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弁護士・元ロースクール教授宮武嶺の社会派リベラルブログです。

菅総理「学術会議推薦の名簿を見ないで任命したら6人外れちゃった~」の大嘘。学者を研究内容で差別するのは学問の自由侵害。ネトウヨ・阿呆コメンテーターの論点ずらしに誤魔化されるな。

2020年10月12日 | 打倒!菅義偉!

安倍首相追放の次は菅政権を打倒!

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 すみません、うちの法律事務所を完全リモート法律事務所にすべく態勢を整えている間に、まさか日本学術会議問題で、まともなリベラル側が劣勢になるとは思いませんでした。

 今回、菅総理が日本学術会議推薦の6名の研究者を会員にすることを拒否した問題は、この学者たちの研究内容に着目して任命しなかったことは、任命拒否の理由を菅総理も加藤官房長官も一言も説明できないことから明らかです。

 しかも、特定秘密保護法・安保法制・共謀罪と言う安倍・菅官邸の違憲3点セットに文句を言った人文科学系の学者だけを任命拒否しているのですから、菅総理が自分を批判した学者に意趣返しした恣意的な人事であることは明らかなのです。

「何言ってるかちょっとわからない」byサンドイッチマン富澤

 

 

 

安倍政権から継承した「火事場泥棒」

 

 

 この問題の本質は、

1 研究内容によって特定の学者に不利益を与えた学問の自由侵害という憲法違反

2 内閣総理大臣には任命を拒否する実質的な権限を与えていない日本学術会議法という国会で定めた法律に定められた法律に反して学術会議の人事に政権が不当に介入した法律違反

3 そして任命を拒否した理由について何ら説明責任を果たしていない政治責任

にあります。

 

 

 特に、1・2がやばいと思った菅政権は、50年前のこんな国会答弁を持ち出してきました。

 1969年7月24日の衆院文教委員会での高辻正己内閣法制局長官(当時)の答弁なのですが、公務員である国立大の学長の任命について、公務員の選定・罷免権を定めた憲法15条との兼ね合いについて

「申し出があった者を任命することが、明らかに法の定める大学の目的に照らして不適当と認められる、任命権の終局的帰属者である国民、ひいては国会に対して責任を果たすゆえんではないと認められる場合には、文部大臣が、申し出のあった者を学長に任命しないこともできないわけではない」

 そもそも、国立大学の学長に対する文部大臣の権限は学問の自由と言うより大学の自治の問題で、守備範囲も違う話に関する答弁なのですが、それにしても、この答弁で高辻長官は

「明らかに法の定める大学の目的に照らして不適当と認められる」

という要件を挙げています。 

 菅総理は本当に法律に疎いんだなと思いますが、この答弁を根拠にしてしまったら、一見して明白な不適当な理由が任命拒否した6名に存在するという立証責任を負うのです。 

 これは菅政権、自分で自分を死地に追い詰めたと言えるでしょう。

 

 2020年10月8日の参院内閣委員会で、田村智子参院議員が

「菅総理は日本学術会議法に照らして、6人を『明らかに不適当である』と判断したことになる」

「『明らかに不適当である』理由を示して欲しい」

と追及したのですが、もちろん菅政権は一言も説明できず

「人事の詳細については控える」

と答えるしかなくて詰んでしまいました(笑)。

 このように、まともに正面から議論しても勝ち目がないと菅政権は、もっともらしく「学術会議改革」を掲げて国民の目をそらす狙いに出ました。

・学術会議には年間10億円の政府予算が注入されている。税金を使っている以上、政府が口を出すのは当たり前

・学術会議が政府の方針と異なる声明を出していることから、政権が『共産党系の学者が多い』『中国とつながっている』などのイメージを喧伝し、ネガティブキャンペーンを展開

という戦術なのですが、これってよく考えなくても、今回の任命拒否や上記の憲法違反・法律違反・政治責任と何ら関係がありませんよね?

