- 本文の内容
-
- リクルートHD 人材ビジネスで世界首位を視野
- みずほFG データセンターを関西圏に分散
- 新生銀行 SBIによるTOBで買収防衛策取り下げ
- 中国滴滴出行 中国規制当局が米上場廃止を要請
- 国内ゴルフ場大手 アコーディア・ゴルフを買収へ
リクルートは人材分野で世界1位を目指せ
日経新聞は先月16日、「人材ビジネスで世界首位を視野」と題する記事を掲載しました。
リクルートHDの2021年4-9月期の連結決算は売上収益が前年同期比31%増の1兆3659億円と人材関連で世界2位のアデコに並んだと紹介しています。
リクルートはインディードの買収なども経て大きく飛躍しました。
印刷からデジタルへの業態変換にも見事に成功しています。
セグメント別の業績を見ても極めて優秀な企業に成長したと思います。
私は創業者の江副氏と非常に仲が良かったので、彼が今の成長したリクルートの姿を見届けられずにいるのは残念です。
データセンターを関西圏に分散しても、リスク分散にはならない
みずほフィナンシャルグループは2022年度以降、みずほ銀行の基幹システムのデータセンターを関西圏に分散する見通しが明らかになりました。
大手銀行の多くはBCP(事業継続計画)の観点からデータセンターを東西に分散していますが、みずほFGは統合前の3行全てが関東地盤だったことから、メインと災害用のバックアップ拠点が首都圏に併存していたとのことです。
災害対策とのことですが、中南海地震が発生した場合関西圏のリスクも関東圏とほぼ変わりません。
せめて日本海側や北海道ならまだしも、関西圏で安全だと考えているのは根本的な発想がズレていると感じます。
世界トップクラスのデータセンターや取引所などは、世界に点在する地盤が安定している地形を選んでリスクヘッジをしています。
例えば、先カンブリア時代の地形です。
オーストラリア、欧州、アフリカ、スウェーデンにそれぞれ1箇所ずつあり、災害対策のリスクヘッジに最適な場所の1つです。
火山大国の日本においてはある意味どこであってもリスクがあると言えるかも知れません。
日本企業もデータセンターを国外に置く検討をすべきだと思います。
みずほFGはそもそもの発想を変え、ぜひ世界の事例を参考にしてほしいと思います。
日本政府はSBIの再建に賭けた
新生銀行は先月24日、SBIホールディングスが実施するTOBへの買収防衛策を取り下げると発表しました。
新生銀行とSBIが協議し、新生銀行が国に示している経営方針や事業戦略をSBIが尊重し、双方で協調して企業価値の向上に取り組むことに合意したもので、防衛策の賛否を図る臨時株主総会が前日に中止されるなど異例の展開になりました。
株主投票にあたり海外勢はTOBへの反対を主張しましたが、最終的には日本の政府関係者がSBIへの同調を選択した結果になりました。
SBIは予てから新生銀行に注入した公的資金を返済するために今の株価から約4倍まで上げる必要があり、自分たちにはその構想があると主張していました。
新生銀行株を保有する預金保険機構や整理回収機構も、海外勢よりSBIのプランの方が「実現性が高い」と感じたのでしょう。
ということは、今後新生銀行の株価は4倍まで上がる可能性があると言えます。
少なくとも日本政府は、SBIによって4倍に成長する可能性に賭けたということです。
英語、米国を毛嫌いする習近平の対応、その煽りを食ったソフトバンク
中国規制当局が配車アプリ大手・中国滴滴出行に対して、米国での上場廃止を要請したとのことです。
機密データが漏洩する懸念があるため、非公開企業にすることや上場先を香港に切り替えることなどを要請したとみられます。
今後は中国企業に出資する側も戦略の見直しが迫られそうです。
習近平国家主席は相談なく米国で上場する人物を嫌う傾向が顕著です。
中国滴滴出行の社長を務める柳青氏はレノボの創業者・柳伝志氏の娘で、ハーバード大学大学院、ゴールドマン・サックスという経歴の持ち主。
習近平国家主席が毛嫌いするのは容易に想像できます。
また、英語が堪能なジャック・マー氏も好かれておらず、今回アリババが叩かれた背景もここにあると私は思います。
結果として、煽りを食ったのがソフトバンクです。
アリババの株価が大きく下がったことで、この3ヶ月間でソフトバンクは純資産が約6兆円も目減りしました。
ソフトバンクの保有株の中でも圧倒的なトップだったアリババ株の急落が最大の要因でしょう。
ここまでの損失は孫社長としても想定外だったと思います。
ソフトバンクにとってはアリババは命綱とも言える存在ですから、ここが揺らいでくると今後は非常に厳しい状況に追い込まれるかも知れません。
ファンドからファンドへ売却されるアコーディア
米投資ファンドのフォートレス・インベストメント・グループが国内のゴルフ場最大手であるアコーディア・ゴルフ・グループを買収することがわかりました。
買収額は4億円規模と見られています。
アジア系投資ファンドのMBKパートナーズが、フォートレス・インベストメント・グループに売却するという形です。
PGAとは違って、アコーディアはこれまでにも何度かファンドからファンドへ売却されてきました。
今回買収するフォートレスもファンドですから、またいずれ売却される可能性が高いでしょう。
MBKパートナーズの創業者マイケル・キム氏はかつてUSJの株をゴールドマン・サックスと共同で保有し、約5倍で売り抜けたことがあります。
今回の売却でもかなり大きな利益を出したはずです。
私はキム氏を学生の頃から知っていますが、日本でもしっかりとビジネスを展開できているという印象です。
---
※この記事は11月28日にBBTchで放映された大前研一ライブの内容を一部抜粋し編集しています
今週の大前の視点を読み、皆さんはどうお考えになりましたか?
今週はみずほFGのニュースを大前が解説しました。
大前は「世界トップクラスのデータセンターは国外の災害が少ない地域に置かれるケースも多い」と指摘したうえで、「みずほFGは国外も含めてデータセンターの設置場所を再検討すべきではないか」と述べています。
打ち手を一通り検討した後、さらに他の打ち手はないか自分自身に問いかけてみましょう。
制約条件や収集した情報を改めて俯瞰し、粘り強く思考を続けることで、より問題解決に繋がるアイデアが生まれるかもしれません。
▼▼働きながら学ぶBONDビジネススクールオンラインMBA
2022年1月から学んで海外MBAを取れる!
入学出願受付中!まずは資料ダウンロード!
https://pages.bbt757.com/brochure-download.html