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6月23日(火) 『日刊ゲンダイ』に掲載されたコメント [コメント]

〔以下のコメントは『日刊ゲンダイ』6月23日付に掲載されたものです。〕

*巻頭特集「国民は疑心暗鬼 移動・営業自粛解禁、景気底打ちの空騒ぎ」

 都の“女帝”が3月下旬、いきなり「ロックダウン(都市封鎖)」に言及して不安をかき立てた時の感染者数が40人台だった。今と変わらない人数だ。なぜ今回は静観なのか。アラートを発しなくても大丈夫だと言えるのか。

■「100年に1度の危機」から一転

 「東京アラートには何の意味もありませんでした。小池知事の選挙向けパフォーマンスに使われただけです。自粛要請の解除も、経済を回した方が都知事選に有利だという政治的判断からでしょう。東京アラートも“やってる感”を演出していただけで、科学的な根拠に基づくものではない。
 経済活動を全面再開してからの感染者増が表出するのは2週間後ですから、その頃には都知事選も結果が見えている。選挙期間中は、自分がコロナを抑え込んだから経済活動が再開できたという幻想を振りまき、じわじわと感染者数が増えている現実は見て見ぬふりで乗り切るつもりなのでしょう。何もかも自分に都合のいいように決めているのです」(法大名誉教授・五十嵐仁氏=政治学) 

 コロナの選挙利用は悪質だが、輪をかけてひどいのが政府の対応だ。

 安倍首相は国会閉会を受けた18日の記者会見で、「19日から社会経済活動のレベルを引き上げる。都道府県をまたぐ移動も全て自由。各地への観光旅行にも、人との間隔をとることに留意しながら、出掛けていただきたい」と呼びかけた。

 そして当初の予定通り、移動や経済活動を全面解禁すると同時に、景気の基調判断を2年5カ月ぶりに上方修正したのだ。

 「コロナ感染拡大には目をつぶって、経済活動に舵を切ることにしたのでしょう。コロナ対策で議論すべきことは山積みなのに、17日に国会を閉じたから、何か起こっても首相が責任を追及される場はない。経済活動の全面再開には、これ以上の補償はしたくないという政府のホンネも透けて見えます。これまでも、都や政府のコロナ対策は、専門家の意見や科学的知見を“参考程度”にとどめ、政治的な思惑で歪めてきた。全国的な休校要請や、緊急事態宣言は必要なかったという見方もあります。小池都知事も『自粛から自衛へ』と言っていましたが、世界的な感染症流行の対策を自己責任に丸投げなんて、政治の責任放棄ですよ。“ウィズコロナ”などと言って、もう補償はしないから自力で何とかしてくれと突き放している。新自由主義のコロナ版であり、無責任極まりない。こんな都知事や政府に国民の命と安全を預けられるでしょうか」(五十嵐仁氏=前出)

 政府のコロナ対策では、アベノマスクや休業補償など、実情にそぐわない愚策を繰り出してきた政治家・官僚の失態が次々と明らかになっている。自己都合優先で専門家の意見にも耳を貸さず、サイエンスに基づかない政府の方針はまったくもって信用できないのだ。


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