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『現金給付10万円から解る貨幣の真実』(前編-1)』三橋貴明 AJER2020.5.26

 

令和の政策ピボット呼びかけ人に、高橋あさみ様(私立Z学園高等学校 1年4組 16歳)が加わって下さいました。
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三橋TV第243回【「日銀による国民への現金給付」について議論してみた】
 
 アメリカや香港が大変な状況になっていますが(両国・地域だけではないですが)、日本の「緊縮財政からのピボット(転換)」が重大な局面でございますので、我が国に注力を続けます。世界情勢に関するエントリーを期待されている方、ごめんなさいね。

 新型コロナウイルス感染症パンデミックと第二次世界恐慌により、かつてない規模の補正予算(x2)を組むことになりました。これは、2019年までには考えられなかった「成果」です。
 
【日本の政府貨幣発行額(兆円)】
 
 ここで言う「政府貨幣」とは、国債の償還や利払い以外の「新たな国債発行による支出」になります。つまりは、国民への支出なり所得移転なりで渡る新たな貨幣でございます

 別に難しい話ではなく、要するにプライマリーバランスの赤字なんですけどね。

 元々、2020年度はわずか9.2兆円のPB赤字が予定されていました。安倍政権は、本気で2025年度までのPB黒字化を実現しようとしていたのです。
 まさに、国民殺しの政権です。

 昨日や一昨日の解説でご理解されたでしょうが、政府が「PB赤字=純負債(債務超過)の拡大」をゼロにするということは、その分、我々の純資産が増えないか、もしくは減るということになります。

 資本主義において、政府と並び金融面の純負債(債務超過)を拡大するべき一般企業が、延々と資金過剰(純資産の増加もしくは純負債の減少)を続けている以上、政府が本当にPB黒字化を達成した場合、我々「家計」が純資産激減か、純負債激増という地獄を見ることになります(統計的に、どうにもなりません)。

 この「誰かの純資産が増えたとき、必ず別の誰かの純負債が増えている」という「原則」は、個人的に極めて重要だと考えています。何しろ、財務省は、
「政府の債務超過(純負債)は、徴税により解消するべき」
 というスタイルを貫いているのです。つまりは、我々の純資産を奪い取り、政府の債務超過を消す。

 そんなバカな、と思われるかもしれませんが、本当にそうなのです。例えば、昨年4月17日に財務省が「MMTへの反論(と報じられた)」として出した「説明資料 (わが国財政の現状等について)」を覚えています?

 わたくし以外に誰も指摘しなかったのですが(というか、わたくしがこういうのが好き)、財務省は「日本銀行の国債保有について」において、
「政府と日本銀行を統合して考えれば政府の負債(国債)と日本銀行が保有する資産(国債)が相殺されるとの指摘があるが、 仮に政府と日本銀行のB/Sを統合したとしても、日銀の保有する国債の額だけ政府の債務が見かけ上減少するだけであり、 当座預金等の日銀の債務が負債に計上されるため、負債超過の状態は変わらない。
 と、「負債超過(=債務超過=純負債)」が悪である、と言っているとしか読めない表現をしているのです。

 いや、政府は負債超過でないとまずいでしょう。何しろ、政府が負債超過を解消すると、我々の純資産がその金額分、消滅します。

 ところが、財務省は「政府」という一経済主体「のみ」をクローズアップし、負債超過、債務超過であることを問題視しているのです。

 というわけで、財務省が発明したツールの一つが、「歳出には国債償還を含めるが、歳入は税収に絞るワニの口」でございます。

 

【三橋貴明の音声歴史コンテンツ 経世史論】

http://keiseiron-kenkyujo.jp/apply/
皇統論「第十六回 仏教伝来」、歴史時事「第十六回 疫病の人類史」がリリースになりました。

 

第2次補正予算と日本財政の姿 「上あご」が折れた「ワニの口」
 新型コロナウイルスの感染拡大を受け、先般(2020年5月27日)、政府は2020年度における第2次補正予算の閣議決定をした。今回の補正予算(一般会計)は約31.9兆円、事業規模は約117兆円である。国の一般会計における当初予算は約102.6兆円であったが、約25.5兆円の第1次補正予算と合わせ、歳出合計は約60兆円増の約160兆円となった。
 これに対応する歳入は、税収等が約70兆円、公債金収入が約90兆円の合計160兆円だ。 歳出のうち国債費が24兆円(利払い費が約10兆円、債務償還費が約14兆円)であるから、国の一般会計において、基礎的財政収支の赤字幅は約66兆円、財政赤字は約76兆円に拡大した。2020年1-3月期1次速報値では、2020年度の名目GDPの予測値は約552兆円であるので、2020年度の財政赤字(対GDP)は13.7%になる可能性があることを意味する。
 この結果、国債発行計画における市中消化分は、第2次補正予算後において、128兆円(当初予算)から212兆円に、約90兆円も急増した。このような状況でも、国債発行の市中消化が可能なのは、第1次補正予算編成のとき、日銀が国債の買い入れをする「年間約80兆円」の保有残高増の目途を撤廃したからだが、この危機時の対応が永久に継続できるわけではない。 (後略)』
 
 ながなが~、と書いていますが、要は「ワニの口が開いた!上あごが上に折れた!大変だ!」という話です。一応、言っておきますけど、下あごも確実に下に折れますよ、2020年度は。この状況で、予定通り一般税収が上がると考えている人はいないでしょう。

 小黒は、
「国債発行は将来世代に負担を先送りする可能性があるため」
「将来世代に負担を先送りすることのないよう」
 と、懸命に国民の「善意」に訴え、財政破綻論を信じ込ませようとしていますが、そんなに政府の国債発行残高が気になるならば、
「じゃあ、日本銀行が国債を買い取れば終わりじゃん」
 で、はい、終了。

 というか、すでにして日本銀行は日本国債の47%を保有しているのですが? 日銀保有の国債については、償還も利払いも不要です。(今は、利払いして、国庫納付金として戻し、税外収入として組み込むという妙なことをしているみたいですが)

 小黒は日銀の国債購入について、「この危機時の対応が永久に継続できるわけではない。」と、書いていますが、誰が「永久」に継続しろと言っているんだ。

 インフレ率が適正な水準に達するまで、日本政府の財政拡大と日銀の国債買取を続ければいい。ただ、それだけの話。

 そもそも、政府の負債が積み上がることが問題で「将来世代に負担の先送りになる」というならば、日本政府の純負債(債務超過、財務省の言う負債超過)が、1980年から2018年まで15倍(!)に膨らんでいるにもかかわらず、金利は上がらず、インフレ率も低迷している事実をどう説明する気だ。我々は「過去の日本人の国債発行のツケ」を負担しているのか?
 
【日本の中央政府の純負債(左軸)と長期金利・インフレ率(右軸)】
 
 違う。我々は、デフレで企業が純負債を縮小する状況であるにも関わらず、小黒のような財政破綻論者の影響で、政府が十分な純負債拡大(国債発行)をしなかった。結果的に、貧困化し、わたくしから下の世代は結婚もできず、子供も作れず、世代ごと「消滅する」という形で負担を強いられているのだ。

 この種の「将来世代に負担を先送りしないために」のレトリックを多用する「善意の仮面を被った人間の屑たち」は、容赦なく批判、糾弾しなければなりません。
 
 小黒一正。お前のような嘘つきの財政破綻論者を放置することこそが、まさに「将来世代への負担の先送り」なんだよ。
 

「財政破綻論者の放置こそが将来世代への負担の先送りだ」に、ご賛同下さる方は、

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