【ナゴルノカラバフ発】山から降りてきたパルチザン「また銃を持って戦う」

森から出てきたばかりのパルチザンたち。=29日、ラチン 撮影:田中龍作=

 12月1日をもって交通の要衝ラチンが戦勝国のアゼルバイジャンに引き渡される。

 アルメニアからカラバフに入るには、北部のカラバチャからと中部のラチンからとの2ルートがある。カラバチャはすでにアゼルバイジャンが陥れている。

 ラチン経由でアルメニア人がカラバフとの間を行き来することは、和平合意で認められているが、ラチンを支配することになるアゼルバイジャン側がチェックポイントを閉ざすのは容易だ。両国関係が緊張した場合、そうなるだろう。

 カラバフのアルメニア人は袋のネズミとなる。カラバフはイスラエルのコントロール下に置かれたパレスチナと同様になるのだ。

 今回の戦争でラチンの攻防は熾烈だった。地元住民によれば、連日、砲弾が降り注いだ。

仇敵のアゼルバイジャン軍が進駐して来てもラチン地区に残る住民たちが公民館に集まっていた。=29日、ラチン 撮影:田中龍作=

 ラチンを守るために50日以上も山の森にこもってアゼルバイジャン軍と戦っていたカラバフのパルチザンたち約10人が、きょう、山から降りてきた。

 アゼルバイジャンへの引き渡しを翌々日に控えたラチン地区を取材していた田中と地元記者は、彼らに出くわした。彼らはカラバフの人々から「ヒーロー」と呼ばれているのだそうだ。

 パルチザンの中には大学教員もいた。地元記者の恩師だったのだ。2人は抱き合って再会を喜んだ。

 森から出てきたと言っても戦いを止めた訳ではない。「食事をしてシャワーをあびて休息するために家に帰る」と恩師は話した。淡々とした口調だった。

 田中が「アゼルバイジャン軍がラチンの人々に嫌がらせをしたら、また戦いますか?」と尋ねると、「もちろん。またカラシニコフを持って戦う」と答えた。

 パルチザンたちが50日間も森で戦えたのは、食料を届ける地元住民がいたからだ。

 別のグループはまだ森にこもっているという。

 ロシアが仲介した和平合意により、とりあえずの停戦となった。だが、事実上、土地を奪われた民族の憎しみがある限り、戦争は終わらない。

商店主の老婆は戦争中も兵士や住民に食料を提供した。「金は後でいいよ」と言って。ドアのガラスはアゼルバイジャン軍の銃撃で割れていた。=29日、ラチン 撮影:田中龍作=

     ~終わり~

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