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「もはや洒落にならない日本の食料危機」(前半)三橋貴明 AJER2022.11.8
   

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力には力でしか対抗できない 核武装・集団的安全保障の議論を![三橋TV第628回]三橋貴明・高家望愛


https://youtu.be/w29Eple2WLs

 さて、第二次補正予算が国会に提出されました。
 先日、自民党の政調で決まった29.1兆円から2000億円減額され、28.9兆円(+特別会計0.5兆円)。
 問題は、中身です。
 今回の主役である経産省の予算案を見ると、相変わらず、使いにくそうな補助金がずら~りと並んでいます。

第2次補正予算案 国会に提出 物価高騰対応など約28兆9000億円
 政府は、物価高騰への対応などを盛り込んだ経済対策の裏付けとなる一般会計の総額で、およそ28兆9000億円の今年度の第2次補正予算案を国会に提出しました。
 政府は21日朝の臨時閣議で、今年度の第2次補正予算案を決定し、国会に提出しました。
 先月28日に取りまとめた経済対策のための追加の歳出として29兆861億円を盛り込む一方、今年度の不用な支出などを削減したことで一般会計の総額は28兆9222億円となっています。(後略)』

 各省庁が自省の事業を個別に掲載するので分かりにくいのですが、とりあえず短期的に「国民を救う」事業をピックアップしました。

【経済産業省】
(1)価格高騰対策
①電気・ガス価格激変緩和対策事業【3 兆 1,074 億円】
ロシアによるウクライナ侵略等を背景としたLNG等の燃料価格の高騰により、今後も電気・都市ガス料金の上昇が見込まれる中で、小売事業者を通じた激変緩和措置により、家庭や価格転嫁の困難な企業における電気・都市ガス料金の負担の軽減を図る。
②燃料油価格激変緩和対策事業【3 兆 272 億円】
長引く原油価格の高騰が経済回復の足かせとなり、国民生活や経済活動に悪影響が生じるのを防ぐことを目的として、燃料油価格の激変緩和対策事業を実施することで、ガソリンなどの燃料油の卸価格抑制を通じて、小売価格急騰の抑制を図る。

 経済産業省は、今回の補正予算の三分の一強、約11兆円を担当しています。上記の①②以外は、使いにくそうな補助金がずらーりと並んでいますので、興味がある方はご覧ください。

【厚生労働省】
. 新型コロナウイルス感染症対策及びコロナ禍の影響を受けた方への支援等 3兆6,604億円

 厚生労働省は上記の他に「賃上げ」に7000億円程予算を組みますが、ほとんどが「雇用保険財政の安定」でございます。賃上げ目的の予算は「ゼロ」と理解して構わないでしょう。


 そもそも、需要が不足している状況で、少々の補助金を付けたところで、賃上げが進むはずもないのですが。
 

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【国土交通省】
Ⅳ.防災・減災、国土強靱化の推進、外交・安全保障環境の変化への対応など、国民の安全・安心の確保 1兆5,428億円

 国土交通省の事業は、国土強靭化の他にも「物価高騰・賃上げへの取組」として、結構、具体策が入っています。(額は小さいですが) タクシー事業者や観光事業者の皆様は、是非、一度お読みください。


【農林水産省】
 そもそも総額が8206億円と小さく、配合飼料価格高騰緊急対策(とうもろこし等の飼料原料価格の上昇等による配合飼料価格の高騰に対応し、生産者へ補塡金を交付)がわずか103億円。
 わたくしは専門家ではありませんので、断定はしませんが、本当にこの規模の予算で大丈夫なのでしょうか。畜産農家を救えるのか・・・・。

【防衛省】
防衛省計上額:4,464億円(一般物件費:3,011億円、歳出化経費:1,390億円、人件・糧食費:62億円)
○ 災害への対処能力の強化(96億円)
○ インフラ基盤の強化(259億円)
○ 生活・勤務環境の改善(77億円)
○ 自衛隊等の変化する安全保障環境への対応(3,248億円)
‣経空脅威等に対する自衛隊の安定的な運用態勢の確保(324億円)
‣米軍再編の着実な実施(2,924億円)
(注)このほか、円安に伴い不足する外貨関連経費、原油高に伴う営舎用光熱水料等の増額などに784億円を措置

 防衛省も、農水省と同じく「方向」は評価するのですが、「額が少なすぎない?」という疑問がわいていきます。


 ちょっと面白いと感じたのは、防衛省の予算案に、
「自衛隊のインフラ基盤の強化や隊員の生活・勤務環境の改善を早急に講ずるため、例年の補正予算よりも踏み込んで対応」
 と、「隊員の生活・勤務環境の改善」が堂々と書かれていた点です。もちろん、正しい方向です。もっと、堂々と「自衛官の処遇を改善する」とアピールして欲しいと思いました。


 国民のルサンチマン的反発が起きても、
「じゃあ、定員を満たせないけど、それでいいのね?」
 と、現実を突きつけて欲しい。日本国民は、自衛隊に「甘えすぎ」なのです。
 

 それにしても、経産省の事業として「使いにくい補助金予算」をあれだけ(数兆円規模)積み上げるならば、農水省や防衛省に回して欲しかった。なぜ、経産省の予算が目立つのかといえば、単に「新しい資本主義」関連の事業が多いために過ぎません。


 つまりは、「新しい資本主義」云々と言い出した岸田文雄という人物の「政治力」を慮り、経産省優遇の予算になったわけですね。なんだかんだ言って、意外に政治家の政治力はパワーを持っている。「新しい資本主義」が正しいのか、というかそもそも何のことなのか、未だに分かりませんが。


 財務省としては、使いにくい経産省関連の予算を積み増しておけば、繰り越しが増え、PB黒字化路線を継続しやすいという計算があるのだと思います。農水省の配合飼料価格高騰対策や、防衛省の自衛官処遇改善の予算を増やすと、確実に使われてしまいますし。


 それにしても、同じく約29兆円の予算を組むならば、「消費税を廃止」すれば国民の所得がダイレクトに増えるわけです。正しい政策は、やらない。代わりに、規模だけは膨らませ、繰り越しが増えるような予算を組む。


 相変わらずの財務省路線が継続しているのですが、今回の予算の中身を見ると、財務省以外の各省庁が「真面目化」しつつあるのは確かに感じられます。あとは、財務省主導の緊縮財政という「扇の要」を破壊する。扇の要(緊縮財政)が存在する限り、各省庁が真面目化しても、結局のところ日本の亡国は避けられないのですよ。
 

「緊縮財政という扇の要を破壊せよ!」に、ご賛同下さる方は、

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