倉重公太朗『[日本版]同一労働同一賃金の理論と企業対応のすべて』

 経営法曹の倉重公太朗先生から、先生が編著代表の『[日本版]同一労働同一賃金の理論と企業対応のすべて』をご恵投いただきました。ありがとうございます。

 これはなかなかすごい本で、わざわざ[日本版]と強調しているところがまず目をひくわけですが、その意図を冒頭で序章としてhamachan先生ことJILPTの濱口桂一郎先生が解題しておられます。続けてQ&A形式による本論に入るわけですが、いきなりのQ1で「日本独特の概念であり、単に同じ仕事であれば同じ賃金という制度ではない」と倉重先生の歯切れのいいこと!
 さらに、JILPTの山本陽大先生や藤本真先生といった研究者も動員して多角的に検討が加えられ、特にQ35とQ36の落差はめざましいものがあります(笑)。第4章では多岐にわたる手当類や賃金以外の処遇・制度について詳細個別に検討されていて圧倒されますし、第6章ではランスタッドジャパンの青木秀登氏が登場してかなりのボリュームで派遣の同一労働同一賃金について解説されているのも目をひきます。
 なにかと不明確な点が多い[日本版]同一労働同一賃金の実務においてきわめて参考になる、企業の人事労務担当者に広くおすすめしたい本だと思います。