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「全ての歴史がイギリスから動く(前半)」三橋貴明 AJER2020.8.10

    

令和の政策ピボット呼びかけ人に、高橋あさみ様(私立Z学園高等学校 1年4組 16歳)が加わって下さいました。
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本日 20:00~  sayaスペシャルライブ開催!
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令和2年9月19日(土) 三橋経済塾第九期 第9回講義(一般参加可能です)
会場:名古屋 
ゲスト講師:ノンフィクション作家 河添恵子先生
https://ws.formzu.net/fgen/S78662785/
 

麻生太郎財務大臣に質問 放漫財政の定義って何? [三橋TV第279回]

https://youtu.be/JoAJu5l57-I

 

 大変なことに気が付いてしまいました・・・。(恐らく、日本ではわたくしが初めてでは?)
 

 今後、数年間、我が国の潜在成長率は「ゼロ」になります。
 

 結果的に、構造改革主義者が、
「潜在成長率を高めるために、改革だ!」
 と、叫び、様々な「デフレ化政策=構造改革」が推進され。それでも潜在成長率は常に「ゼロ」という状況になるでしょう。


 統計的に、必ず、そうなります。

 


 改めて、潜在成長率の復習です。
 その前に、「需給ギャップ」から。

【インフレギャップとデフレギャップ】


http://mtdata.jp/data_46.html#Gap

 経済には、財やサービスを生産する能力(本来の供給能力)である「潜在GDP」が、現実の総需要(名目GDP)を下回っている「インフレギャップ」と、潜在GDPが総需要を上回る「デフレギャップ」の、二つの局面があります。


 ちなみに、「名目GDP>潜在GDP」であるインフレギャップは、本来は「金額」や「規模」の計算はできません。できるとすると、「生産できない財・サービスが買われた」ことになってしまいます


 逆に、デフレギャップは計算できます。潜在GDPから名目GDPを引くだけです。


 ところが、この「潜在GDP」が、現在は元々の定義「資本や労働が100%稼働したとき、生産可能なGDP」(=最大概念の潜在GDP)ではなく、「過去の資本や労働の稼働の平均により、生産可能なGDP」(=平均概念の潜在GDP)となってしまっています。


 より固い定義を書くと、
「国・地域が財やサービスを生産するために必要な各生産要素を、それぞれ過去の『平均的な水準』で供給した場合に実現できると推計されるGDP
 となります。


 つまりは、現在の潜在GDPは「過去のGDPの平均」になってしまっているのです(本当にそうなのです)。だからこそ「平均概念の潜在GDP」と呼びます。


 となると、経済成長率が低迷する国では、潜在GDPが「明示的」に名目GDPを下回るということが起こり得ます。何しろ、「潜在GDP」とはいっても、アスリートでいえば「最高タイム」ではなく「平均タイム」なのです。


 結果、「=名目GDP-潜在GDP」が「計算」されてしまい、インフレギャップが金額で統計可能になってしまう・・・・。つまりは、生産不可能なはずの財やサービスが「買われた」ことになるのです。

【日本の需給ギャップ(対GDP比%)の推移】


http://mtdata.jp/data_71.html#gap

 グラフのマイナス方向が「デフレギャップの大きさ」、プラス方向が「インフレギャップの大きさ」ですが、本来はインフレギャップをグラフ化することは不可能なのです。ところが、プラス方向の棒グラフが表示されている。


 理由は、もちろん「平均概念の潜在GDP」は、「本気になれば、稼働できる、フルフルマックスな生産能力!」でも何でもないためです。何しろ、単なる過去平均。


 ちなみに、上記の需給ギャップのグラフは2020年1-3月期までです。日本のデフレギャップは19年10-12月期、20年1-3月期と拡大していっていますが、4-6月期はリーマンショック期を上回る、凄まじい規模になっているでしょう。(間もなく、発表されます)

 

【三橋貴明の音声歴史コンテンツ 経世史論】

http://keiseiron-kenkyujo.jp/apply/

※特別コンテンツ、近現代史研究家・林千勝先生【大東亜戦争の真実~奪われた勝利への道~】が視聴可能となりました。

 

 さて、ここからが本題。

 

 構造改革主義者たちが大好きな「潜在成長率」は、平均概念の潜在GDPの成長率のことです。とはいえ、平均概念の潜在GDPは、単なる過去のGDPの平均値に過ぎません。


 潜在成長率は、GDPが成長していけば、勝手に上昇します。しつこいですが「過去平均」なので。


 いや、待て。ということは、GDP成長率が「統計史上最悪」のマイナスに落ち込んだ場合は、どうなるんだ!!!

【日本の潜在成長率(%)の推移】


http://mtdata.jp/data_71.html#senzai

 簡単でございます。潜在成長率は「ゼロ」になるのです。


 実際に、リーマンショックによりデフレギャップが拡大し、大幅なマイナス成長になった2008年、2009年は、潜在成長率がゼロです。過去平均である以上、当然、そうなります。


 となると、今後の日本の潜在成長率は、21年以降に、余程の急回復を見せない限り、四、五年間は「ゼロ」が続くのではないでしょうか。


 警鐘を鳴らします。

 

 今後の我が国では、潜在成長率の意味が分からない国民に付け込み、
「日本の潜在成長率が低い(というか、ゼロ)なのは、構造改革が足りないためだ!」
 と、彼奴らが跋扈する。 


 悪夢です。


 悪夢の未来を回避するためにも、ややこしくはありますが、本エントリーで解説した「知識」を国民が共有しなければなりません。


 本問題は、極めて重大なので、三橋TVや三橋経済塾(名古屋回)でも、繰り返し取り上げることに致します。
 

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