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「反グローバリズムの日本国民よ連結せよ!」(前半)三橋貴明 AJER2022.7.26
  

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やったフリ?それともアドバルーン?「今冬原発九基稼働」の真実[三橋TV第579回]三橋貴明・高家望愛

https://youtu.be/elvQ0cfMZj0

 

 

 思えば十数年前の「経済評論」の分野はブルーオーシャンでございまして、
「GDPは生産の合計であり、支出の合計であり、所得の合計である」
「誰かの黒字は誰かの赤字、誰かの資産は誰かの負債」
 といった基本的なことを説明する人が誰もいませんでした。もしかしたら、「経済評論家」と名乗っていた連中も理解していなかったのかも知れない。(ちなみに、わたくしは「経済評論家」「評論家」と名乗ったことは無いので、ご注意ください。勝手に肩書を「経済評論家」とされるケースは多いですが、正しくは「経世論研究所 所長」です


 というわけで、わたくしが(不本意ながら)「青い海」でデビューし、
「政府の支出はGDPを増やす」
 と、当たり前のことを話すと、頻繁に「そんなわけがあるか!」と反発され、戸惑うことになったのでした。


 いや、名目GDPは「民間最終消費支出」「政府最終消費支出」「民間住宅」「民間企業設備」「公的固定資本形成」「純輸出」(と在庫変動)で構成される統計なのだから、そりゃあ、政府が支出(消費や公的固定資本形成)を増やせば、GDPは否応なしに増えるでしょ。


 という話なのですが、もちろん、政府が所得移転系(年金など)の支出を増やすと、それが100%需要になるかどうかは分かりませんが、どうもそういう細かい議論ではなく、
「政府が「ムダ」にカネを使うと、この世からカネが消えてしまうため、GDPになるなんてありえない!
 といったシンプルな説(というか、妄想)だったようです。


 そもそも、誰かがおカネを使おうが、おカネはこの世から消えませんし(借金返済したら消えますが)、GDPは消費や投資に誰かが使った金額の合計なのだから、政府が支出すれば増えるでしょ。


 現在では「常識」に感じられる話ですが、当時は違ったのです。というか、誰も「GDPの定義」とか考えたことがなく、説明もしなかった。そんな時代でした。いやあ、楽だった、楽だった。異世界転生して、チート能力貰った感じでございましたよ、マジで。(今は違うよ)


 一番、ビックリしたのは、例の「国債所有者別内訳」のグラフを使ったときに、同業者から、
「三橋さん、このグラフ作るのに何人スタッフ抱えて、どのくらいの期間が必要ですか?」
 と、言われた時です。


 いや、ごめん。一人で、3分で作っているんだわ。インターネットで情報を入手できるようになり、経済評論の環境も変わった。ところが、人間は変わらなかった。というわけで、わたくしは2011年頃から講演依頼が殺到するようになったのです(一時は、年間200回くらいやっていました)。「環境が変わったが、変わらない人がいる」ことに気が付いた方々が、わたくしを呼ぶようになったわけですな。


 今はそうでもありませんが、かつての「経済評論」分野のレベルの低さは特筆に値します。単に「定義」を整理するだけで、チート能力を身に着けたのも同然でした。


 もっとも、実際に経済行政をしている官僚たちは、当時から、わたくしが話すような知識は当然ながら持っているわけです。
 

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【経世史論】三橋貴明と「歴史に魅せられて my」がお送りする、経世史論。

http://keiseiron-kenkyujo.jp/keiseishiron/

第四十二回「皇統論 藤原純友の乱」「歴史時事 サラーフ・アッディーン」がリリースになりました。
ぜひ、ご入会下さい。

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 というか、
「政府の支出はGDPを増やす」
「誰かの黒字は誰かの赤字」
「誰かの資産は誰かの負債」
 などは、各用語(GDP含む)の定義を理解すれば、「地球上では誰も否定できない原則」であることが分かるはずなのです。


 というわけで、日本政府はPB(基礎的財政収支)の黒字化を目指しています。政府の財政を黒字にするためには、他の誰か(民間、もしくは海外)に赤字になってもらわなければならない。


 さすがの内閣府の官僚たちも、
「他の誰かの黒字を減らさずに、政府の赤字を減らし、黒字化する」
 シミュレーションはできないのですよ。モロに「嘘」になってしまうため。

PB26年度黒字「拡大」 実現は不透明 政府財政試算
 内閣府は29日の経済財政諮問会議で、中長期の経済・財政に関する試算を示した。財政健全化の指標となる国と地方の「基礎的財政収支」(プライマリーバランス=PB)について、高めの経済成長が続いた場合の黒字化見通しを前回試算(2022年1月)と同じ26年度とし、黒字幅を拡大させた。近年の税収増を前提にしているが、足元の世界経済は減速しており、実現性は不透明だ。(後略)』

 しょせんは「妄想」なので、どうでも良いと言えばそれまでですが、内閣府が「中長期の経済・財政に関する試算」を公表しました。わたくしが本試算に注目しているのは、PBの実績が分かるのに加えて、政府が「いかに、国民を貧しくしようとしているのか?」がシミュレートされるためです。

【内閣府試算 日本の部門別収支(成長実現ケース、対GDP比%)】


http://mtdata.jp/data_80.html#bumon

 内閣府の試算によると、我々(民間)の黒字は、今年度までは対GDP比8.8%と、比較的高い水準を維持するのですが、来年度は3.2%と大幅に削減されます。


 それはまあねえ、政府の赤字を圧縮する以上、反対側で誰かに黒字を減らしてもらう(もしくは赤字を増やしてもらう)しかないよねえ。誰かの黒字は、誰かの赤字なのだから。


 来年度、日本政府は対GDP比5%超、つまりは30兆円規模の「我々の黒字」を奪い取ることを予定しているわけです(そうしなければ、25年度PB黒字化のシミュレーションが成立しない)。


 国民一人当たり、25万円です。来年度、我々は一人当たり25万円の純資産を奪われることになるのですよ。


 無論、現実には民間の黒字を対GDP比で5%も圧縮することは不可能だと思いますが、少なくとも内閣府が「そう、シミュレートしている」ことは事実なのです。


 マスコミは、政府の黒字化にばかり注目し、内閣府のシミュレーショが意味する恐るべき事実(国民一人当たり25万円、純資産を奪う)には触れないでしょう。結局のところ、「数字」を基に「真実」を解き明かすという分野は、今でもブルーオーシャンなのかも知れませんね。
 

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