 

 それにしても、フジサンケイグループのトランプ大統領張りのフェイク報道は酷いですね。

 フジテレビの情報番組「バイキングMORE」で、平井文夫上席解説委員が

「会員OBは日本学士院会員になり、死ぬまで250万円の年金をもらえる。そういうルールになっている」

と発言したので、ネトウヨらが大拡散していましたが、日本学術会議OBが学士院会員になるというルールはなく、学士院会員にならない学術会議会員が何割もいることがわかって、平井発言についてフジが謝りまくっているのですが、スシロー以上のスシローと言われる平井解説委員もネトウヨも黙りこくったままです。

 

 

 学術会議が中国の軍事技術開発に協力しているというのも何の根拠もないのにネトウヨが拡散していますし、これ、全部電通が裏で操っていると思うのですが、ネトウヨのアホさ、マスコミのだめさも安倍政権の時よりさらに加速しています。

 ホワイトハウスでクラスターを発生させたトランプ大統領が、コロナ陽性反応から三日で「奇跡の生還」をしてみせて、まかり間違ったら再選しそうなアメリカといい、憲法違反・法律違反の学術会議への干渉がいつの間にか、学術会議の軍事研究への慎重さを破壊する策動に転嫁している日本と言い、アベコベ政治を打破しないとこの世は闇ですね。

 

ブログを1週間休んでみて思うのは、ブログってやはり一本の記事を書くのがすんごく大変でサボると楽だなということと、今の日本社会って悪貨が良貨をすぐ駆逐するので、絶対あり得ないと思ってた理不尽が簡単に通っちゃうってことです。

やはり、大変でもコツコツ権力に反撃しないと、世論がぐちゃぐちゃになることがよく分かったので、リモート弁護士、もともとリモートのブログも頑張ります!

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月刊誌「創」編集長の篠田博之さん=東京都新宿区で2020年10月8日午前11時43分、五味香織撮影

 

 日本学術会議の新会員候補6人が菅義偉首相に任命拒否された問題は、拒否そのものの是非から日本学術会議のあり方にまで議論が及び、連日報道が続いている。

 言論の自由を巡る特集を数多く手がけ、メディア業界を長年見続けてきた月刊誌「創(つくる)」編集長の篠田博之・創出版代表(69)は、菅政権の狙いを「官僚組織の次は、在野の学者やメディアを意のままに動かしたいと考えている」と指摘する。

 学問の自由から言論、表現の自由にまで及ぶ危機的状況の中で、メディアはどう行動すべきか。出版人の提言を聞いた。【五味香織/統合デジタル取材センター】

批判的な学者とメディアを狙う

 ――一連の問題を、どう見ていますか。

 ◆今はすごく大事な局面です。政権側は任命拒否を「これは決定事項だ」と言っていますが、まだ事態は流動的だと言えます。さまざまな団体が反対の声を上げ、私が所属する日本ペンクラブも声明を出しました。今後もいろいろな動きが出てくるでしょう。今年5月、検察官の定年延長を認める検察庁法の改正案が国会で見送りになった時のように、世論が事態を動かすようになってほしいと思っています。

菅義偉氏が新首相になると報じるテレビに見入る女性=高知市内で2020年9月16日、松原由佳撮影

 菅政権は安倍晋三政権を踏襲したと言われていますが、今回の件で明らかになったのは、「強権的に物事を進める手法」を最も色濃く受け継いでいるということです。安倍政権の時も、法案を次々と強行採決するなどひどいやり方をしたけれど、それでも安倍さんなりの国家観や理念があって、やっていることの意図がそれなりに分かった。もちろん、その国家観や理念には全く同意できませんが。でも今、菅さんがやっていることは、一体この国をどうしようとしているのかがよく分からない。「理念なき暴走」に見えて、ある意味で非常に危険だという気がしますね。

 

 ――任命拒否の狙いは何だと思いますか。

 ◆政権に批判的な勢力は見せしめに排除する、ということでしょう。安倍政権がやってきたのと同じことです。官僚も政権の意向に反対する人は排除されるし、残った人も忖度(そんたく)するようになる。全体として官僚組織は政権の意のままに動くようになったので、次は在野で政権に批判的な学者やメディアをどうにかしたいと考えているのでしょう。まず、自分の影響力を行使できるところ(学術会議)から変えようとしたのだと思います。

 

安保法制への学者の批判に苦々しい思い

 ――なぜ学者の世界が対象になったのでしょうか。

 ◆2015年に安保法制を議論していた時、学者の声が新聞などで大きく取り上げられました。国会では、与党側の参考人として出席した学者が「憲法違反だ」と指摘する場面もあった。学問の世界は独立しており、それぞれが学者としての信念に基づいて発言したのだと思います。しかし政権にとっては苦々しく、こういう勢力を何とか抑え込みたいと考えたのでしょう。

