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「安倍政権のレガシー(後編):前半)」三橋貴明 AJER2020.9.14

    

 

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真・国家論 なぜ我々は財政破綻論を払拭することができないのか? [三橋TV第291回]

https://youtu.be/7aMRQUpGKm0

 

 タイトルは日刊工業新聞の記事からの引用です。(わたくしがつけたわけではないのですよ)

菅首相はアトキンソン信者、中小企業に再編圧力
 菅義偉新政権が始動した。コロナ禍からの脱却に向け、デジタル変革(DX)の推進や中小企業の生産性向上などを目玉に据える。景気の二番底への懸念が囁(ささや)かれる中、日本経済を回復軌道に復帰させるには民間の力を最大限に引き出す政策が欠かせない。
 菅首相が中小企業政策の中核をなす中小企業基本法の見直しに言及、中小企業政策のあり方はより一層、再編・成長志向へと歩を進めそうだ。(中略)
 また、先進国の中で低いとされる最低賃金について菅首相は全国的な引き上げを唱えている。最低賃金の引き上げによる中小再編を主張する、小西美術工藝社(東京都港区)社長のデービッド・アトキンソン氏と菅首相は親交がある。「菅氏はアトキンソン信者」(経産省幹部)といい、こうした側面から再編を促す可能性もある。』

 先日の三橋経済塾では、マクロな「(二つの)潜在成長率」の問題をメインにお話ししましたが、次回はよりミクロな「中小企業政策」について解説する予定です。
 なぜ、わたくしが潜在成長率や中小企業政策をしつこく取り上げるのかといえば、もちろん「危険」であるためです。


 事実として、
1.中小企業の生産性は、大企業の半分
2.中小企業は全体の約七割、3700万人の雇用をになっている
 以上、日本の実質賃金低迷の主因の一つが「中小企業の生産性の低さ」であることは間違いありません。

【日本の企業規模別従業員一人当たり付加価値額(労働生産性)の推移(万円)】
http://mtdata.jp/data_71.html#seisannsei

 繰り返しますが、実質賃金は「生産性&労働分配率」で決まります。
 というわけで、中小企業の生産性を高める政策を推進することには、わたくしはアトキンソン氏に同意します。


 問題は、その先。アトキンソン氏が「総需要と供給能力」の関係について全く理解しておらず(あるいは「理解していないふり」をしている)、「デフレギャップ」があるが故に、生産性向上の投資が起きないにも関わらず、
「中小企業が甘やかされているから、投資が起きない」
 と、インフレギャップの解消を目指す「インフレ対策」を提唱している点です。

【インフレギャップとデフレギャップ】



 図の右のデフレギャップ、分かりやすく書くと、
「我が社は一日に100個、生産できる(=潜在GDP)が、客は90個しか買ってくれない(=総需要)」
 状況で、生産性向上の投資をする企業経営者はいないでしょう。何しろ、投資しても儲からない。


 逆に、図の左側のインフレギャップ、
「我が社は一日に90個、生産できるが(=潜在GDP)、客は100個欲しがっている(=総需要、厳密には「潜在的」な総需要)」
 となれば、投資して生産性を高めれば「儲かる」のです。企業経営者は放っておいても投資をしますよ。少なくとも、わたくしはしますよ。

 

【三橋貴明の音声歴史コンテンツ 経世史論】

http://keiseiron-kenkyujo.jp/apply/

※特別コンテンツ、近現代史研究家・林千勝先生【大東亜戦争の真実~奪われた勝利への道~】が視聴可能となりました。

 

 問題は、
「中小企業が生産性向上のための投資に踏み切れるだけの、安定的、継続的な需要の拡大がないこと」
 なのです。


 本来、デフレ対策として「安定的、継続的な需要拡大」を財政政策で推進しなければならない日本政府が、緊縮財政を継続しているのです。需要不足、市場不足、仕事不足の状況で、
「中小企業の生産性が低い」
 って、そりゃあ当たり前でしょ。
 

 それにも関わらず、今後、
「中小企業は怠けている」
「中小企業は多すぎる」
「中小企業の新陳代謝が必要だ」
 といった、使い古された構造改革のレトリックにより、中小企業「再編」という名の「淘汰」が進んでいくことになるでしょう。


 ちなみに、わたくしは「政府による需要拡大を前提にした、最低賃金の引き上げ」には賛成しますが、
この程度の賃金も払えない中小企業は、潰れろ!
 という、アトキンソン方式の「需要拡大なしの最低賃金引き上げ」には断固、反対します。すると、確実に、
「三橋は最低賃金の引き上げに反対している。低所得者層の敵だ」
 といったストローマンプロパガンダが展開されることになるでしょう。


 あるいは、これまでは「実質賃金なんてどうでもいい」と、安倍政権の貧困化政策から目をそらしてきた連中も、
「中小企業の実質賃金が低すぎる。あいつらは中小企業基本法により保護され、甘えている! 潰せ!」
 といったルサンチマン・プロパガンダを一斉に叫びだすことになると思います(これまでのパターンからして)。
 

 上記の「デフレギャップを無視する中小企業対策」「中小企業潰しが目的の最低賃金引き上げ」「ストローマンやルサンチマン・プロパガンダ」を認めてはなりません。


 構造改革主義者の連中が使てくるレトリックやプロパガンダは、すでに分かっているわけです。彼らは、過去何十年も同じレトリックを使っている(その点は、財政破綻論者も同様ですが)

 

 先手、先手を取って、
「あの屑どもは、こういうレトリックを使ってくるよ」
 といった「言論戦」を展開する必要があると考えるのです。


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