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「安倍政権のレガシー(前編):前半)」三橋貴明 AJER2020.9.7
https://youtu.be/y_CDVrmPJt0

    

令和の政策ピボット呼びかけ人に、高橋あさみ様(私立Z学園高等学校 1年4組 16歳)が加わって下さいました。
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安倍総理のレガシー 日本国の有史以来、最も少子化を推進した男 [三橋TV第286回]
https://youtu.be/-Asd98sPHvw

 かつて、
「消費者の利益の保護に配慮しつつ、大規模小売店舗の事業活動を調整することにより、その周辺の中小小売業者の事業活動の機会を適正に保護し、小売業の正常な発展を図る」
 ことを目的とした大店法(大規模小売店舗法)が改訂され、「大規模小売店舗立地法(1998年)」になりました。


 ちなみに、日本国政府に大店法の改訂を求めた急先鋒は、アメリカの「トイザらス」でございます。


 「立地法」成立により、中小小売店に対する「保護」が外され、ロードサイド型超巨大ショッピングセンターが乱立するようになります。中小小売店は次々に廃業に追い込まれ、各地の駅前が、いわゆる「シャッター通り」だらけになってしまいます


 また、1988年の日米建設協議以降、日本国内で、
「公共事業批判」
「談合批判」
「指名競争入札批判」
 が相次ぎ、財務省主導の緊縮財政の影響もあり、補正を含めた公共事業はピーク(1998年)と比べ、一時は半分未満にまで削減されてしまいます。


 結果、地方のインフラ整備や防災を担う中小の土木・建設業者が「淘汰」されていきました。

【日本の年度別公共事業関係費の推移(兆円)】


http://mtdata.jp/data_71.html#koukyoujigyou

 そして、いよいよ、

「既得権益!」

「日本の中小企業は保護されている!」

 といった使い古されたレトリックを使った、日本経済の主人公である中小企業への攻撃が開始されようとしています。すなわち、中小企業淘汰(彼らは「再編成」と呼ぶ)の構造改革が始まるのです。

 

【三橋貴明の音声歴史コンテンツ 経世史論】

http://keiseiron-kenkyujo.jp/apply/

※特別コンテンツ、近現代史研究家・林千勝先生【大東亜戦争の真実~奪われた勝利への道~】が視聴可能となりました。

 

菅氏、中小企業の再編促す 競争力強化へ法改正検討
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO63502940W0A900C2EA2000/
 菅義偉官房長官は5日の日本経済新聞のインタビューで中小企業の統合・再編を促進すると表明した。中小の成長や効率化の阻害要因とも指摘される中小企業基本法の見直しに言及した。アベノミクスの継承と同時に、グローバル市場における日本経済の競争力強化に政策の照準を定める。(中略)
 中小企業については「足腰を強くしないと立ちゆかなくなってしまう」と訴えた。
 日本の中小企業は現在、小規模事業者を含め約358万社あり、企業全体の99.7%を占める。
 中小企業白書によると従業員1人あたりの付加価値額を示す「労働生産性」の中央値は大企業の585万円に比べ、中規模企業は326万円、小規模企業は174万円にとどまる。企業規模が小さくなればなるほど生産性が下がる傾向がある。(後略)』

 中小企業の生産性が低い(=従業員一人当たりの生産量、あるいは粗利益が小さい)ことは確かです。
 とはいえ、これは別に「中小企業が多すぎる」ためでも、「中小企業の経営者や従業員が怠慢」なためでもなく、単純に「仕事が少ない」ためです。厳密には、安定的で拡大する需要がない、になります。


 まずは「定義」が重要なのですが、生産性とは、
◆ 生産性=粗利益(あるいは生産量)÷従業員数
 と、なります。
 

 実質賃金は生産性と労働分配率で決定します。従業員一人当たりの粗利益(あるいは生産量)が増えていけば、労働分配率を引き下げない限り、実質賃金は必ず上昇します。


 逆に言えば、現在の日本国民の実質賃金が下落していっているのは、生産性が低迷しているためです(及び労働分配率の引き下げ)。


 ところで、なぜ「粗利益(あるいは生産量)」なのかと言えば、粗利益は物価の上昇のみで拡大する可能性があるためです。というわけで、生産性は定義的には「従業員一人当たりの生産量」になります。


 もっとも、製造業はともかく、サービス業の「生産量」は統計が困難なので、金額で見ています。 

【日本の企業規模別従業員一人当たり付加価値額(労働生産性)の推移(万円)】
http://mtdata.jp/data_71.html#seisannsei

 図の通り、確かに中小企業の生産性は低い。とはいえ、中小企業が地方経済の担い手になっているのは間違いありません。


 東京一極集中にストップをかけなければならない我が国で、地方経済の中心である中小企業について、平気で「再編」だの「グローバル市場における競争力強化(要は価格競争力の強化)」を言い出す時点で、菅官房長官の国家観はおかしい


 さらに、中小企業だろうが、大企業だろうが、生産性は、総需要(厳密には潜在的な総需要)が供給能力を上回るインフレギャップの状況で、投資が行われなければ上昇しません。

【インフレギャップとデフレギャップ】


http://mtdata.jp/data_46.html#Gap

 総需要が不足している状況で、競争を激化させたところで、単に弱者から潰れていき、失業者、貧困者が増えるだけの話です。

 

 菅官房長官は、インフレ対策とデフレ対策の区別もつかないようですね。しかも、国民、厳密にはデフレ下で懸命に足掻き続けている、我々企業経営者や従業員のことなど、な~んにも考えていない
 

 もっとも、より情けないのは、菅官房長官の中小企業政策が、元ゴールドマン・サックスで、国際金融資本の代理人であるデービッド・アトキンソンの丸パクリであることです。


 本問題は極めて深刻で、重要なので、今後、三橋TVなどでも継続的に取り上げていきます。

 わたくしも中小企業の経営者なので、強調しますが、我々こそが日本経済の主人公です。


 日本経済の主人公である中小企業を、狂った構造改革の荒波の中に放り込むなど、許されざる蛮行なのです。
 

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