 

 ――学術会議はもちろん、メディアや各種団体が相次いで批判の声を上げていますね。

 ◆安倍政権時代、メディアを含め、政権をチェックする側は押されっぱなしだったんですよ。だから菅さんとしては経験的に、「これは行ける」と踏んだんじゃないでしょうか。でも、新聞やテレビの報道番組が予想以上に頑張っている。そうでなければ、これだけ大きな問題にならなかったでしょう。マスメディアは以前ほどではないとはいえ、世論を喚起する力をまだ失っていないことを示したと言えます。

首相官邸前で「日本学術会議」が推薦した新会員候補6人を菅義偉首相が任命しなかったことに抗議する人たち=東京都千代田区で2020年10月3日午後4時4分、吉田航太撮影

 ただし、リベラル系のメディアは比較的よく頑張っていると思いますが、メディア自体が保守系とリベラル系に分断されてしまっている。これは安倍政権の負の遺産と言えますね。

 

 ――安保法制などの政府方針に異を唱えた学者が任命を拒否されたことは、同様に政府に批判的なメディアや言論界にとっても圧力となるように思います。

 ◆菅政権は、言論表現、報道に関わるところをコントロールしたいという意図を持っていると思います。安倍政権の時にも、出演する番組を選別したり、批判的なメディアや記者を排除したりすることでメディアをコントロールしようとしていました。今回の件は、言論・表現に関わる人にとってこれまで以上に脅威です。政権に逆らう人は不利益を被るという前例になりますから。ついに政権が踏み込んできたな、という感じを受けていると思います。

 

メディアは民意の後押しを

 ――長く言論界を見てきた立場から、いまメディアに求めることは何ですか。

 ◆反対の民意があることを、きちんと報道することです。メディアの役割はすごく大事だと思います。国会で与党の議席数は圧倒的ですが、選挙の得票数を見ても、あれほど一極的な形は民意を反映していません。安倍政権の一番大きな問題は、どう考えても国民の間に反対の方が多いと思われる法案でも、強行採決で押し通してしまったことです。市民が「それは違う」と意思表明できるような工夫を考えていかなければならない。

 検察庁法のツイッターも、マスコミが取り上げたことで一気に拡大した。ツイッターを見ていない人はまだ多いが、メディアが報じたことで局面が変わりました。市民の声なき声をメディアがどうすくい上げるかが重要です。

 官僚組織の中にも、これはよくないと思っている人がいます。メディアがそういう声を引き出すことも重要です。森友学園や加計学園が問題になった時も、官僚側から内部文書が出てきた。あれだけいろいろな文書が出て政府への批判が高まったのは、首相官邸よりも国民に目を向けている良心ある人が組織内部にいるということですよね。それをメディアが目に見える形にすることがすごく大切です。そうでないと、官僚組織の中で抵抗している人が押しつぶされてしまいます。

 

日本の民主主義が問われる

 ――今後の展開をどう見ますか。

 ◆検察庁法の改正案の時のような攻防戦がしばらく続くでしょう。日本学術会議も、民意に後押しされて対応が変わっていくのではないでしょうか。これだけ反対の声が出てきて、彼らも勇気づけられていると思います。だから政権の言いなりにならない民意があることを、ちゃんと可視化していくことが大切です。

 安倍政権の下では「無理を通して道理引っ込む」という事態が続いてきましたが、こういうことが続くと、政権側もむちゃなやり方をエスカレートさせていく可能性があります。日本の民主主義が問われる場面がずっと続いていると言えます。メディアも権力監視という本来の機能がどこまで果たせるか問われている。ここで終わらせることなく、取り上げ続けていくことが大事です。

 

しのだ・ひろゆき

 1951年茨城県生まれ。一橋大卒。81年からメディア批評誌「創」編集長。日本ペンクラブ言論表現委員会副委員長。連続幼女誘拐殺人事件(88~89年)や和歌山毒物カレー事件(98年)など多くの事件について当事者の手記を掲載してきた。

 

 

参院法務委員会で参考人として発言する立命館大大学院の松宮孝明教授=国会内で2017年6月1日午前10時39分、川田雅浩撮影

 

