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7月11日(日) 『日刊ゲンダイ』に掲載されたコメント [コメント]

〔以下のコメントは『日刊ゲンダイ』7月11日付に掲載されたものです。〕

*巻頭特集「政治的完全敗北 もう誰も首相の言うことなんか聞きゃしない」

 「ワクチンがあるから大丈夫」「重症化する高齢の感染者が減れば、医療体制は逼迫しない」と、専門家らがリバウンドの予兆を示しても、ポンコツ政権は聞く耳持たずで、楽観論に支配されていた。しかし、専門家の予想通り、東京は今月に入って新規感染者が1000人ペース目前となり、40~50代の重症者が増え、楽観論はフッ飛んだのである。

 無観客決定は菅の政治的敗北。五輪開催において菅は、「国民の命と安全を守るのは私の責務」と発言してきた。命と安全を守れないから、絶対に避けたかった無観客を決断せざるを得なくなったのであり、政治判断を間違えたのだから、責任を取って辞めるのがスジだ。

 法大名誉教授の五十嵐仁氏(政治学)はこう言った。

 「4度目の緊急事態宣言を出すことになったのは、これまでのコロナ対策が全部失敗だったという証左。責任を取るのは当然ですし、もっと早くに辞めていれば、ここまでの混乱には至らなかったのではないですか。コロナ対策も、五輪の無観客開催の決定も、自身の責任の取り方も、すべてが後手後手。もともとは、五輪を『完全な形で実施したい』と言って延期した安倍前首相に責任があります。しかし、その発言に縛られて、五輪ありきでコロナ対策を進め、そこから抜け出すことができない菅首相自身の能力の欠如は致命的です」

 驚愕したのは、休業要請に応じない飲食店に関し、西村経済再生相が8日夜の会見で、「金融機関と情報共有しながら、順守を働きかけてもらう」と発言したことだ。卸売業者に飽き足らず、銀行にまで! 融資を止められれば、飲食店は資金ショートしかねず、西村は何の権限でもって死刑執行人となれるのか。西村の言っていることは、弱者を脅し、締め上げる、チンピラの手口である。

 さすがにこれには与野党から「優越的地位の乱用につながる」と批判が噴出し、西村はきのう午前、「法律に基づく要請ではなく融資を制限するといった趣旨ではない」と釈明に追われた。しかし、それでも収まらず、自民党は森山国対委員長と林幹事長代理が官邸に押し掛けて、加藤官房長官に西村発言に対する注意を申し入れ。結局、西村は発言撤回に追い込まれた。

 「民主主義国家では、リーダーは自らの言葉で国民を説得し、国民の信頼を得たうえで、国民に行動変容を求めるべきものです。しかし、今の菅政権は国民に信頼されていないので、どんな感染防止策を呼び掛けても、もはや国民は従ってくれず、実行してくれない。言うことを聞いてくれないから、強権を振りかざして力ずくで従わせようとする。そんな権威主義が菅政権の本質なのです。一方で、国民不在のそうした行動に出るのは、菅政権が国民に見放されて焦っている姿でもあります」(五十嵐仁氏=前出)

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