水町勇一郎『労働法第8版』

 水町勇一郎先生から、『労働法第8版』をご恵投いただきました。ありがとうございます。
(在宅勤務と出張が続いたため御礼がたいへん遅くなり申し訳ありません)

労働法 第8版

労働法 第8版

  • 作者:水町 勇一
  • 発売日: 2020/03/09
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
 学部向けのテキストとして定評ある基本書ですが、ほぼ2年ごとに改訂されて第8版となりました。今回はこの間の諸動向を反映して、長澤運輸事件とハマキョウレックス事件の最高裁判決を受けた不合理な待遇の禁止や、さすがにベルコ事件までは手が回っていませんがコンビニ店長の労働者性などについて記載されているのが目を引きます。あと細かい話ですが第7版では「この(長期雇用)慣行の労働者側からみた大きなメリット」となっていたのが第8版では「長期雇用慣行の労働者側のメリット」となっていたり、第7版では「非正規労働者の状況と学説・裁判例の展開」となっていたのが第8版では「非正規労働者の問題状況と学説・裁判例の展開」となっていたり、人事管理に対する評価がやや辛くなっている印象を受けます(まあこれもこの間の世間の雰囲気の変化を反映したものかもしれませんが)。
 また、はしがきによれば「本書を適度な分量でより読みやすいものとすることを試みた…全体で約1割近い減量を行った」とのことで、コラムがかなり間引きされたほか、図表などもだいぶカットされています。人事管理を長年やってきた立場からすると、第7版では4ページが割かれていた企業内紛争解決に関する解説が第8版では丸ごと消えてしまったのは非常に寂しいものを感じるわけですが、まあこれは労働法じゃなくて人事管理だろうと言われればそのとおりではあるのでしょうが…。