 日本学術会議の会員改選で、推薦された105人の候補者のうち、菅義偉首相は6人を任命しなかった。学問の自由を脅かす異例の政治介入に対して批判が高まっている。排除された一人、松宮孝明・立命館大教授(刑事法学)は「学者をなめ、学術会議をこけにした」と憤り、「この介入を押し返さないと、歯止めがきかなくなる」と早期の撤回を求めている。【栗原俊雄】

「えらいことをやってきたな」

 --任命されなかったことを知った時、どう思いましたか。

 ◆日本学術会議の事務局から電話で伝えられましたが、まず驚きました。まったく予想していなかったので。少し冷静になって思ったのは、「えらいことをやってきたな」と。人事に手をつけてきたのは官邸の人たちでしょう。まず法律が分かっていない。日本学術会議法第7条と17条では、会員の選び方について、学術会議の推薦に基づき内閣総理大臣が任命する、と定めています。推薦に基づかない任命を首相がすることはできません。また推薦された人を任命しない場合は、合理的な理由が必要です。たとえば研究不正など。しかし今回はこれには当たりません。

 1983年の参院文教委員会で中曽根康弘首相(当時)が「実態は各学会が推薦権を握っている。政府の行為は形式的」と述べています。これは学問の自由を保障する、日本国憲法23条に基づいている。今回の政府による人事介入は、そういう法体系が分かっていない人の判断だと思いました。学術会議の事務局の人と「これは大変なことになりますね」と話しました。

 --同法7条は「学術会議は210人の会員で組織する」と定めています。

日本学術会議が推薦した新会員を菅義偉首相が任命しなかった問題の野党合同ヒアリングで発言する、会員に任命されなかった岡田正則早稲田大教授。画面右は松宮孝明立命館大教授、画面左は小沢隆一東京慈恵会医科大教授=国会内で2020年10月2日午前9時46分、竹内幹撮影

 ◆ええ。政府の判断で勝手に変えられるものではありません。学者は理不尽なことを言われて、「はいはい分かりました」と言うことは聞きません。学者と学術会議をなめていたんでしょう。

 --菅義偉首相は2日、日本学術会議の人事について「法に基づいて適切に対応した結果」と述べました。しかし任命しなかった具体的な理由を説明していません。

 ◆説明しないというより、できないのでしょうね。推薦の基準は各分野の学問的な業績です。日本学術会議法17条が定めています。多数の専門家たちがその業績を認めて推薦した人を「不適格だ」とするならば、その研究者がなぜふさわしくないのかを、学問的に指摘しなければならない。しかし各分野の専門家ではない首相やその周辺に、そうしたことを判断する能力はないでしょうから。

 --ご自身は2017年6月、組織犯罪処罰法改正案に関する国会の参考人招致で改正案に反対されました。これが任命されなかった理由でしょうか。

 ◆参議院の法務委員会で、「市民生活の自由と安全が危機にさらされる戦後最悪の治安立法」と主張しました。これで目立ったから、任命されなかったのかもしれませんね。改正案は人権上、問題がありました。またテロ対策を名目に進められましたが、既存の法でも対応できるものでした。しかも、ケースによっては既存法よりも改正案の方が刑が軽くなってしまう内容でした。そんな法律を作ることにエネルギーを注ぐべきではない、と政府に忠告したつもりだったのですが。

この先は歯止めが利かなくなる

 --学術会議は17年、「軍事的安全保障研究に関する声明」を発表しました。研究者は軍事研究への関与に慎重であるべきだ、という趣旨でした。政治家の中には、その姿勢への批判があります。

 ◆大学の研究者が研究のために使える予算は減少しています。一方で、防衛省がらみの研究資金は増えている。そうした中で出された声明です。つまり政府は研究費を増やして軍事研究を促しているのに、学術会議、学者はなかなかこれに応じない。今回の人事介入の背景には、そうした政府のいらだちがあると思います。

 --学術会議の会員は準公務員です。「政治家と与党からなる政権は国民に直接選ばれている。だから公務員の人事は政治家、政権が行うのが当然」という主張があります。

 ◆菅首相も、自民党総裁選の過程でそういう意味のことを言っていましたね。それを聞いて「これは危ないな」と思っていました。まさか学術会議の人事に手を突っ込んでくるとは思いませんでしたが。日本の統治機構は、国民に直接選ばれた人だけで成り立っているわけではありません。学術会議の会員は前に述べた法体系に基づいて任命されるものです。にもかかわらず、今回の介入を押し返せなければ、この先は歯止めがきかなくなるでしょうね。菅首相の狙いは「あらゆる公務員人事を自分が握っている」と周知させることなのかもしれませんが。

