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4月14日(水) 福島第1原発の放射能汚染水海洋放出は政権を変えることで阻止するしかない [原発]

 「全てウソだったのか」と、怒りに胸が震える思いだったにちがいありません。福島第1原発の放射能汚染水の海洋放出の決定を聞いた福島の人々です。
 増え続ける放射能汚染水を浄化処理した後の水の処分について、「関係者の理解なしにはいかなる処分も行わない」と約束していたはずではありませんか。先日、菅首相と会見した全漁連会長は「絶対反対だ」と言明していたではありませんか。
 その約束を反故にし、福島県内の7割の自治体の反対・慎重対応を求める意見書を無視しての明白な裏切り行為でした。関係者が怒りの声を上げ、反対を表明するのも当然でしょう。

 政府は13日、東京電力福島第1原発の汚染処理水の処分について、放射性物質トリチウム(3重水素)の濃度を下げた後、海に流す方針を決めました。実際の放出は約2年後の2023年からになる見通しです。
 新たな「風評被害」が確認されれば、東電が賠償するとしています。さらに、政府・東電は漁業関係者らの意見を聞いて具体的な対策を練ることも確認されています。
 全国漁業協同組合連合会(全漁連)や地元の漁協などが反対する姿勢を崩さない中での決定の強行となりました。全漁連は、「到底容認できない」と抗議声明を出しています。

 政府が決定した方針によれば、トリチウムは自然界にも存在し人体への影響は小さく、国の基準以下に薄めて放出するとされています。薄めたからといって、放出されるトリチウムの総量が減るわけではありません。
 しかも、このような説明が正しいのか、他の放射性物質が完全に除去されているのかという点について、東電を信用するわけにはいきません。これまでも情報を隠したりウソでごまかしたりしてきた東電ではありませんか。
 原子力規制委員会は14日、東京電力柏崎刈羽原発のテロ対策に不備が続いていた問題で東電に対して状況の改善が確認されるまで運転を禁止する命令を正式に決定しました。その東電が、この問題に関してだけ、言うことが正しく約束を守ると、一体誰が信ずるでしょうか。

 最大の懸念は「風評被害」によって魚が売れなくなるのではないかという点にあります。政府の方針では賠償するよう東電に指導すると明記されましたが、放射性物質が完全に除去されるのか、トリチウムが無害なのかという点について疑問が残る以上、被害は「風評」ではなく「実害」です。
 それは福島県沖にだけとどまるのではなく、潮流に乗って幅広く拡散されていくでしょう。周辺の海域や国々にとっても魚を食べる国民すべてにとっても他人事ではありません。
 海洋と私たちの健康に対する新たな脅威となることは明らかです。放射能の除去や情報の開示、住民への丁寧な説明や「風評被害」について、政府や東電が誠意をもって対応し約束を守ると信ずることができない以上、放出方針を世論の力で撤回させるしかありません。

 政府は、放射能汚染水の2年後からの海洋放出を決定することによって、「パンドラの箱」を開いたようです。これから、ありとあらゆる災厄が飛び出してくるにちがいありません。
 早く、蓋を閉じないと「希望」も失われてしまいます。その期間は2年で、その間に政権を変え、誤った決定を撤回して放出を阻止する必要があります。
 その最初のチャンスは、今秋までにはやってきます。地元の反対を無視した菅政権による放射能汚染水の放出決定は、改めて政権交代の必要性を示すものとなりました。

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