産政研フォーラム2020年夏号

 (公財)中部産業・労働政策研究会様から、機関誌『産政研フォーラム』2020年夏号(通巻126号)をお送りいただきました。ありがとうございます。
www.sanseiken.or.jp

 本号の特集は「これからの技術革新の中での働き方」で、同志社の中田喜文先生が「日本の技術者の現状、課題、そして政策アクション」という論文を寄せておられます。ソフトウェア技術者を取り上げ、その労働時間、収入、技術力への自信、やりがい感、愛社精神について主要諸国と比較して劣位にあることを示し、能力向上、マネジメントの改善、経営理念の共有、外部労働市場の発達が必要ではないかとの仮説が示されています。
 ご所論とはあまり関係ないのですが、私がちょっと思ったのはソフトウェア技術者もかつては稀少な人材とされていたはずで、それゆえに長時間労働になるという一面もあったように思われます。つまり技術水準によっては供給過剰が労働条件が伸び悩む原因になっている可能性もあるのではないかということで、これは今現在は花形で高給をオファーされているデータ分野や人工知能分野の技術者にもいずれ起こってくるのではないかという心配ですね。まあ杞憂に終わってくれるとは思うのですが。
 ちなみに本誌呼び物の大竹文雄先生の連載「社会を見る眼」は「新型コロナウイルス感染症対策の行動経済学」で、行動変容につながるメッセージが解説されています。次回は「後知恵バイアス」による結果論批判を一刀両断してほしいところですがそれはそれとして、大竹先生は有識者会議にも加わられましたのでますますのご活躍を期待したいと思います。