小池氏は政治生命の危機!元側近「爆弾告白」で学歴詐称疑惑は最終局面に

7月の東京都知事選挙まで3か月余りに迫った本日(4月10日)発売の月刊文藝春秋に、小池百合子東京都知事の元側近の小島敏郎氏による【「私は学歴詐称工作に加担してしまった」小池百合子都知事元側近の爆弾告発】と題する記事が掲載され、衝撃が広がっている。

前回都知事選挙の告示が迫っていた2020年6月、小池氏の「カイロ大学卒業」の学歴詐称疑惑を告発する元同居人の女性の証言を含むジャーナリスト石井妙子氏の著書【女帝 小池百合子】が発売されて話題となり、2期目の都知事選出馬表明に向けて大きな障害となりつつあった時期、駐日エジプト大使館のフェイスブックに小池氏の卒業を認める内容の「カイロ大学声明」が出され、疑惑追及は急速に沈静化した。小島氏は、自身が、そのような声明を出させることを小池氏に提案したこと、その声明文が、実は小池氏に頼まれたジャーナリストが書いたものであること、結果的に自分が学歴詐称疑惑の“隠蔽工作”に手を貸してしまったことを告白し、小池氏の学歴詐称の事実があったとの認識も示している。

小池氏は、都知事選に3期目出馬すれば圧勝は確実と言われ、「裏金問題」等で支持率が低迷している岸田政権が危機的状況にあり、国政復帰、日本初の女性首相の有力候補とまで言われている。そうした状況における元側近の爆弾告発が形勢を激変させる可能性がある。

同記事の中で、「日本外国特派員協会で行われた、黒木亮さんと元検事の郷原信郎さんによる、小池さんの学歴詐称疑惑を追及する記者会見」のことが出てくる。(写真は2020.6.9 FCCJでの記者会見(オンラインで黒木亮氏、通訳セス・リームス氏、郷原信郎、司会神保哲生氏))

2016年の都知事選挙で自民党候補を破って都知事に初当選した小池氏の「劇場型都政」を厳しく批判してきた私は、【女帝 小池百合子】発売直後から、Yahoo!ニュース記事【都知事選、小池百合子氏は「学歴詐称疑惑」を“強行突破”できるか】で、小池氏が、同書の公刊で学歴詐称疑惑が一層深まったにもかかわらず、2期目出馬を強行した場合に公選法の「虚偽事項公表罪」に該当する可能性があることを指摘した。そして、かねてから小池氏の学歴詐称疑惑追及を続けていたロンドン在住のジャーナリスト黒木亮氏に連絡をとり、協力して小池氏の「卒業証明書」偽造と学歴詐称についての疑惑究明に取り組んでいた。海外メディアの記者を集めて行われる「外国特派員協会での会見」は、小池氏の3期目出馬に向けて大打撃を与えることになるはずだった。まさに、その会見の直前にエジプト大使館のフェイスブックで公表されたのが、「カイロ大学声明」だった。

「カイロ大学学長声明」によって小池氏学歴詐称疑惑は一気に沈静化

小島氏の記事は、「相談したいことがあるの」と小池氏に呼び出され、都民ファーストの事務所に足を運び、憔悴し、途方に暮れた表情をしていた小池氏を見て非常に驚いた場面から始まる。

その場で、小池氏から、「カイロ大学学長からの、同大学を卒業した小池氏へのイベントへの招待状」を見せられ、学歴詐称疑惑を払拭する方法について相談された小島氏は、「カイロ大学から、声明文を出してもらえばいいのではないですか」と提案した。

6月9日の午後4時から外国特派員協会で、私と、オンライン参加の黒木氏との記者会見を予定していたが、そのわずか2時間前の午後2時過ぎ、カイロ大学学長の署名入りの「声明:カイロ大学」と題する文書が、突然、駐日エジプト大使館のフェイスブックに掲載された。

小島氏も、

9日の午後4時から日本外国特派員協会(FCCJ)で行われた、黒木亮さんと元検事の郷原信郎さんによる、小池さんの学歴詐称疑惑を追及する記者会見も勢いを失いました。

と述べているが、実際、記者会見での外国記者の反応は冷ややかなものだった。記者の質問の多くは、小池氏を擁護し、卒業証明書が偽造だとする黒木氏の見解に疑問を呈するものだった。会見の内容を報じた外国メディアはなかった。

