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三橋TV第201回【「家計簿にたとえると~」に対抗可能な子供国債券】
 
 さて、これは確定的な話ではないのですが、安倍政権が1月末時点で中国人の入国禁止、中国への渡航禁止措置に出なかったのはなぜなのでしょうか。(今に至ってもやっていませんが)

 アメリカは、国務省が1月31日に、アメリカ国民の中国への渡航を禁止。大統領令により、アメリカ入国前14日以内に中国(香港とマカオの特別自治区を除く)に滞在歴のある人間の入国を禁止。さらに、政府の方針を受け、アメリカの大手航空会社は、中国便の運航を全面停止しました。

 2月4日には、イギリス外務省がCOVID-19の感染拡大を受け、イギリス国民は可能な限り中国から退避するよう勧告を出しました。
 ロシアも、1月31日に対中陸上国境を閉鎖。さらに、2月20日に中国人の入国を禁止

 なぜ、安倍政権は「他の主要国」に倣い、早期の段階で中国人もしくは中国に滞在している外国人の入国禁止措置を出さなかったのか。
 というわけで、仮説の話になるわけですが、
 
仮説1:中国人様向けインバウンドの「カネ」を惜しみ、入国禁止措置に踏み切らなかった。
仮説2:4月に習近平国家主席来日を控えているため、中国サイドに気を使った
仮説3:仮説1と仮説2双方が理由
 
 何しろ、安倍内閣は
春節に際して、そしてまた、オリンピック・パラリンピック等の機会を通じて、更に多くの中国の皆様が訪日されることを楽しみにしています。その際、ぜひ東京以外の場所にも足を運び、その土地ならではの日本らしさを感じて頂ければ幸いです。(後略)」
 という「安倍晋三内閣総理大臣春節祝辞」を、1月30日まで在日中国大使館のHPに掲載させていました。
 
 また、時事通信は、2月19日に配信した「政府、広がる批判に焦り 「水際で失敗」、支持率に影―新型肺炎」において、
『(前略)政府は当初、発熱症状や中国・武漢市への渡航歴、武漢滞在者との接触がある人らをウイルス検査の対象にしていた。ところが2月に入り、感染経路の分からない感染例が続出。首相側近は「1月時点で中国人全ての入国を止めるしかなかったが、もう遅い」と頭を抱えた。
 政府関係者によると、習近平国家主席の国賓来日を控えて中国側から「大ごとにしないでほしい」と要請があったといい、これも後手に回った要因だとみられる。(後略)』
 と、書いています。

 「もう遅い」。はい、わかります。なし崩し的に中国人を入れてしまい、COVID-19のアウトブレイクが起きてしまえば、その後は、
「もはや中国人の入国禁止をしても手遅れだ。あとは国民の自己責任」
 とか何とかいって、中国人に対する国境強化を「諦めさせ」、日本人が次々に感染、死亡していく。現在の日本では、よくあるパターンでございますよ。

 もっとも、「仮説1」は悲惨なまでの「逆効果」となりました。中国人を入れ続けたため、日本国内でCOVID-19のアウトブレイクが始まりつつあり、インバウンドは激減。
 
『訪日客で混雑していた「京の台所」錦市場も閑散 新型肺炎で「売り上げ3割以下」と店主悲鳴
 いつもは満員電車のような混雑の「京の台所」の錦市場(京都市中京区)を買い物客が悠々とすれ違う。「ここ数日、売り上げは例年の3割以下。こんなに悪いのは初めてだ」。長年、食料品店を営む男性は嘆く。
 新型コロナウイルスによる肺炎の感染拡大は、訪日外国人でにぎわいをみせていた京都の風景を一変させた。特に中国政府が海外への団体旅行を禁止した1月末以降は観光客が激減。インバウンド需要を追い風に好調だった宿泊・小売などの観光関連産業に深刻な影響をもたらしている。
 男性の店舗では、数年前から中国人観光客の好む高額商品を増やすなど品ぞろえを変えた。「爆買い」に支えられ、売り上げを伸ばしてきただけに、「東京五輪までに何とか終息してほしい」と先行きの見えない状況に不安を募らせる。(後略)』
 
