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3月28日(木) 自民党政治の混迷と野党共闘の課題――「受け皿」を作って政権交代を(その2) [論攷]

〔以下の論攷は『学習の友』No.848 、2024年4月号に掲載されたものです。2回に分けてアップさせていただきます。〕

 厳しい批判と攻防の構図 

 このようなスキャンダルの連発によって、岸田政権と自民党は世論の厳しい批判を浴びています。時事通信が実施した2月の世論調査で、岸田内閣の支持率は前月比1.7ポイント減の16.9%で発足以来の最低、毎日新聞では支持率14%で不支持率82%でした。不支持率の8割越えは1947年以来初めてです。
 しかし、このような支持率の低下が自民党支配の打倒に直ちに結びつくわけではありません。これまでも自民党はペテンとゴマカシによって支配の危機を乗り越え、生きながらえてきたからです。
 たとえば、金丸巨額脱税事件で国民の怒りを買い、総選挙で自民党が敗北して細川連立政権が樹立されたとき、金権腐敗打破を掲げた政治改革が選挙制度改革にすり替えられ、小選挙区比例代表並立制と政党助成金制度が導入されました。このとき政権から転落した自民党は大政党に有利な選挙制度を導入し、助成金と企業・団体献金との二重取りによって「焼け太り」してしまったのです。
 また、森喜朗首相が数々の失言によって世論の批判を浴び、内閣支持率を一けたにまで低下させたとき、総裁選を前倒しして小泉純一郎総裁を選出し、その後の総選挙で自民党は大勝して息を吹き返しました。小泉首相は「自民党をぶっ壊す」と言いながら自民党を救いました。「小泉劇場」による「目くらまし」が功を奏したわけです。
 現在、危機に陥っている自民党は、この「小泉劇場」の再現を狙っているのかもしれません。菅前首相を黒幕とする「小石河」(小泉・石破・河野)の暗躍もうわさされています。金丸巨額脱税事件での「焼け太り」や「小泉劇場」による「目くらまし」を許すことになるのか、野党や国民にとっての正念場が訪れようとしています。

 共闘で「受け皿」を作れば勝てる

 支配の危機を自民党政治の打破に結び付けるための最大のカギは市民と野党の共闘です。野党は「受け皿」作りを急ぎ、一致して自民党を追い詰める必要があります。「振り子の論理」による派閥間の「疑似政権交代」によるマヤカシに騙されてはなりません。
 「疑似」ではなく「真正」の政権交代を実現するためには、野党が一本化して自民党と対決する必要があります。共闘すれば勝てるけれど、分裂すれば勝てないというのが、この間の地方選挙で示された教訓です。
 前橋市長選挙では、自民・公明に支援され4選を目指した無所属現職候補に対して野党が支援した無所属新人の元県議が初当選しました。1万4000票余もの大差でした。与野党が一本化して対決し、「保守王国」とされる群馬の県庁所在地で野党側が勝利したのです。
 これに対して、私が住んでいる八王子市長選挙では、野党側が分裂したために惜敗に終わりました。萩生田前政調会長などの自民党と公明党が支援する現職市長の後継候補が6万4000票と大きく票を減らしたにもかかわらず、「反萩生田連合」の候補が5万7000票と、7000票差で惜敗しました。
 この候補者は元都民ファーストの都議ながら無所属となって立憲・共産・生活者ネット・社民・新社会の野党だけでなく、元自民党衆院議員や2人の元自民党市議会議長の応援を得ましたが、もう一人の元都民ファーストの都議で完全無所属を掲げた候補が4万5000票を獲得したために当選できませんでした。「反萩生田」の票は2人合わせて10万2000票と自公推薦候補を大きく上回っていたにもかかわらず。
 まことに、惜しい結果でした。「野党が覚悟を決めて大同団結し」(大島理森・元衆院議長)、力を合わせて統一していれば勝てました。国会議員の応援を断ったのも問題です。主敵を絞って総力を結集し、あらゆる手段を駆使して市民と野党が共闘する大切さを痛感させられたものです。


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