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弁護士・元ロースクール教授宮武嶺の社会派リベラルブログです。

TBS世論調査で日本が専守防衛を「見直すべき」52%、「見直すべきではない」28%。ロシアのウクライナ侵略で浮足立つ一般市民は、ウクライナ戦争から得られる教訓を誤解している。

2022年05月09日 | 社会とマスコミ

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 私にとっては衝撃の世論調査の結果なのですが、皆さんはどうでしょうか。

 2022年5月7・8日にJNN(TBS)が行なった世論調査によると、日本の従来の防衛姿勢の建前である「専守防衛」について

「見直すべき」

とする人が52%と過半数にのぼり、「見直すべきではない」28%の倍近くになっていることが分かったというのです。

 

 

 相手国から攻撃された時の防衛に徹するという専守防衛を見直すという事は、相手国に対する先制攻撃に踏み出すという事を意味します。

 世論がこれでは、自民党が敵基地攻撃論を言い換えた「反撃能力」が実は先制攻撃なんですよといくら訴えても、そんな能力も具備した方がいいと言われてしまいます。

 まさか、憲法9条に自衛隊を書き足すどころか、専守防衛を見直せと言い出すとは、日本の市民の痴性を甘く見ていました(失礼)。

小野寺元防衛大臣が米ネオコンシンクタンクCSISで「反撃能力の保有についてアメリカ側に説明し歓迎された」。敵基地攻撃能力論と軍拡はアメリカの軍産複合体の利益のための貢物だ。

 

 

 確かに、毎日毎日これでもかとロシアによるウクライナ侵略と蛮行の映像を見せられ、北朝鮮がしょっちゅうミサイル実験をしているという状況下では、もともと恐れていた中国はもとより、ロシアや北朝鮮が攻めてきて、日本もウクライナと同じようになってしまうという危機感を持つ気持ちもわからないではありません。

 現に、麻生太郎自民党副総裁など、何度も

「西に行ったけど、東に行かないという保証はない」

などと、ロシアが攻めてくるぞ~と煽っています。

 こんな粗雑な頭の持ち主らしい大雑把な意見でも今は説得力があるのかもしれませんが、冷静に考えれば、ロシアがウクライナに侵攻したからと言って、日本の安全保障状況に変化があったわけでは全くありません。

 JNNの世論調査では、日本の防衛費の増額については「賛成」が55%「反対」31%となっていますが、日本が急に危なくなったわけでもあるまいし、自民党の言うように軍事費をGDPの2%の10兆円以上にするだなんてナンセンスです。

ロシアのウクライナ侵攻を奇貨として「憲法9条で日本が守れるのか」と問う改憲論者がまず答えるべきだ。「ウクライナは軍備があっても侵攻されている。憲法9条を改憲すれば、軍隊があれば日本を守れるのか?」

 

 

 また佐藤正久自民党外交部会長がアメリカのネオコンシンクタンクCSISで北海道に日米の中距離ミサイルを置けと主張し、昨日のフジテレビの「日曜報道 The Prime」でも、

「射程2,500kmの移動式地上発射型中距離ミサイルを北海道に配備すべきだ」

という意見を詳しく述べました。

 しかし、ロシアがウクライナを攻撃している最大の理由は、ウクライナがNATOに加入しようとしていて、それが実現するとアメリカなどのミサイルがロシアに向けて配備される可能性がある、ということなわけです。

 それなのに、日本が北海道にロシアや中国まで届くミサイルをずらっと配備するようなことをしたら、むしろロシアや中国が日本に攻める動機を作り、戦争が起こる危険性が高まってしまうではないですか。

 日米の軍産複合体のお先棒を担いでいる元自衛隊隊長の佐藤氏は、日本の安全や市民の命など実はどうでもよくて、とにかく軍需産業を儲けさせ、自衛隊が軍拡することしか頭にないのです。

佐藤正久自民党外交部会長が、北海道に日米の中距離ミサイルを置くことを米ネオコン研究所CSISで提案。ロシアの攻撃目標になるのは必定!「反撃能力」=敵基地攻撃能力を具体化することがいかに危険かは明白だ。

 

 

 ウクライナ戦争の教訓は、野蛮なロシアのような国はいつ攻めてくるかわからない、ということではなく、ロシアもそれなりの事情があり動機があって攻めてくるのであって、逆に言うと戦争は賢い外交で防げるということです。