 そもそも、インバウンドへの依存を高めた観光業が悪いんだ!とは、言いません。悪いのは日本政府です。安倍政権です。

 日本国民のデフレによる貧困化を放置し、観光業が外国人様頼みにならざるを得ないように仕向けた。安倍政権による緊縮財政、規制緩和、自由貿易のトリニティの結果が、現在の惨状なのです。

 仮説2の方ですが、十日前の時点でも、日本政府は習近平を予定通り招待すると断言していました。
 
習近平国家主席の訪日 現時点で予定どおり 茂木外相
 ことし4月に予定されている中国の習近平国家主席の日本訪問について、茂木外務大臣は衆議院予算委員会の集中審議で、日中両国間は連携して準備を進めていくことで一致しているとして、現時点では予定どおり行われるという見通しを示しました。(後略)』
 
 もっとも、中国自体が全国人民代表大会(全人代)の延期を正式決定した有様です。
 
中国、全人代の延期を正式決定 開幕時期は決まらず
 中国共産党の習近平(シー・ジンピン)指導部は24日、全国人民代表大会(中国の国会に相当)の常務委員会で、3月5日に開幕する予定だった全人代の延期を正式に決めた。新型コロナウイルスによる肺炎の収束が見通せず、新たな開幕日も示せなかった。全人代の先延ばしは極めて異例。習氏の4月の国賓訪日にも影響する可能性がある。』
 
【歴史音声コンテンツ 経世史論】

http://keiseiron-kenkyujo.jp/apply/
※「歴史に魅せられて、myと辿る邪馬台国への道(前編)」が視聴可能となりました。

 

 そして、ついに来るべきものがきた、という感じです。
 
『IOC委員、東京五輪開催の判断「5月下旬が期限」
 AP通信は25日、国際オリンピック委員会(IOC)のディック・パウンド委員(カナダ)が、新型コロナウイルスの感染拡大を受け、東京五輪の開催の可否について、5月下旬が判断の期限になるとの考えを示したと報じた。(後略)』
 
 これほどまでに危機管理能力がなく、アウトブレークに際しても「自己責任」的な対策しか出さない日本政府、店じまい国家である以上、五輪中止の検討が始まって当然です。

 日本が「店じまい国家」である証拠を、一つだけご紹介しましょう。
 
 厚生労働省は、COVID-10に関するQ&Aにおける、 
『問13 感染が疑われる場合、どこの医療機関に行けば検査、診療をしてもらえますか? 』
 という質問に対し、
『風邪の症状や37.5度以上の発熱が4日以上続く場合、強いだるさ(倦怠感)や息苦しさ(呼吸困難)がある場合には、最寄りの保健所などに設置される「帰国者・接触者相談センター」にお問い合わせください。』
 と、回答していますが、この「最寄りの保健所」を削りに削ってきたのが、97年の橋本政権以降の日本政府なのです。
 
【日本国内の保健所数(合計)】
 
 わたくしが「国家の店じまい(最初に使ったのはたぶん、佐藤健志先生ですが)」という表現を多用する理由が分かるでしょ。

 店じまい国家は、消費税増税のショックにCOVID-10による消費激減が加わっても、何の対策も打ちません。店じまい中の店舗が、客からの要望に答えますか? 商品仕入れに支出しますか?
 
新型肺炎で麻生氏、追加経済対策「いますぐ何か考えているわけではない」
 麻生太郎財務相は25日の閣議後の記者会見で、肺炎を引き起こす新型コロナウイルスの拡大を受けた追加経済対策について、「今すぐ何か考えているわけではない」との認識を示した。(後略)』
 
 はいはい、どうせ「今すぐ」はもちろん「将来に渡り」何も考えないし、何もしないのでしょ、店じまい国家の経理部長殿。
 
 もっとも、わたくしは日本国家が店じまいを進めている段階で非常事態に直面したからといって、
「もうだめだ~っ!」
 と、言いたいわけではありません。

 むしろ、こんな有様だからこそ、国家の店じまいの「転換」のために努力しなければならない。現在の我が国の非常事態は、店じまい国家ら脱却するためのラストチャンスかもしれないのです。(明日に続く)
 
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