ビジネスガイド10月号

 (株)日本法令様から、『ビジネスガイド』10月号(通巻924号)をお送りいただきました。いつもありがとうございます。

 今号の特集は「男女の賃金差異開示義務化/副業・兼業ガイドライン改定制度解説&実務対応」と「改正育児・介護休業法Q&A/社保料免除」で、いつも思うのですが毎月毎月新しい仕事が増えて担当者は大変だろうと同情に絶えません。その分この手の業界誌の役割も大きいということでしょうか。
 八代尚宏先生の連載「経済学で考える人事労務社会保険」は「外国人労働者政策の転換」を取り上げています。今年の7月に古川前法相が「特定技能制度・技能実習制度に係る勉強会」での検討を受けて「(特定技能・技能実習)両制度の、特に技能実習制度の見直しを本格的に検討する」と表明したことを受けて、今後の外国人労働政策の方向性を論じておられます。その上で、具体的には(おおざっぱにまとめると)技能実習制度を廃止し、特定技能制度の「一定の日本語能力が必要」という要件を維持しつつ未熟練労働者にまで対象を拡大し、たとえば3年以内に現行特定技能制度が対象としている「中度人材」としての資格を得られればその後の長期滞在を認めることを提案し、外国人雇用の規整のための「外国人雇用法」の制定を提言しておられます。古川前法相は官房長官法務大臣が共同議長となっている「外国人材の受入れ・共生に関する関係閣僚会議」の下に有識者会議を設けて検討する考えを示していましたが、残念ながら葉梨法相に交替したこともあってか、その後の議論は進んでいるようには見えません(まあ私が知らないだけで霞が関の中では検討が進んでいるとは思いますが)。意見の分かれるテーマであるだけに、今後の動向を注視したいところです。大内伸哉先生のロングラン連載「キーワードからみた労働法」は今号特集のメインテーマともなっている「男女賃金格差情報開示義務」が取り上げられ、その解説にはじまって情報開示義務の機能や規制手法としての情報開示、他の方法と比較した格差是正手段としての効果、情報開示を受ける国民の判断能力の向上などが論じられています。