直前に出されたカイロ大学声明の効果は甚大だった。

私は、小池氏の前記の二つのYahoo!記事に、【追記】として、以下の記述を追加し、私が記事で追及した小池氏の学歴詐称疑惑についてカイロ大学の声明が出たことを紹介した上、以下のように述べた。

このようなカイロ大学側のコメントは、石井氏の著書や黒木氏の記事で紹介されていたものとほぼ同趣旨である。「卒業した」と述べているだけで、それを具体的に裏付ける事実は全く含まれていない。
むしろ、今回の声明で、注目すべきは、カイロ大学の声明が、エジプト大使館のフェイスブックに掲載されたことである。この声明にエジプト大使館が公式に関わっているとすれば、なぜ、小池氏の個人的な問題に、エジプト大使館が関わるのかという疑問、しかも、本来、大学卒業の有無は、卒業生に交付された卒業証書や卒業証明書によって証明されるべきものであるのに、なぜ、カイロ大学が、小池氏を特別扱いするのかという疑問が生じる。
不可解なのは、小池氏の学歴詐称問題が再び注目を集めたのは、石井妙子氏の著書【女帝 小池百合子】が5月31日に発売されたのが契機であり、まだ一週間余りしか経っていないことだ。しかも、日本の一般メディアでは、その問題は殆ど報じられてもいない。それなのに、なぜ、エジプト大使館やカイロ大学が、「学歴詐称」や卒業証書の信憑性が問題になっていると知ったのか。小池氏側から何らかの働きかけがあったのではないか。日本は、エジプトに多額のODAを供与している。そういうエジプトとの関係を背景に、小池氏が個人的な問題に関して、エジプト大使館を通じてカイロ大学への働きかけをしたとすると、日本とエジプトとの外交関係に影響する問題にもなりかねない。

しかし、カイロ大学声明が出された後、メディアは、小池氏の学歴詐称疑惑を取り上げることは全くなく、小池氏は、2期目への出馬を表明、7月の都知事選挙では、366万票を獲得、次点と281万票もの大差で圧勝し、再選を果たした。

小島氏も、以下のように述べている。

この声明文の効果は絶大でした。新聞やテレビなど大手メディアが、一斉に「カイロ大学が声明を発表した」などと報じたからです。燃え広がっていた学歴詐称疑惑は、一気に沈静化しました。
私はこの時「大手メディアは、大使館のフェイスブックに載っただけで信じるんだ。大学ホームページを調べたり、アラビア語の原文はどう書いてあるかとか、学長への取材などもしないのだろうか。それで済むんだ」と正直、不思議に思いました。

提案から僅か2日でカイロ大学声明が出た経緯

小島氏は、当時は、小池さんの「卒業はしている」という言葉を信じていた。しかし、小池氏にカイロ大学に声明を出してもらうことを提案したのが6日の夕方、それなのに、わずか2日で学長のサインのついた「声明文」が大使館のフェイスブックに掲載されたことに疑問を持ち、その後、「本当は大学を卒業していないのではないか。だとしたら、私は疑惑の“隠蔽工作”に手を貸してしまったのではないか。」と不安に苛まれるようになる。

そして、元ジャーナリストで小池氏のブレーンの一人のA氏から、「カイロ大学声明は、文案を小池さんに頼まれ、私が書いたんです」という話を聞かされ、自分が提案してから、声明が出されるまでの、以下のような経緯を知ることになる。

