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「安倍政権のレガシー(前編):前半)」三橋貴明 AJER2020.9.7
https://youtu.be/y_CDVrmPJt0
令和の政策ピボット呼びかけ人に、高橋あさみ様(私立Z学園高等学校 1年4組 16歳)が加わって下さいました。
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「貧困層への支援は不要。貧困層は子供を作れず、そのうち消滅する」という話っ!? [三橋TV第285回]
https://youtu.be/8tX5WNem6vI
さて、先日から「潜在成長率」と「構造改革」の話を取り上げていますが、現在の日本では、
「単なる過去の平均GDPに過ぎない「平均概念の潜在GDP」の成長率(いわゆる「潜在成長率」)を引き上げるために、規制緩和、民営化、自由貿易など競争を激化させる構造改革が推進される」
「デフレ化政策である構造改革を繰り返すことで、GDPが成長せず、平均GDPが下がり、「潜在成長率を引き上げるための構造改革だ!」とのレトリックが叫ばれる」
「潜在成長率は、実は平均成長率に過ぎないため、現実の経済成長率低ければ潜在成長率が低迷し、かつ大幅にマイナス成長になると、ゼロになる(※リーマンショック期)」
状況で、さらに2020年のコロナ恐慌により、我が国の潜在成長率は少なくとも四、五年は「ゼロ」が続くこと確実だと思います(よほど凄い回復をすれば別ですが)。
つまりは、次なる内閣にとっては、
「潜在成長率を引き上げる」
という名目で、潜在成長率を引き下げる構造改革を推進する絶好の「草刈り場」が到来するのです。
『情報BOX:自民党総裁選、候補者3人の「公約」でそろう
https://jp.reuters.com/article/jp-ldp-idJPKBN25X10V?il=0
(前略)石破氏:東京一極集中を解消、潜在成長率の引き上げと都市と地方間の格差を是正する。デフレに後戻りしないマクロ経済政策の骨格を維持、デジタル基盤を整備する。低所得者や子育て世代を支援し消費を喚起する。(後略)』
総裁選において、現在の日本にとっても経世済民に資する政策を(相対的な話)を主張しているのは、実は石破元幹事長です。東京一極集中の解消、都市と地方間の格差の是正、低所得者や子育て世帯を支援し消費を喚起。
とりあえず、
「緊縮財政である限り、何もできないね」
という突っ込みや、
「消費税減税は、結局、口にできなかったんだね」
といった諦観は脇に置き、物凄く気になったのは「東京一極集中」と「都市と地方間の格差是正」の間に「潜在成長率引き上げ」が入っている点です。
現在の統計が「平均概念の潜在GDP」を使っている以上、潜在成長率引き上げの方法は簡単です。実際のGDPを成長させればいいのです。
というか、他に方法はありません。そういう意味で「東京一極集中」「都市-地方間格差是正」と、「(平均概念の潜在GDPの)成長率引き上げ」は矛盾しません。
とはいえ、本当にそこまで理解しているのかなあ? という点が気になります。何しろ、我が国では、
「潜在成長率引き上げ政策=構造改革」
という、嘘八百というか、むしろ逆効果の政策が推進されるのが恒常化しているのです。
【三橋貴明の音声歴史コンテンツ 経世史論】
http://keiseiron-kenkyujo.jp/apply/
※特別コンテンツ、近現代史研究家・林千勝先生【大東亜戦争の真実~奪われた勝利への道~】が視聴可能となりました。
いずれにせよ、潜在成長率がゼロに落ち込む今後数年間、日本ではこれまで以上に「構造改革」が推進され、国民や企業、生産者を不要(というか有害)な競争に叩き込む政策が繰り返されることになるでしょう。
特に、コロナ危機を受け「ゾンビ企業論」「企業の新陳代謝論」が復活してきました。
自分は「絶対に安全な場所」から、苛烈な競争の中で苦しみ、業績が悪化している企業、経営者、従業員に対し、
「お前たちは甘やかされている。ゾンビ企業は退場させ、新陳代謝を進める必要がある」
と言ってのける、人間の屑たちが跋扈することになるでしょう。
『菅氏、中小企業の再編促す 競争力強化へ法改正検討
https://r.nikkei.com/article/DGXMZO63502940W0A900C2EA2000?n_cid=NMAIL006_20200906_A&s=4
菅義偉官房長官は5日の日本経済新聞のインタビューで中小企業の統合・再編を促進すると表明した。中小の成長や効率化の阻害要因とも指摘される中小企業基本法の見直しに言及した。アベノミクスの継承と同時に、グローバル市場における日本経済の競争力強化に政策の照準を定める。(後略)』
菅官房長官の言う「競争力強化」は、実は嘘で、単なる「競争強化」です。実際には、需要不足と「それ故の過激な競争」が「成長や効率化の阻害要因」になっているにも関わらず、真逆のレトリックで中小企業を潰しにかかる。
後略部で、菅官房長官は、
「中小の再編を必要であればできるような形にしたい」
と語っています。つまりは、潰れるところは潰れろ、という話です。さらに、
「地方の銀行について、将来的には数が多すぎるのではないか」
と、銀行の寡占化という、まさに発展途上国型の収奪型制度を目指す方針を明確化しています。(収奪型制度の国は、例外なく銀行が寡占もしくは独占状態になる)
もっとも、確実に「安倍以上」となる菅内閣(予定)の構造改革路線は、長続きはしないでしょう。何しろ、国民が耐えられません。
そして、長続きさせてはいけません。
潜在成長率引き上げのための構造改革、だの、コロナ危機の最中に「ゾンビ企業」「新陳代謝」「中小企業の再編」などと言い出す連中が、いかに嘘つきであるか。多くの国民が早急に理解し、民意に基づき、構造改革にストップをかけなければならないのです。
何しろ、「次の内閣」は、「安倍政権以上」の構造改革、グローバリズム路線を突っ走ることが、ほぼ確定しているのです。
「国民を苦しめ、死に追い込む構造改革路線と決別しよう!」に、ご賛同下さる方は、