SSブログ

12月4日(日) 『日刊ゲンダイ』に掲載されたコメント [コメント]

〔以下のコメントは『日刊ゲンダイ』12月4日付に掲載されたものです。〕

*巻頭特集「防衛費倍増で敵基地攻撃 岸田首相は米国と安倍派の走狗同然」

■東アジアの安定や国民の安全より政権の延命が大事

 派閥の後継者が決まらず迷走する安倍派は、安倍元首相が掲げた政策で求心力を保持しようと苦心している。

 「憲法改正」「成長戦略、積極財政」「安全保障、防衛費」の3つのテーマを議論するプロジェクトチーム(PT)を設置。安全保障や防衛費に関するPT座長の大塚元財務副大臣らはきのう国会内で防衛相と面会し、防衛費は5年間で「43兆円規模の確保が必要だ」と主張。岸田政権が防衛費増に動いたのは安倍派の手柄だとアピールしている。

 「専守防衛を旨としてきた日本の防衛費倍増や攻撃能力の保持は、間違いなく周辺国に警戒感を抱かせます。軍事増強による抑止力なんて、空想的軍国主義と言うほかない。東アジアの緊張を高めるだけです。偶発的な接触が戦争に発展するのが歴史の常で、軍拡はむしろ戦争に巻き込まれるリスクを高めるだけなのです。それでも、支持率急落で政権基盤が揺らいでいる岸田首相は、防衛費倍増で最大派閥の安倍派にスリ寄り、米国からもこれまで以上に武器を購入して尻尾を振ることで延命をはかっている。今後5年の東アジアの安定や国民の安全よりも、5カ月後の自身の政権延命の方が大事なのでしょう」(法大名誉教授・五十嵐仁氏=政治学)

 岸田は来年1月上旬にも、就任後初めてホワイトハウスを訪問する方向で首脳会談の調整が進められているという。防衛費倍増、米国産武器弾薬の爆買いを手土産にバイデン大統領に会いに行くわけだ。

 それにしても、防衛費倍増の財源はどうするつもりなのか。新型コロナウイルス対策事業の積立金や、外為特会など特別会計の活用も選択肢だと報道されているが、それらは恒久的な財源ではない。

 じゃあ赤字国債で賄うのか? 軍事国債がどういう結末をもたらすかは、歴史が教えているはずだ。

 「コロナ積立金や外為特会を防衛費に充てるなんて、マトモな保守政治家の発想ではありません。国家・国民のことを真剣に考えていない証拠です。安倍元首相が防衛・安全保障を理論的に考えていないことは分かっていましたが、岸田首相も政権延命に汲々とするあまり、合理的な判断ができなくなっているのではないか。防衛費を持続的に倍増するなら増税か、社会保障費を削るしかない。本当に防衛費倍増が必要だというのなら、正直に訴えて選挙で信を問うべきでしょう。それを国民は支持するのか。給料が上がらず、人口も減っていく中で防衛費のために増税を強いるか社会保障を削るかすれば、敵基地攻撃の前に社会基盤が崩れて日本が破滅してしまいかねません。公明党も、旧統一教会の問題で飛び火を恐れ、自民党にスリ寄らざるを得ないのでしょうが、支持母体である宗教団体を守るために戦争を容認するなんて本末転倒です」(五十嵐仁氏=前出)

 国民の支持を失った岸田が、政権延命のために安倍派の走狗となり、米国に媚を売る。そこに宗教法人問題で微妙な立場の公明党がますます下駄の雪となってスリ寄るという地獄絵図。しかし当面は国政選挙もなく、軍拡に反対する国民の声は届かない。

nice!(0) 

nice! 0