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『全ての国民を救えるんだ(前半)』三橋貴明 AJER2020.5.5

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三橋TV第234回【財政破綻論者の断末魔 三つのパターンを完全撃破!】

https://youtu.be/DdqKjNat7Yg

 

 リベラルタイム 2020年 06月号に、「中国依存脱却で日本経済は復活する!」を寄稿しました。
 
 中国武漢発祥の新型コロナウイルス感染症のパンデミックの影響で、書店の多くが閉鎖し、取次も停止状態になり、書籍版の「自民党の消滅」の発売日が6月27日にずれ込んでいますが、「Kindole版」は明日5月14日に、発売となります。(本日から予約可能になっています)
 
 というわけで、本日から恒例の書籍タイトルシリーズ。

 自民党の消滅は、実のところ「自民党という特定政党」の話ではなく、日本国の民主制、さらには「人間」の権利、自由、社会共同体、生産性、安全保障、人類史がテーマになっています。

 現在、日本はコロナ危機の最中、民主制や国民国家、権利について理解していない政治家などがあぶりだされ、大変興味深く感じております(そして、批判しています)。

 ちなみに、わたくしは自民党の政策、つまりは「グローバリズム」が日本の民主制を亡ぼし、政党を消滅させる未来を予見していますが(だからタイトルが「自民党の消滅」)、一見、反対側にいるように観える「戦後的平和主義」の勢力にしても、「国家否定」という点では自民党と大差ありません

 日本は現在、右からも、左からも、グローバリズム、国家否定の考え方を注入され、国民がナショナリズムを喪失しつつあります。このままナショナリズムが失われれば、日本の民主制は崩壊し、自民党を含む政党は消滅。皇統も「何か違う何か」に姿を変えることになるでしょう。

 二千年を超す、世界最古の国、日本国の終焉です。

 日本の民主制、国民国家崩壊のプロセスは、恐らく「今」は多くの人が気が付き始めていると思いますが、以下のスキームになっています。
 
(1) 財政破綻論の蔓延:政府は国の借金で破綻する。もはや「国民」のためにおカネを使うことはできない。といった虚偽情報の拡散、浸透、蔓延。
(2) 自己責任論の蔓延:政府は国民を救わない。全ては自己責任である。といった国家の機能を否定する論調の拡散、浸透、蔓延。
(3) 非常時の国民の選別:非常事態が発生した際には、「政府はカネがない。全ての国民を救えない」というレトリックで国民の選別開始
(4) 国民分断と国民国家崩壊:選挙結果を受け、勝者がおごらず、敗者が敗北を認めるための基盤であるナショナリズムが破壊され、民主制が成立しなくなり、「異なる政体」へと変わり、国民国家が崩壊する。
 
 お分かりでしょうが、今は(3)の段階にあります。

 (2)が始まったのは、というか「本格的に始まった」のは、竹中平蔵氏らが出てきた、小泉政権期です。

 そして、(1)ですが、実は95年の武村正義大蔵大臣(当時)の財政危機宣言でも、1982年の鈴木善幸内閣が財政赤字の縮小を断念し、朝日新聞が「財政”サラ金地獄”に」と煽ったときでもなく、1980年に大平内閣の諮問機関「政策研究会」が、「大平総理の政策研究会報告書」を提出した1980年からになります。

 同報告書には、財政について、
財政赤字が拡大し、国債の大量発行時代が招来された」
「経常的な歳出まで経常的に公債の発行に依存する現在の状況は極めて危険であり、当面の目標を「赤字公債」からの脱却におくのは妥当である」
 と、書かれ、現在の財政破綻論そのままの論調が、政府の方針として「公式化」されました。

 当時はインフレ期であり、デフレではなかったのですが、「インフレ対策」としての緊縮財政が1980年に決定され、その後、何と四十年も継続することになります。特に、経団連第四代会長の土光敏夫は大平内閣の緊縮路線(厳密にはグローバリズム路線)に大きな影響を与え、大平が死去した後に成立した鈴木善幸内閣の第二次臨時行政調査会の会長に就任(いわゆる土光臨調)。

 土光は、概算要求時点の予算の伸び率をゼロにする「ゼロ・シーリング」という緊縮財政を実現させました(現在は、ゼロどころかマイナス・シーリングですが)。さらに、土光臨調は財政赤字を1984年度までにゼロにすること(現代で言えば「プライマリーバランス黒字化」)、国鉄、日本電信電話、日本専売公社という三つの公社の分割民営化などを提言。三公社民営化は、その後の中曽根政権で実現したのはご存じの通りです。また、やはり土光臨調が提言した総合管理庁構想は、橋本政権の行政改革へとつながっていきます。

 

http://keiseiron-kenkyujo.jp/apply/
※ノンフィクション作家「河添恵子」先生との対談「歴史から学ぶ中国と中国人の本質」が視聴可能となりました。

 

 困ったことに、日本の政権はバブル崩壊と97年橋本緊縮財政で日本経済がデフレ化した以降も、「デフレ化政策」である緊縮財政を続けます。というよりも、そもそもバブル崩壊後に緊縮財政を強行した橋本政権が、大平路線を受け継いだのですが。


 ちなみに、一般消費税を最初に閣議決定した政権も大平内閣ですが、日本における消費税導入を言い出したのは、これまた土光時代の経団連だったりします。土光敏夫が会長を務めていた時代の経団連の税制特別部会が、1978年12月19日、税率5%、年商1000万円以下は除外する一般消費税構想を明らかにしたのが、日本の「消費税史」の始まりなのです。
 

 つまりは、自民党が「ビジネス界」の影響でグローバリズム路線、小さな政府路線、あるいは「国家の店じまい路線」を進むのは、別に今に始まった話ではなく、四十年間もの歴史があるのです。


 別に安倍内閣が「国家の店じまい」路線を始めたわけではありません。始まりは小泉、中曽根ですらなく、大平内閣です。


 情けないことに、我が国では細川内閣や鳩山内閣に「政権交代」が実現しても、国家の店じまい路線は続きました。
 

 安倍総理は、過去四十年の各政権のバトンを受け継いだ、日本のグローバル化、小さな政府化路線の「完成者」なのでございます。


 我が国は、このまま「普通」に歴史を歩むと、(1)から(4)のプロセスを辿り、(主に)自民党のグローバル化路線により亡国に至り、ナショナリズムが崩壊。民主制が成り立たない非・国民国家と化すでしょう。その先は、ホッブスの言う「万人の万人に対する闘争」の国か、あるいは中国の倭族自治区か。


 悪夢の未来を回避し、繁栄の日本を将来世代に残すためにどうしたらいいのか。我が国が民主制を採用している以上、言論で戦うしかないのです。
 というわけで、わたくしは「国民国家 日本」を守るべく、過去の言論活動の「集大成」とでも言うべき、「自民党の消滅」を刊行したのでございます。


 また、本書の帯には自由民主党の安藤裕衆議院議員にご登場頂き、
「自民党が覚醒しなければ日本はこの本の予言どおりになるだろう」
 とのコメントを頂きました。
 改めて、安藤先生他、本書の完成にご協力頂いた皆様に感謝申し上げます。

 

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