坂本貴志『統計で考える働き方の未来』

 リクルートワークス研究所研究員の坂本貴志さんから、ご著書『統計で考える働き方の未来-高齢者が働き続ける国へ』をご恵投いただきました。ありがとうございます。手違いで受領に手間取ってしまい、お礼が遅くなり申し訳ありません。

 少子高齢化・人口減少が進むわが国において、将来の働き方がどのようになるのかを、さまざまな公開統計を活用して説得的に描き出した本です。政府が言うような明るい未来でもなければ一部の論者の言い立てる暗い未来でもなく、データに基づいた「等身大の日本の未来」とでも言うべき、「高齢者が働き続ける国」という将来予測が示されています。高齢者の将来の働き方として、ある時点(典型的には定年)からはそれまでのような重責で多忙な働き方をあきらめ、社会でニーズのある現業労働に従事して長く働き続け、ほどほどの収入を得ることで年金とあわせた生計費を確保することを提示し、それを受容することでそれなりに満足度の高い生活が送れるだろうという提案です。過去に活躍していた人ほどその受容は難しいものでしょうが、しかし年齢を重ねて能力もピークを超えれば、それはまさにサンクコストであって、忘れてしまうのがいいのかもしれません。仕事が生きがいとか、就労意欲が高いとかいう人には難しいのでしょうが…。いっぽう、テレワークなどで他人とともに働かなくてすむことは、そうした受容を促進する要因になるかもしれません。