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3月22日が教えてくれた電力危機の現実」(前半)三橋貴明 AJER2022.6.7
  

令和の政策ピボット呼びかけ人に「HAL YAMASHITA東京 エグゼクティブシェフ 社団法人日本飲食団体連合会 副会長 山下春幸」様が加わって下さいました。

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さあ、具体的な政策を議論しよう 財務省問題は?安全保障は?[三橋TV第558回]水道橋博士・三橋貴明・高家望愛
https://youtu.be/mjv5fEGWL3U

 


 わたくしは国家とは以下の階層構造になっていると考えています。

【国家の階層】


http://mtdata.jp/data_79.html#kaiso

 まずは、国土(領土・領海・領空)があり、その上にハード的なインフラストラクチャーがある(道路、鉄道、橋梁、トンネル、送電線などなど)。
 そして、その上にソフト的なインフラストラクチャーあるでしょ、という話。 


 具体的には、農業、医療、教育、防衛、行政、建設、物流、ライフラインなどなどになります。


 この3層は、国民の「普通の生活」や安全保障と関わるため、簡単に「民営化」「自由化」「規制緩和」「外資への解放」とかやってはならない分野です。
 

 それにも関わらず、日本は3層全てにおいて、改革を繰り返し、抵抗する既存の生産者たちに「既得権益」とレッテル貼りし、国民の安全保障をぶち壊してきた。
 

 農産物に対する関税を引き下げ、農協改革という名の農協潰しに奔走し、混合診療を拡大し、国際バカロレアを導入し、防衛省の守衛までもが民間人(しかも、一般競争入札・・・)。パソナをはじめ、行政窓口の民営化で儲ける会社が続出し、談合と指名競争入札を叩き、物流二法(規制緩和)で運送業の生産者を貧困化させ、電力、ガス、水道と、次々に民営化し、政府は責任放棄。
 

 安全保障を軽視し続け、ビジネスサイドの要望に応える政治が続けられ、ついに最終局面にたどり着いた感があります。
 

 昨日は、電力危機について取り上げましたが、本日は食料。

 

「タネ」の輸入がとまれば飢餓に…「食料自給率コメ98%、野菜80%」のカラクリと日本の食料安保のお粗末さ 2050年頃には日本人も「飢餓」に直面する
鈴木 宣弘 東京大学大学院農学生命科学研究科教授 専門は農業経済学
 日本の食料自給率について政府は「コメ98%、野菜80%、鶏卵96%」などと説明している。これを信じていいのだろうか。元農水官僚で、東京大学大学院教授の鈴木宣弘氏は「野菜の種の90%は海外頼みで、鶏のヒナもほぼ100パーセントが海外依存。どちらも輸入が途絶したときの自給率はすでに0パーセントに近い。コメも野菜と同様に種採りが海外でおこなわれるようになる恐れがある。そうなれば、近い将来、日本は飢餓に直面するだろう」という――。(第1回)(中略)
 「種は命の源」のはずが、政府によって「種は企業の儲けの源」として捉えられ、種の海外依存度の上昇につながる一連の制度変更(種子法廃止→農業競争力強化支援法→種苗法改定→農産物検査法改定)がおこなわれてきたので、野菜で生じた種の海外依存度の高まりが、コメや果樹にも波及してしまう可能性がある。(後略)』
 

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【経世史論】三橋貴明と「歴史に魅せられて my」がお送りする、経世史論。

http://keiseiron-kenkyujo.jp/keiseishiron/

第四十回「皇統論 平将門の乱-坂東燃ゆー」「歴史時事 ウクライナ国民共和国」がリリースになりました。

ぜひ、ご入会下さい。

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 意外と知られていませんが、野菜の種はほとんどが外国生産です。理由について、農水省は以下の通り説明しています。

種(たね)には、なぜ外国産(がいこくさん)のものが多いのですか。
こたえ(中略)
 温室(おんしつ)などで雨を避(さ)けて種を生産したり、人を雇(やと)って手伝ってもらったりすれば日本でも品質の高い種を多く生産できますが、お金がかかるため外国で種を生産してもらうようになったのです。』

 う~ん・・・素晴らしい。安全保障を無視し、「カネ、カネ、カネ」の方を重要視し、政策を推進する日本政府としては模範解答でしょう。


 「いざというとき」という発想が全く入っていない。しかも、単に政府がカネを出し、温室で作れば済む話なのですが、何しろ緊縮。「タネなんぞに、カネを出せるか」というわけですね。


 鈴木先生も書かれていますが、FAO(国連食糧農業機関)によると、コロナ禍が始まった2020年3月から6月の時点で、食料の輸出規制を実施した国は19カ国にのぼりました。そこに、ロシア・ウクライナ戦争勃発。
 現在、農業生産に欠かせない「肥料」がとんでもない状況になっています。

肥料価格高騰 農繁期の農家に危機感
 農業に欠かすことのできない肥料の価格が高騰している。急激な円安や中国の輸出制限による原材料の高騰を受け、全国農業協同組合連合会(JA全農)は6月以降に販売する肥料の大幅な値上げを発表。農繁期を迎えている兵庫県美方郡の農家は経営への打撃を懸念し、補助金など行政による支援を求めている。
 JA全農によると、肥料の主な原料となるリン酸の価格を2020年1月の水準と比べた場合、22年3月は4・3倍と急騰。このほか尿素は3・8倍、塩化カリウムは2・6倍に上昇した。この影響で6月以降は肥料の販売価格を最大94%値上げ。今後も肥料価格のさらなる値上げを想定しているという。(後略)』

 日本の肥料の原料は、ほぼ100%輸入。さらには、ロシア産依存が高かったため、こうなるに決まっています。


 コメの価格が低迷していることも相まって、今回の戦争による肥料価格高騰は、確実に離農を増やします。またもや、食料自給率は下がる。


 怖いのは、すでに日本は「食料危機」の段階に入っているにも関わらず、政治家に危機感が見られない点です。何しろ、先日、自民党が成立させた経済安全保障法には、対象分野に「食料」が入っていないのです。


 もっとも、これから始まる(というか、始まった)食料危機は、特に低所得者層の生活を直撃し、「国の助け」を求める政治的な声は否応なしに高まるでしょう。当然、農家も悲鳴を上げます。


 食料危機に対応する議論が始まった際に、「本質的な問題」について理解が進むと良いのですが。食料に限らず、「3層」という大切な分野について、むやみやたらと民営化、自由化、規制緩和、自由貿易を進めた結果、現在の危機が引き起こされている。


 今後の日本は、安全保障を確立するために「政府の規制を強化しなければならない」という当たり前の事実を国民が共有しなければならないのです。

 

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