月14日付に掲載されました。3回に分けてアップさせていただきます。〕

1. 安倍政権の行き詰まりと「安倍なき安倍政権」

■ 持病再発を理由とした安倍辞任とその背景

 辞任の理由は持病の悪化でしたが、その背景には安倍政治の行き詰まりがありました。今日、安倍さんと関りのあるジャパンライフの山口元会長など14人が逮捕されました。政権に居座り続けていたら、このようなボロが出てくる。「桜を見る会」やモリカケ疑惑、河井夫妻の巨額買収事件。1億5000万円の一部が安倍陣営に還流したのではないかとも言われており、裁判の中で新しい事実が出てくる可能性もある。コロナ対策の迷走、支持率低下の中で、「あとは菅さん頼むよ」ということで、政権を投げ出したのが実情ではないかと思います。

■ 菅政権――派閥談合の「安倍なき安倍政権」

 後を継いだのが菅義偉さんです。国家観が明らかではない。ビジョンがない。出てくるのは、携帯電話の値下げをします。デジタル化を進めますという各論ばかりです。総理大臣には総論やビジョンを示してもらわなければならない。こういう人が首相になって、日本をどこに導いていくのか。はっきりしているのは安倍さんの路線を引き継ぐ、転換しないということ。それを約束して5つの派閥に担がれた。
 自民党はこれまで長期政権をどのように維持してきたかというと、ある種の「疑似政権交代」があったからです。目先を変える、右から左へ、左から右へ。金権政治の田中からクリーン三木へという形で、振り子を振らせることによって目先を変え、政権が変わったかのような印象を与えて支持を回復する。これで政権を維持する。こういう手法を使ってきた。今回は、完全に古い自民党、それも「談合政治」という形で「振り子」が振れずに菅政権へ受け継がれることになった。
 菅さん自身は無派閥だが、7つある主要な派閥の5つによって支持され、自己改革のチャンスを逸した。自浄能力のなさが露呈した。ここまで自民党は腐ってしまったのかと愕然とする。「安倍なき安倍政治」がこれから継続する。今まで安倍さんを支えてきた菅官房長官が首相に、そして二階幹事長、麻生副総理兼財務大臣もそのまま居座る。3本柱がそのままです。
 今回のシナリオを書いたのは二階さんだといわれています。菅さんはGOTOトラベルの前倒しを主張しましたが、あのときが始まりです。二階さんは全国旅行業協会の会長で、運輸・旅行関係のドン。この二階さんとの密約があったのでは、ということです。81歳の人が後ろで糸を引いて、71歳の人が暗躍する。これが今のこの国の政治の実態だ。構造の変化も新鮮さのかけらもない、行き詰まって辞めた安倍さんの後を継いだ人が、その行き詰まった路線を引き継ぐことになる。

■ 新内閣の顔ぶれと解散総選挙

 こういう中で、解散の時期についての憶測が飛んでいます。ひとつはコロナの感染状況がどうなっていくのか。もう一つは経済が復活するか、停滞したままか。そういう中で世論と支持率がどう変化するか。野党の選挙準備の態勢も影響します。
 ただ、新しい内閣を見ますと、すぐに解散するような顔ぶれではない。新入閣は5人しかいない。そのうちの一人が平沢勝栄さんで75歳。安倍さんの家庭教師だった。岸信夫防衛大臣は安倍さんの実弟。どちらも安倍さんが菅さんに頼んだのではないかと。もう一人、情実人事といわれているのが加藤勝信官房長官。安倍内閣の下で官房副長官でしたから、菅さんが使いやすいといわれていますが、母親の麻雀仲間だった安倍洋子さんに頼まれたのではないかと。
 もう一人、話題になっている人が平井デジタル担当相。国会の委員会審議の最中にワニの動画を見ていたとか、福島社民党党首の動画に「黙れ、くそばばあ」などと書き込んで問題になった人です。こんな過去のある人が今回入閣しています。

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