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『現金給付10万円から解る貨幣の真実』(後編-1)』三橋貴明 AJER2020.6.2

 

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三橋TV第245回【嘘つきの財政破綻論者は、とりあえず永遠に黙れよ】
 
 昨日の続きですが、現在の日本というか「今後の日本」において、我々は、
「政府が国債を発行し、日銀が国債を買い取る」
 という、実に分かりやすい「貨幣発行」のオペレーションが何十兆円も実施されたにもかかわらず、インフレにならない、という現実を目にすることになるわけです。

 結果、財政破綻論者やハイパーインフレ論者がたけり狂い、センメルヴェイス反射で我々を攻撃しまくり、嘘の破綻論、ハイパーインフレ論を断末魔の叫びのごとく姦しく喚くことになるでしょう。というか、すでになっていますが。

 ちなみに、わたくしはむしろ今回及び今後の政府の貨幣発行により「インフレ率2%」を達成して欲しいと、心から願っています。何しろ、デフレ脱却を望んでいるわけです。

 とはいえ、現実には日本の物価は4月にコアコアCPIでマイナスに突入してしまいました。
 
【日本のコアコアCPIの推移(対前年比%)】
 
 怖いのは、2014年4月から2015年3月までは、消費税増税の影響でコアコアCPIが2%前後押し上げられたが、2019年以降は増税による押上げの影響が見られない、という点です。

 もちろん、19年増税時は幼児教育無償化やポイント還元など対策が打たれ、税率の引き上げ幅も2%だったという14年時との違いはありますが、それにしてもこのコアコアCPIの推移は不気味です。
 
 論理的には、
1.19年10月増税で物価が引き上げられたにも関わらず、同時にデフレ圧力が高まり、物価を抑制した
2.増税による物価上昇分を、事業者が飲み込んでしまった(=粗利を減らす)
 の何れかしかないわけですが、恐らく双方が理由なのではないでしょうか

 いずれにせよ、2020年4月、コアコアCPIは「消費税が増税された後」であるにも関わらず、マイナスに突っ込んでしまいました

 ところで、なぜ「貨幣増発でもインフレにならないのか?」について、次第に世界の経済学者やエコノミストの「意見の修正」が始まっています。

 そもそも、現代の「貨幣を増発すればインフレになる」と、幼稚なインフレ論を唱えたのがミルトン・フリードマンです。フリードマンのマネタリズムは、二十世紀後半から二十一世紀にかけた経済学者の貨幣観を支配することになりました。

 結果、
「貨幣(MB)を増発すればインフレになる! え? ならない? それは、〇〇の影響だから、こうすればいい」
 などと、ややこしいことを考え始める。

 アホか。MBを増やしてもインフレにならない理由は、単に総需要として支出されていないためだろ。総需要が増えない限り、インフレになるわけがない。財やサービスが「買われない」状況で、価格引き上げを考える経営者はいない。
 
 そして、MBの中心である日銀当座預金を「借りて、使える」のは政府のみ。政府が緊縮を続ける限り、物価が上がるわけがない。

 のですが、経済学者やエコノミストは、シンプルに「自分が間違えていた」とは言えないため、少しずつ意見を修正していくと思っていたら、やはり始まりました。

 

【三橋貴明の音声歴史コンテンツ 経世史論】

http://keiseiron-kenkyujo.jp/apply/
皇統論「第十六回 仏教伝来」、歴史時事「第十六回 疫病の人類史」がリリースになりました。

 

『貨幣増発でもインフレが起きない理由 アダム・ポーゼン氏 米ピーターソン国際経済研究所長
 欧米で進む「マネタイゼーション(政府債務の貨幣化)」とみられる動きはインフレを招くのではないか。繰り返されるこの問いを日本の経済学者も認識しているだろう。マネタイゼーションとは、中央銀行が貨幣を増発して政府が発行する国債を(流通市場で購入せずに)直接引き受け、財政赤字を補てんすることだ。こうした貨幣の増発はいったいどこでインフレを招いているのか。
 この点について、筆者は1990年代の日本に関する研究を手がけて以来、考察を重ねてきた。2009年10月には英イングランド銀行(中銀)の金融政策委員として行った講演でも取り上げた。昨今の(新型コロナウイルスのまん延により経済が収縮した)情勢を受け、いま一度考えてみたが、(貨幣化がインフレを招くといった)機械的な考え方は誤解を招きやすいという結論に再び至った。(後略)』
 
 ピーターソン所長は、インフレの理由について、
1.なかなか伸びないモノやサービスの実際の供給を名目需要がはるかに上回るケース
2.政府が発行した通貨建ての資産から資本が逃避し、通貨の購買力が実質ベースで低下するケース
 と、語っています。

 1は明確(わたくしと同じ)ですが、2が何をいっているのか、よく分かりません。もしかして、供給能力がない国が変動相場制を採用した結果、輸入が激増し、為替レートが下落していくケースを言っているのでしょうか?

 確かに、供給能力が乏しい国が変動相場制を採用すると、輸入物価上昇によりインフレになりやすいです。だからこそ、98年までのロシアや現在のレバノンは、対ドル固定為替相場制を採用し、最終的には財政破綻しました。

 ピーターソン所長は、
「経済学者ミルトン・フリードマンが唱えた通貨の供給量を増やせば物価が上がるという考え方は説得力に乏しいということになる」
 と、フリードマンのマネタリズムを完全否定しました。そりゃまあ、現実のデータを見ている限り、そのように判断するしかないのですが。

 また、為替レート絡みでは、
「通貨の面では多くの要素が作用する。インフレに至るには、国民は自国資産への偏重傾向を是正しなければならない。」
 と、つまりは「国民が日本円ではなく、ドルで資産を持つ」ようにしなければならないそうです。実は、アルゼンチンがまさにこのパターンでした。

 もっとも、我々日本国民は税金を「日本円」で徴収されているわけで、日本国で暮らす限り、日本円を使い続けるしかありません。(政府がドルでの納税を認めるとか、狂ったことを始めれば別ですが)

 ピーターソン所長の寄稿は、前半は主張が明確で、後半は抽象論だらけで分からなくなるという、「言い訳をするエコノミスト」のパターンそのものですが、今後はこの手の「言い訳」が増えていくことになるでしょう。

 とはいえ、日本の破綻論者やハイパーインフレ論者が態度を改めることはありません。あの連中は、欧米の経済学者やエコノミストを上回る「災厄」そのものなのです。なぜならば、自分の頭で考えないためです。
 
 というわけで、昨日から二回に懸け、「インフレ」について解説しました。とりあえず、この恐慌状況で政府の貨幣発行に対し「インフレ」を理由に反対してくる連中には、
「バカか! 栄養失調で死にそうな人にピザを一枚与えても肥満にはならないだろ!」
 と、怒鳴りつけて、黙らせてくださいませ。

 

「栄養失調で死にそうな人に、ピザ一枚与えても肥満にはならない」に、ご賛同下さる方は、

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