2020年6月7日、午後2時4分、当時小池氏の側近で現千代田区長の樋口高顕氏からA氏へ、メールで、カイロ大やエジプトから声明を出させるため、急ぎ文案を作りたいので指導協力を求めてきた。
これに対してA氏は、カイロ大学の声明文だけでは追及は止まらないと考え、直ちに、小池氏本人にメールで
〈まず、カイロ大なりから声明を出させる。明日にでも。「法的対応も辞さず」くらいの強いのがいい。卒業証明書もカイロ大から出してもらう。そして、間髪入れず二階氏からカイロ大声明を理由に都連、都議会自民の動きを潰してもらう〉
と伝えた。
 すると2分後、樋口氏からA氏のスマホにショートメールが来た。
〈大学ないし国からの、望ましい声明文面案、作っていただけないでしょうか。すいません 本人から声明文案、作っていただけないかと依頼ありました。かなりつかれてました〉
この依頼を受けて7日午後2時51分、A氏はカイロ大学声明案を書き、メールで小池さんと樋口さんに送り、A氏が、
〈カイロ大学が大使館に託した声明文を、まず、大使館がホームページに掲載する。大使館は、小池氏に対しても、同文書を掲載したこと、日本外務省に通知したことと合わせ、通知する〉
という案を送ってメールを送信し、電話をして、口頭でも説明したところ、翌8日の午後8時34分、小池氏からA氏に、翌日、大使館のフェイスブックに掲載される英文のカイロ大学声明文の画像が送られてきた。
そして午後9時20分、再び小池氏からA氏に、
〈明日の4時から 郷原と黒木亮が外国記者クラブで記者会見とのこと。その前に全部済ませます〉

というものだった。

小池氏の「天敵」としての「郷原と黒木亮」

小島氏は、「全部済ませます」という言葉から、声明文作成と発出の真の主役が小池氏であり、それですべてを封じるという強い意志の表れだと述べている。

それに加え、この小池氏のメールの文面は、この私や黒木氏との関係で、極めて重要な内容を含んでいる。

私が、小池氏が2期目出馬を強行した場合に、公選法の経歴詐称が「虚偽事項公表罪」に該当する可能性があることを指摘した前記記事に続き、偽造の卒業証明書をテレビ番組で提示した「偽造私文書行使罪」の成立の可能性もあることを指摘した【小池百合子氏「卒業証明書」提示、偽造私文書行使罪の可能性】をアップしたのが6月6日の午前11時11分、憔悴し、途方に暮れた表情をしていた小池氏が小島氏に学歴詐称疑惑を払拭する方法について相談し、小池氏にカイロ大学から声明文を出してもらうことを提案されたのは、この日の夕刻、私の記事のアップの半日後のことだった。

都知事就任後の小池氏が「豊洲市場移転延期」等で人気の絶頂にあった2016年11月に出した【小池都知事「豊洲市場問題対応」をコンプライアンス的に考える】から、2017年7月の【“自民歴史的惨敗”の副産物「小池王国」の重大な危険 ~代表辞任は「都民への裏切り」】まで7本の記事を出し、2017年6月には、元総務大臣の片山善博氏との対談本【偽りの都民ファースト】で、小池都政を徹底批判していた。

さらに、2017年の衆院選に際して、小池氏が「希望の党」を設立して国政に進出しようとした動きについて、【希望の党は反安倍の受け皿としての「壮大な空箱」】などと、それがいかに「空虚」なものかを指摘し、衆院選挙後の2017年10月の【平成「緑のタヌキ」の変 ~衆院選で起きた“民意と選挙結果とのかい離”】【“幻”に終わった「党規約による小池氏独裁」の企み】などで、小池氏の政治家としての姿勢を厳しく徹底批判していた。エジプトでの取材の経験もある黒木氏は、小池氏の卒業証明書の偽造の疑惑を、緻密な分析で指摘していた。

それだけに、A氏宛てのメールで「郷原と黒木亮」と呼び捨てで表現した「郷原」と黒木氏は、小池氏にとってまさに「天敵」とも言うべき存在であり、その私が学歴詐称追及第2弾として出した【小池百合子氏「卒業証明書」提示、偽造私文書行使罪の可能性】は、すぐに読んだはずだ。

小池氏は、当時、反小池で批判を強めていた都議会自民党も、自民党の実力者の二階俊博幹事長から都連の有力者を通じて働きかけてもらえば、その批判を抑え込むことは可能だと思っていたはずだ。また、マスコミも、日ごろから手懐けており、実際に、少なくとも都政クラブ加盟の新聞やテレビは、それまでも「小池批判」はほとんど行っておらず、正面切って批判しないようにする自信は十分にあったはずだ。

