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「安倍政権のレガシー(前編):前半)」三橋貴明 AJER2020.9.7
https://youtu.be/y_CDVrmPJt0

 

    

 

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安倍総理のレガシー 労働集約型の発展途上国と化していった日本 [三橋TV第287回] 
https://youtu.be/Lr-88eDI-Ek

 

移民受け入れ日本の若者が不幸に?ドイツ、マレーシアの悲劇

https://youtu.be/00LmxrNM5kE

 

※本日のエントリーは上記二つの動画を視てからお読みいただければと存じます。

 

 何か、未だに、
「安倍政権で就業者数が増えたから、実質賃金が減って当たり前だ!」
 と、名目賃金や平均賃金と混同(わざと?)した安倍政権の経済政策擁護論がありますが、何度も何度も書いていますが、実質賃金は二つの要因でしか決まりません。
 すなわち、「生産性」と「労働分配率」です。


 実質賃金は、金額の絶対値ではなく「指数の動き」を見る指標です。実質賃金を見れば、生産性と労働分配率の状況が分かります。
 また、生産性は「生産量」で考えると分かりやすいです。

 

 以下の例では、実質賃金については「金額」で示していますが、重要なのは「動き」です。賃金水準を金額のみで見ると、物価の影響を受けてしまうため、「実質」賃金にはなりません。
 
【企業A】
 売上 1000万円
 売上原価 300万円
 粗利益(付加価値) 700万円
 労働分配率 50%
 給与総計 350万円
 従業員数 10人
 実質賃金 35万円

 の企業があったとします。この状況で、従業員数が変わらず、投資により生産性が向上し、生産量が二倍になった。物価が変動していないと仮定すると、売上2000万円。
 さらに、労働分配率が60%に高まった。

【企業A】
 売上 2000万円
 売上原価 600万円
 粗利益(付加価値) 1400万円
 労働分配率 60%
 給与総計 840万円
 従業員数 10人
 実質賃金 84万円

 となります。上記は、実質賃金が2.4倍になっています。従業員が、以前よりも2.4倍の「量」の財・サービスを買えるようになったという話です。まさに「豊かになる」でしょ?

 

 しつこいですが、実質賃金は生産性と労働分配率で決まります。


 つまりは、実質賃金の下落は、「従業員一人当たりの生産量が減った」ことを意味するのです。(労働分配率が余程下がっていない限り)


 実際、日本の企業の生産性は全く伸びていません。アトキンソン氏が中小企業の生産性の低さを問題視していますが、大企業にしても「伸びていない」ことに変わりはないのです。

【日本の企業規模別従業員一人当たり付加価値額(労働生産性)の推移(万円)】
http://mtdata.jp/data_71.html#seisannsei

 そして、生産性向上のための投資が行われない中、女性や高齢者が労働市場に投入された。

 

【日本の男女年齢階層別就業者数の推移(万人)】

http://mtdata.jp/data_71.html#koyou

 まさに、女性活躍社会! 一億総活躍社会! でございまして、第二次安倍政権以降、日本は労働集約型の発展途上国と化していったわけです。

 

【三橋貴明の音声歴史コンテンツ 経世史論】

http://keiseiron-kenkyujo.jp/apply/

※特別コンテンツ、近現代史研究家・林千勝先生【大東亜戦争の真実~奪われた勝利への道~】が視聴可能となりました。

 

 ちなみに、日本経済がデフレ化する前は、就業者数と実質賃金は「同じ動き」をしていました(両方伸びていた)

「安倍政権で就業者数が増えたから、実質賃金が減って当たり前だ!」

 論者の皆さん。目玉が残っているならば、97年以前のデータについて説明してごらんなさい。(てかな、あんたら本当にデータ見ないし、示さないな。わざとだろうけど)

 

 あるいは、安倍政権以前の就業者数が減っている時期、実質賃金が上昇していないのはなぜ? あんたたちの論法なら、

「就業者数増加⇒実質賃金下落」

「就業者数減少⇒実質賃金上昇」

 にならなければ、おかしくない?

【日本の就業者数(左軸)と実質賃金指数(右軸)の推移】


http://mtdata.jp/data_71.html#syuugyou

 「就業者数増加」と「実質賃金下落」が明示的に確認できるのは、小泉政権後期と第二次安倍政権以降です。恐らく(というか確実に)「製造業への派遣解禁」に代表される労働規制の緩和が影響しているのでしょう。


 結局のところ、問題の本質は、
「将来のために投資をするのか、否か?」
 なのでございますよ。

 ヒト、を雇いやすく切りやすい、にしてしまうと、企業は投資をしない(特に設備投資と人材投資)。理由は、する必要がないから。雇ったヒトを懸命に教育し、育て上げる人材投資は、特に不要になります。となると、生産性は上がらない。


 あるいは、少なくとも民間企業の投資は「将来が良くなる」という期待なしでは実行されません。デフレという経済環境は、将来が「悪くなる」という期待をもたらします。となると、投資がなされず、生産性が上がらない。


 生産性が伸びない状況で、少子高齢化により生産年齢人口比率が下がるとなると、当然ながら「女性活躍社会」「一億総活躍社会」にならざるを得ない。それでも、「労奴」が足りないとなると「移民受入」というわけでございます。


 安倍政権の経済政策は、国民の実質賃金を「上げない」という点では、実に首尾一貫していたのですよ。実質賃金とは、国民の購買力そのものです。国民の購買力を押さえつけ、デフレ脱却などできるはずがない。


 そして、国民の所得を引き上げたくない理由は、もちろん、
「人件費が上昇すると、株主に支払う配当金の原資(純利益)が減るじゃないか!
 という話です。同時に、投資抑制も、
「投資を増やしたら、減価償却費が大きくなり、株主に支払う配当金の原資が減るじゃないか!」
 でございますよ。


 つまりは、日本は株主資本主義に基づく「政策」によって「労働集約型の発展途上国」になっている。政策が変わらない限り、この流れは止まらないのです。


 実は、現在の日本の「労働集約型の発展途上国化」は、資本主義の原則に反しているのですが、この話は次回。
 とりあえず、資本集約型の経済政策へと、舵を切り直さなければなりません
 

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