 --官邸やその周辺には頭のいい人がいて、おっしゃった法体系の中で今まで行われてこなかった人事介入をしたら大きな反発を招くことは予想できそうですが。

 ◆予想していた人もいるでしょうね。ただ頭の良さを何のために使うか、が重要です。自分が出世するためにどうしたらいいか、という方向に頭を使っている人がいるのかもしれません。権力者は、たとえ耳が痛いことでもまっとうな指摘をしてくれる人をそばにおく必要があります。

研究費削減や国立大学の学長人事など進む支配

 --学会をコントロールしようとするにしても、これほどあからさまなやり方以外にも方法がありそうです。

 ◆実際に進んでいますよ。研究費を削減する兵糧攻めがそうです。あるいは独立行政法人である国立大学の学長人事です。今後も他にもさまざまなやり方で政府は研究者を支配しようとするでしょう。たとえば今後、学術会議に対するネガティブな印象を拡散しようとするかもしれません。

参院法務委員会で参考人として発言する(左から)立命館大大学院の松宮孝明教授、青山学院大の新倉修名誉教授、西村幸三弁護士=国会内で2017年6月1日午前10時38分、川田雅浩撮影

 学術会議は、学際的な研究成果を集めてさまざまな提言をしています。また世界各国にあるアカデミーの一つであり、日本だけではなく世界にも貢献しています。学術会議の独立性が損なわれることは、日本人だけでなく世界の人々が被害者にもなります。

 ただ、学者の中にも学術会議が果たしている役割を理解していない人もいます。かつては私自身がそうでした。会議には会員の他に会員を手伝う「連携会員」という制度があります。今回任命を拒否された6人のうち3人が連携会員で、私はその一人でした。この仕事を通じて「会議は、会員になってもあまり恩恵はないけれど、大切な責任を果たしている」と感じました。会議の存在意義を広く知ってもらう、というのが今後の課題だと思います。

 --今からでも人事介入を撤回した方がいい?

 ◆今回の人事介入以前にも、自民党は性暴力被害を巡って「女性はいくらでもうそをつけますから」と発言した杉田水脈衆院議員を「注意」ですませています。広島の事件(参院選広島選挙区をめぐる買収事件で元法相の河井克行被告と妻で参院議員の案里被告が公職選挙法違反罪に問われている事件)もあります。ただでさえ有権者の批判は高まっています。

 多弱だった野党に助けられてきた面がありますが、それも状況が変わってきています。さらに今回の人事介入を押し通そうとすれば「この政権は法治主義を守れないのだ」という事実を国民が認識します。支持率は当然下がるでしょう。「やめた方がいいですよ」と助言したいですね。

まつみや・たかあき

 1958年生まれ。立命館大法務研究科教授。京都大学大学院法学研究科博士課程単位取得退学(博士)。専門は刑事法学。南山大講師、立命館大助教授などを経て2004年から現職。著書に「『共謀罪』を問う 法の解釈・運用をめぐる問題点」など。

 
 
 

 「日本学術会議」が推薦した新会員6人を菅義偉首相が任命しなかった問題で、野党合同ヒアリングが9日、国会内で開かれた。1983年以前、会員は首相の任命でなく選挙制だったことについて「それは違憲なのか」と問われ、内閣法制局の担当者が、しどろもどろになる場面もあった。詳報は以下の通り。【花澤葵】

国会内で開かれた日本学術会議の人事を巡る野党合同ヒアリング=2020年10月9日午前10時35分、竹内幹撮影

 

 小沢隆一・東京慈恵会医科大教授(憲法学) 今回、任命を見送ったという行為は、この文書(内閣府が首相による会員任命に関する見解をまとめた2018年作成の内部文書)が根拠になるのかということについて。

 内閣府 総理の任命権に基づいて、日本学術会議法の規定に基づいて、任命をしたということであって、その詳細な理由については人事に関することなのでお答えを差し控えたい。