しかし、私が指摘していた「司法リスク」は、それらとは性格が異なるものだった。

私は、学歴詐称疑惑について説明をすることなく、2期目出馬を強行した場合、公選法の「虚偽事項公表罪」だけでなく、エジプトで偽造された疑いのある卒業証明書を日本のテレビ局で提示したことについての「偽造私文書行使」という新たな犯罪の嫌疑を指摘していた。その有力な根拠を提示していたのが黒木氏だった。

そのまま2期目の出馬を強行し、私が指摘するような「犯罪リスク」が顕在化すれば、小池氏の政治生命の終焉を意味するだけでなく、それまでの政治家としての名声は完全に失われることになる。小池氏は、出馬を強行するか、何らかの理由をつけて回避するか、ギリギリの決断を迫られていた。

そのような「天敵」の私と黒木氏が、FCCJで外国人記者を集めて記者会見を行えば、小池氏に対して無批判の日本のメディアとは異なり、海外メディアで大きく取り上げられる可能性がある。小池氏は、絶体絶命の状況に追い込まれていた。

小島氏から「カイロ大学に声明を出してもらう」という案を聞き、それが危機の打開の唯一の方法だと考えた小池氏は、早速、当時ブレーンだったA氏に協力を求めた。そして、僅か2日で、カイロ大学の学長名の声明をエジプト大使館のフェイスブックに掲載してもらえる目途がついた。その時点で、メールに書いたのが、郷原・黒木のFCCJでの会見の前に「全部済ませる」という強い意志を表現した言葉だった。

「大学を卒業していない小池氏」と結論づけた小島氏

小島氏は、A氏が書いた声明文の原案と実際の「カイロ大学声明」と比較し、文章の構造で、日本語の訳文では「精査」「看過」「適切な対応」など、同じ文言も多いことから、A氏の文案を土台に使ったのは明白だが、変更された部分として、

①A氏案の〈カイロ大学の卒業名簿にその記載がある〉〈卒業の判定は大学としての公正な審理と手続きを経てなされたものである〉が削除され、〈卒業証書はカイロ大学の正式な手続きにより発行された〉と変更されていること
②A氏案の〈日本、エジプト双方の法令に基づき適切な対応を検討している〉が〈エジプトの法令に則り、適切な対応策を講じることを検討している〉と変更されていること

があり、これらのことから、本来この疑惑は、卒業名簿に名前があるのならば、カイロ大学がそれを出せば済むことに、これを削除したことから、卒業名簿に名前がないことを推測している。

また、〈公正な審理と手続きを経てなされた〉も削除されたのは、実際には審理も手続きもしていないから、カイロ大学を刺激することを懸念したものと推測している。

さらに、「日本の法令」で裁くという部分が削除されたのは、仮に日本で裁く場合、裁判所から小池氏が証言を求められたりする可能性があり、それは避けたかったと推測している。

これらを踏まえ、小島氏は、

いずれにせよ声明文は、図らずも、私が発案して、A氏が文案を作成した。それに小池さん自身が修正を加えた。そして、ここからは推測になりますが、彼女側から大使館へ依頼して掲載された。これがカイロ大学声明発出の内実だ、というのが私とA氏の結論です。
私とA氏が果たした役割を鑑みれば、カイロ大学が自発的に小池さんの疑惑を懸念して声明文を作成した、ましてやエジプト政府が関わったなどということは、ほぼあり得ません。大学を卒業していない小池さんは、声明文を自ら作成し、疑惑を隠蔽しようとしたのです。

 と結論づけている。

都知事選の3期目の出馬が注目される中で、小池氏の学歴詐称疑惑は、【女帝 小池百合子】に匿名で登場していた小池氏とエジプトで同居していた北原百代さんが、同書の文庫本発売時の昨年11月に実名を明らかにしたこと、カイロ大学声明による学歴詐称疑惑の隠蔽工作に関わった小島氏が、その経緯を告白したこと、という二つの有力事実が出てきたことで、もはや否定しようのない「学歴詐称」になったと言うべきであろう。

エジプト大使館を巻き込む隠蔽工作まで行って学歴詐称疑惑をはねのけて2期目の出馬を強行したが、元側近の告白で発覚して絶体絶命の状況にある小池氏は、今度はどのような奇策を弄するのだろうか。

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