 ロシアの侵略は国連憲章違反の国際法違反の行為ですし、民間施設の爆撃や市民の殺戮や原発攻撃はそれぞれ戦時国際法などに反する戦争犯罪です。

 プーチン大統領とロシア軍の行為は絶対に正当化できません。

 しかし、ロシアもリスクを冒して他国に攻め込むには彼らなりの理由があり、やみくもに侵略しているわけではありませんし、今回の戦争も当事者であるウクライナやNATOの外交努力でストップすることは十分可能だったのです。

 それなのに、やれ軍事費倍増だ、先制攻撃能力だ、核共有だなどと日本が周辺諸国に挑発をし続けていたら、むしろ戦争の危険は増すばかりではないですか。

 良心的で冷静な市民が浮足立つ市民を説得して、憲法9条を守って専守防衛と平和外交に徹することが、最大最高の安全保障なのだと言い続ける必要があります。

【#憲法変えるな政権代えよう】 憲法9条に自衛隊を書き込むことの危険性。真正面から合憲な存在になった自衛隊の軍拡、海外派兵、集団的自衛権の行使はもはや歯止めが利かなくなくなる。

 

 

北朝鮮のミサイル実験については慣れっこになってしまった日本の市民ですが、ウクライナ戦争がこれほどナショナリズムと軍拡志向に拍車をかけるとは思いませんでした。

ウクライナ市民の被害を対岸の火事と見ないのは人として素晴らしいことですが、そこからくみ取れる教訓については180度間違って捉えているとしか言いようがありません。

冷静な判断能力を取り返してもらうにはどうしたらいいんでしょうか。考え続けることにします。

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専守防衛「見直すべき」52% JNN世論調査


TBSテレビ

2022年5月9日(月) 05:44

日本の防衛姿勢である「専守防衛」について「見直すべき」とする人が52%と、過半数にのぼることが最新のJNNの世論調査で分かりました。

調査は7日(土)、8日(日)にご覧の方法で行いました。

岸田内閣を支持できるという人は、先月の調査から3.0ポイント上昇し、62.1%でした。

一方、支持できないという人は5.4ポイント低下し、31.8%でした。

続いて、ウクライナ情勢について。

日本政府のこれまでの対応を聞いたところ「評価する」が64%、「評価しない」が21%でした。

また、ロシアへの制裁については「欧米と歩調を合わせて強化すべき」が34%、「日本の事情に合わせて強化すべき」が53%、「これ以上強化すべきではない」が8%でした。

日本の安全保障環境が厳しさを増す中、日本の防衛姿勢である「専守防衛」について聞いたところ「見直すべき」が52%、「見直すべきではない」が28%でした。

また、日本の防衛費の増額については「賛成」が55%にのぼり、ウクライナ情勢などを受け、防衛力の強化を求める声の高まりを示す結果となりました。

続いて、新型コロナ対策について。

岸田総理は水際対策について、6月には他のG7=主要7か国並みに円滑な入国が可能となるよう大幅に緩和する考えを表明しましたが、こうした水際対策の緩和について聞いたところ「緩和すべき」が48%、「緩和すべきではない」38%でした。

また、屋内外問わず、マスクの着用が一律に推奨されていることについて聞いたところ、「維持すべき」が75%、「見直すべき」が21%でした。

これまでの政府の物価高への対応について聞いたところ「評価しない」が61%でした。

10日、韓国の新政権が誕生しますが日韓関係の改善については「期待している」が44%、「期待していない」が46%でした。

【政党支持率】
▲ 自民  37.3%(1.4↓)
▲ 立民    5.6%(0.8↑)
▲ 維新    4.5%(0.2↓)
▲ 公明    3.4%(1.0↓)
▲ 国民    1.1%(1.1↓)
▲ 共産    1.7%(0.3↓)
▲ れいわ 0.2%(0.7↓)
▲ 社民    0.3%(0.1↓)
▲ N党    0.1%(0.1↓)
▲ その他 0.7%(0.3↓)
▲ 支持なし 41.4%(3.4↑)

 

 

西のウクライナに侵攻したロシア、「東に行かない保証ない」…麻生氏が講演で言及

 自民党の麻生副総裁は7日、福岡市で講演し、ウクライナを侵攻したロシアについて「西(のウクライナ)に行ったけど、東(の日本)に行かないという保証はない」と述べた。自民党の麻生副総裁

自民党の麻生副総裁

 防衛力強化の必要性なども訴え、「自国は自分の手で守るという決意が、憲法ができて75年たつが、いつの間にか忘れられているのではないか」とも語った。

 

 

ロシア、西に攻めたら東も 麻生氏

2022年04月23日20時11分 時事通信

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