 田村智子氏(共産) 人事を通じて一定の監督権を行使することができると、こういう考え方がとれる根拠となる文書はあるのか。こういう議事録のように何か示された根拠はあるのか。人事を通じた監督権、学問の自由との関係。

 内閣法制局 学問の自由、そこはあれですけど、日本学術会議の人事ということについて、一義的に申し述べているものは、一般的な人事ということで申し述べているものはないと思う。

 小西洋之氏(立憲) 法制局に尋ねる。憲法15条があるんで、総理の任命権がなきゃだめだって言ってると。それは1983年の前提となる考え方だと言うが、83年以前は選挙制だった。選挙制なんだから任命する余地もない。83年以前の学術会議法は憲法15条との関係で違憲なのか。

 法制局 ……すみません、細かいあの、あれですけど違憲ではないはずだ。

 小西氏 なぜ15条との関係で問題が生じないのか論理的に答えて。

 法制局 それは選挙を通じて選んでいるので。83年のときに選挙にするということにして……83年の前です。すみません。その前に選挙にするということにして……あ、すいません、任命にするということにして。ですので、国会の法律において選挙にしているということですので。

 小西氏 83年以前は憲法15条との関係で、問題は生じていたのかいないのか。国会でそういう制度にしたから15条との関係で問題ないという説明か。

 法制局 私の意見だが、違憲ではなかったというふうに思う。私の意見。

 小西氏 今の学術会議法は罷免制度がない。ところが憲法15条は選定罷免、両方が国民固有の権利だと言っている。そうすると今の学術会議法は憲法15条との関係で違憲か、問題あるのか

 法制局 すみません、私の意見ですけども、法律の建て付けとして、そういう建て付けにして、国会で通っているということでそういう、その、それは国会のご了解を得て、国民の了解を得て、そういう制度になっていると。

 小西氏 今の学術会議法の任命制は、国会において、形式的任命のみで実質任命はないと言っている。国会はそういう法律を作ったんだから、それは国会の立法裁量権の範囲内でなんら問題ない。

国会内で開かれた日本学術会議の人事を巡る野党合同ヒアリングで発言する小沢隆一東京慈恵会医科大教授=2020年10月9日午前11時31分、竹内幹撮影

 法制局 ただその際にも個々の法律において公務員の任命について、行政機関の独立を尊重して、申し出や推薦に基づくとされていたといたしましても、憲法15条との調整は必要であるということだと思う。

 小西氏 83年より前の法律は憲法15条がかかってない、選挙制という法律を国会が作っても合憲であり、問題ないとおっしゃっているが、今の制度は罷免の部分については、総理の関与はなく、15条が及ぶ仕掛けはない。そういう法律を国会が作っても問題はないと言っている。なぜ任命権だけは15条の関係が出てくるのか。

 法制局 内閣総理大臣が任命するとなっているので、その部分についてあるということだ。

 小西氏 総理が任命するというのは形式的。国会では83年に形式的任命権しかない、裁量の余地はないと何度も総理まで答弁している、それを否定するのは、国会を否定することにならないか。

 法制局 そこにつきましては、昨日も答弁させていただいてますけども、個々の法律において、そういう申し出とか推薦に基づいて任命するということで行政権の独立を尊重するとしたといたしましても、憲法15条との関係の調整がありますので、その部分においては推薦の通り任命することまでは義務とは言えないと。

 黒岩宇洋氏(立憲) 2018年ペーパーの解釈、法制局が法解釈の変更ではないといったのは策に溺れた。18年解釈だと、義務があるとまでは言えないと緩い。83年の解釈は形式的任命権があると。拒否はしない、その通り任命すると狭く取っている。義務はないとまでは言わないけども、拒否権はないんだと。83年の解釈は生きている、今回の6名の拒否は違法性高いと思うが、小沢先生いかがか。

 小沢教授 やはり83年のときの任命権は形式的だという議論から、今回出てきた「このような任命をする義務はない」に、明らかに問題をすり替えているとみていい。学術会議の会員の選任の手続きというのは結局、学術会議による選任、推薦、そして内閣総理大臣による任命、この一連の手続きによって完結する。

 その推薦に基づく任命という行為を総理はしなければいけない。ただそのときに学術会議が行う、その研究や業績に基づいた選考を踏まえた推薦、その中身に踏み込むのであれば、それは政府として、総理としてやってはいけないことでしょ。

