TOPIX: 1793.24, +0.6% (1w), +4.2% (YTD)
Nikkei225: 26763.39, +0.4% (1w), +13.1% (YTD)
S&P500: 3709.41, +1.3% (1w), +14.8% (YTD)
USD/JPY: 103.34, -0.7% (1w), -4.9% (YTD)
EUR/JPY: 126.62, +0.5% (1w), +3.9% (YTD)
Oil(WTI Futures): 49.1, +5.4% (1w), -19.8% (YTD)

 最近は日本や米国などの新型コロナウイルス感染拡大とそれに対する財政出動や非伝統的金融緩和が株式市場のドライビングフォースであった。感染拡大はもちろんネガティブだが、その実体経済へのインパクト以上に、政府や中央銀行がマネーを供給するため、そうしたバブルを期待して株価が上がっている。日米とも、新型コロナウイルス禍の状況はどちらもこれまでで最も悪い。欧州も厳格なロックダウンに追い込まれており、状況は同じだ。ワクチンに一縷の望みをたくしている。

●週刊金融日記 第449号 GoTo停止で日本は新型コロナウイルスの抑え込みにコミット
http://blog.livedoor.jp/kazu_fujisawa/archives/52182220.html

 さて、18日金曜日には米国株式市場で、過去最大ともいえるインデックス絡みのイベントがあったので、その分析を書くことにする。18日、コロナバブルの象徴でもあるテスラ株がS&P500に米国時間午後4時(日本時間午前6時)に組み入れられた。現在、S&P500を追随するインデックスファンドやETFは700兆円ほどだと言われており、時価総額が膨張したテスラ株は1.5%ほどのウエイトなので、約10兆円ほどをナスダックの終値でインデックスファンドは購入しなければいけなかった。東証一部の全売買代金の4倍以上の金額がたった一銘柄の引けにすべて集中するのである。

●テスラ株はS&P500に12月18日の終値で組み入れられた
テスラ株価20201218

●今年のテスラ株の推移
テスラ株価過去1年20201218

 インデックスファンドが買うと言っても、資産運用会社は証券会社に引け値ギャランティー(証券会社は必ず引け値で売らないといけない)で注文するだけで、インデックスファンドから見たら電話一本で確実に買える。注文を受けた証券会社は、すべてを引け値で買うわけではなく、予め買っておいて、さらに引け値に一気に注文を出し、引け値を押し上げることによって利益を出そうとする(ややこしいので説明は省くが、これはノックインオプションなどに見られる不正な価格操作などではなく、双方にフェアなトレーディング戦略だ)。
 大して車が売れていないテスラの時価総額はすでに70兆円でトヨタ自動車の3倍以上、日本のすべての自動車会社の時価総額より高い。トヨタはテスラの次に世界第二位の自動車会社なので、米国や欧州の自動車会社と比べれば、さらに異常な株価が際立つ。この株価を正当化するには、10年後ぐらいの未来には、世界の道路のそこら中にテスラ車が走っているだけでは足りない。
 ファンダメンタルズなどどうでもよく、もっと高い価格で買ってくれるバカがいるという期待があれば、どんな高値で買っても合理的である。これがバブルだ。Greater Fool Theory(より馬鹿理論)と言って、株式市場のトレーダーなら誰もが知っている理論だ。そして、より馬鹿理論に基づけば、最大のバカで最後のバカであるインデックスファンドが、とうとうテスラ株を市場最高値で10兆円以上もつかんだ、と言うこともいえる。もう確実なバカは今後は存在しない。
 テスラ株の投資家は無知な個人投資家が多いので、おそらくこうしたインデックスファンドの事情はあまり知らないかもしれないが、これまではヘッジファンドも証券会社のトレーダーも、最後は必ずインデックスファンドがどんな高値でも買ってくれるのでみんなで安心して買っていたわけだが、月曜日からはまったく事情が異なるということは理解しておいたほうがいいだろう。さらに、テスラ社自身も、このバブルを利用してちゃっかり増資をキメている。
 インデックスファンドの投資家が史上最大のリバランスイベントでいかにカモられるのか、見届けたい。

●テスラ株、売買最多の14兆円強 指数算入で需給いびつに
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN1901S0Z11C20A2000000

●テスラ、公募増資で最大5200億円を調達 今年3回目
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN08CA80Y0A201C2000000

●S&P's Addition of Tesla Revives Indexer Debate
https://www.barrons.com/articles/do-the-big-indexers-have-too-much-power-51608313317

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日本株
直近1年の日経平均株価とインプライド・ボラティリティの推移
直近1年の日経平均株価とインプライド・ボラティリティの推移
出所: 日経新聞社

サイズ/スタイル/セクター別の週間パフォーマンス(2020/12/11-12/18)
サイズ/スタイル/セクター別の週間パフォーマンス
出所: 東証、日経新聞社、セクター指数はTOPIX17業種

個別銘柄の週間パフォーマンス(2020/12/11-12/18)
サイズ/スタイル/セクター別の週間パフォーマンス
出所: 会社四季報、Yahoo!ファイナンス

FX
直近1年のドル円とユーロ円の推移
直近1年のドル円とユーロ円の推移
出所: セントラル短資

イールドカーブ(2020/12/18)
イールドカーブ
出所: Bloomberg.com

主要通貨の週間パフォーマンス(2020/12/11-12/18)
主要通貨の週間パフォーマンス
出所: セントラル短資

外国株とコモディティ
直近1年のS&P500と原油価格(WTI原油先物)の推移[USD]
直近1年のS&P500と原油価格(WTI原油先物)の推移[USD]
出所: Yahoo!ファイナンス、Bloomberg.com

地域別株価指数とコモディティの週間パフォーマンス[USD](2020/12/11-12/18)
地域別株価指数とコモディティの週間パフォーマンス[USD]
出所: iShares: MSCI Japan (EWJ), MSCI Kokusai (TOK)、MSCI Core Europe (IEUR), MSCI All Country Asia Pacific ex Japan (AAXJ), MSCI Emerging Markets (EEM), GLOBAL REIT ETF (REET). Bloomberg.com: Oil WTI Futures (CL1), Gold Futures (GC1)

今週のマーケット・イベント
12月21日(月)
ユーロ圏12月消費者信頼感指数
香港11月消費者物価指数

12月22日(火)
米7-9月期GDP(確報値)
米11月中古住宅販売
香港第3四半期経常収支

12月23日(水)
日銀金融政策決定会合議事要旨(10/28-29開催分)
米11月耐久財受注
米11月新築住宅販売
米12月ミシガン大学消費者信頼感指数

12月24日(木)
日11月企業サービス価格指数

12月25日(金)
日11月完全失業率・有効求人倍率
日11月商業動態統計
休場:米国、英国、香港(クリスマス)

12月26日(土)

12月27日(日)

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