 そしてもし推薦の手続きに違法なことがあれば、それは突き返すということ。これは場合によったら任命権者として責任負えないんだから、っていうことで、それもあるでしょう。

 このような場合は、実際に83年のとき、ちゃんと想定されていたと思う。ところが今回、出てきた文書というのは任命すべき義務があるということになれば、まさに100%、首相が任命しなきゃならないという、こういうふうな問題の立て方に変えられちゃっているわけですね。

 変えているということは、やはり83年の立場とはこれは違う。

 

 

 

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2 コメント

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菅義偉の恐怖に沈む気持ちが感じられます。 (sound_moon810)
2020-10-12 09:22:08
 あの6人に論破されたことが相当こたえていたようです。安保法制に秘密保護法に共謀罪。菅義偉一派はおかしいことをおかしいとくだんの学者たちから真正面に言われて事実上ぐうの音が出なかったようです。菅義偉の官房長官当時の記者会見でも木で鼻を括ったような冷たい対応でした。

 任命拒否して喧嘩売っときながら今更「名簿は見てません」は無理筋に笑いを取る吉本喜劇風のギャグなのでしょうか。笑えませんが。感じられるのは菅義輝という人の恐怖というか心の闇の深さです。政治家になった人は異口同音に「力が落ちてくるとみんな離れていく」という経験をすると言います。だから今ある権力を常に誇示しておかないと威厳が崩れてしまうと焦ります。

 意外に早くボロを出したと私は見ています。最初から深謀遠慮で学術会議の批判をするつもりなら6人は任命しても別に構いませんでした。6人がいる方がもっと厳しく攻撃できたはずだからです。もちろん自分たちの主義主張に絶対の自信があれば、の話ですが。

 私は平和憲法を潰し、戦前の軍国主義に戻す利点は何もないと見ています。アメリカやかつてのソ連を見ても安保法制につながる国家の情報機関は必ず自国民を攻撃します。獅子真鍮の虫を探そうとするからです。そしてなぜか反対にひどい裏切り者を生み出すのです。スノーデンなんかがいい例です。KGBにもいっぱい二重スパイがいました。日本の治安維持法も共産党を潰しました(というより事実上共産党の内部分裂による自滅)がその後も長く普通の国民を圧迫し続けました。敗戦直後はほとんどの国民があんな時代に戻るのは本気で絶対に嫌だと思っていたのです。映画やドラマでも内部の裏切り者と戦うテーマがやけに多い。特にアメリカ。私個人ではジェイソンボーンシリーズが印象的です。洗脳工作して記憶を消された暗殺者が都合の悪い市民を暗殺しました。洗脳プログラムで殺人マシーンとなった主人公はある事故がきっかけで自分の記憶を取り戻すために戦うのです。で、その主人公が戦う相手は本来の味方(CIA)だったのです。いっぱい死にました。

 学者はピンキリです。彼らの言説が全てが正しいわけではない。しかし政治家はもっとピンキリです。いやキリの方が圧倒的かも。嘘ばかり言っていると思います。文字通りの千三つ屋です。最近は橋下徹のように論破されたら簡単に逆ギレするタイプの人間が目立ちます。そういう恥知らずの方が政治家になりやすいらしい。で、負けるとすぐに逃げます。その逃げ方もえぐい。本人は知事と市長をやって実態を知り都構想に全く自信がないくせに仲間を安全地帯から煽っています。学者と対等に話ができないその恐怖の反動からだと私は見ています。

 だから学者らが批判すると「選挙に出ろ」とヒスを起こすのです。「だまれ」と叫んでいるのと同じです。話が聞けない。だからその子分たちである大阪維新は今回住民投票に勝っても彼ら自身も含めて大阪も日本も何もよくならないでしょう。もちろん負けてもダメです。大阪は維新のおもちゃにされたのです。日本学術会議はまだ大丈夫です。変な喧嘩は相手にしないことが肝要だと私は思っています。

 強さを信奉する人々は恐怖心も強い。その恐怖心が怒りを生みます。その怒りで裏切り者がいっぱい出る。それで大抵自滅します。ただ多くの人を巻き込むので甚だ迷惑なのです。
Unknown (狸子)
2020-10-12 19:41:15
ブログの更新が停まっていたので心配していました。
宮武先生の体調がお悪かったのでなくて、何よりです。

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