- 本文の内容
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- 世界感染者数 感染者数が累計7000万人超
- 米感染者数 1日あたり新規感染者数アメリカで約20万人
- 新型コロナワクチン ワクチン「接種する」が米で64%
- イギリス情勢 米ファイザーのワクチン接種開始
スペイン風邪を参考にして、今後の状況を予測する
米ジョンズ・ホプキンス大学の集計によると、11日、世界の新型コロナウイルス感染者数が累計で7000万人を超えたことが明らかになりました。
11月25日に6000万人を超えてから2週間あまりで約1000万人増加しており、世界の死者数は159万人と米国を中心に感染拡大が続いている現状です。
現状をどのように捉えるべきか?今後、世界がどのような混乱に陥る可能性があるのか?という点では、私はこれまでにも何度か指摘していますが、100年前のスペイン風邪が参考になると思います。
諸説ありますが、スペイン風邪では推計で、5億人が感染し、死者数は4000万人とも5000万人とも考えられています。
それに比べると現状の感染者数7000万人、死者数159万人というのはまだ少ないと言えます。
すなわち、新型コロナウイルス感染拡大によって、まだまだこれから状況が悪くなる可能性があると認識しておくべきでしょう。
世界各国の感染者数について、米国では1600万人を突破し、相変わらず世界でトップになっており、続いてインド、ブラジル、ロシア、フランスとなっています。
日本は、感染者数17万人、死者数が2500人というレベルで、世界的に見ると非常に低い水準です。
死亡率で見ても、ドイツと日本が非常に低い割合になっています。
日本は最低でも今の3倍の重症化施設をすぐに作るべき
米国で4日、新型コロナウイルスの新規感染が10万件以上報告され、1日あたりの最多を更新したと発表されました。
ICU利用者数も2万人を超えているとのことです。
米国の感染者数は1600万人を突破し、この1ヶ月で5割も増加しています。
各州が独自に色々な施策を打っているため、全体として統制がとれていない状況でしょう。
また、連邦政府のトップに君臨していたトランプ大統領が、新型コロナウイルスを軽視する態度を示してきた結果とも言えると思います。
こうした米国の状況を考えると、重症者数が500人を超えたぐらいで「限界が近い」などと騒いでいる日本は全く話になりません。
500人で重症者施設の5割を占めているということですから、日本の重症者施設の許容量は全体で1000人ということです。
日本は少なくとも3000人分レベルの重症者施設を作るべきです。
1チームあたり5人以上が必要だと言われていますから、1000人程度で滞っているのは政府の怠慢でしかないと私は思います。
訳のわからないキャンペーンにお金を使う前に、重症者施設を整備するためにこそ、お金を使うべきです。
ワクチン接種して安心できる状況になるのは、まだまだ先が遠い
フランスの調査会社イプソスが行った世論調査の結果によると、米国でワクチンが利用可能になったら接種すると回答した人は64%に留まり、残りの約40%は接種しないと答えたことがわかりました。
その理由は「臨床試験の進行が早すぎる」が最多の38%で、「副作用が心配」が24%だったとのことです。
ワクチン認可までの大急ぎぶりを見ていると、ワクチンを接種する最初の10~20万人が実質的にフェーズ3の代わりになると私は感じます。
フランスではワクチン接種を希望する人が半分に満たないとのことですが、実はこれでは意味がありません。
感染者とワクチン接種者含めて、全体の6~7割程度の人が免疫を保有しなければ、集団免疫を獲得することにならないからです。
感染者数が米国に次いで多いインドやブラジルでは、7割以上の人が接種を希望していますが、これらの国の場合には国民各自がワクチンを接種するお金があるかどうか、という別の問題があります。
感染してしまった時にきちんとした医療処置を受けられるかどうかというのも定かではないという現状でしょうから、多くの国民が不安を感じていると思います。
一方、接種拒否の主な理由は、「承認が早すぎる」というものです。
これは、誰が見てもそう思うところでしょう。
だからといって、米国のワクチンに不安を感じつつも、ロシアで開発したというスプートニクVや、中国製のワクチンも安心できるとは言い難いところです。
とにかく、一刻も早く症例を増やして安全で安心できるようにしてほしいと思います。
米ファイザーのワクチン接種でアレルギー反応も
英国で8日、米ファイザーと独ビオンテックが開発した新型コロナウイルスワクチンの接種が始まり、ワクチンを接種した人のうち2人にアレルギー反応が現れました。
どちらも医療従事者ということで、現在は2人とも無事回復したとのことです。
発疹や息切れ、時には血圧の低下を伴う傾向があるアナフィラキシー反応のような症状がみられたとのことです。
アナフィラキシーショックは、アレルゲンなどが体内に入ることによって発症しますが、サバや蕎麦など比較的身近なものでもアレルゲンになることもあります。
実は私もアナフィラキシーショックを起こしたことがあります。
以前、全身麻酔の手術を受けた時です。
麻酔に含まれていた溶剤が原因だったとのことで、一時は生死の境目をさまよいました。
今回のワクチンでアナフィラキシーショックを起こしたというニュースを聞いて、私自身も背筋が寒くなりました。
私は少なくとも今回のファイザー社のワクチンは接種できないと思っています。
ただ、アナフィラキシーショックを経験した人は、必ず自分のアレルゲンを把握していますから、気をつけていれば大丈夫でしょう。
私は、念のために自分のアレルギーについて英語と日本語で説明した紙を財布の中に入れて常に携帯しています。
万が一、自分が意識を失っていたとしても、それを見てもらえれば適切な処置をしてもらえるはずです。
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※この記事は12月13日にBBTchで放映された大前研一ライブの内容を一部抜粋し編集しています
今週の大前の視点を読み、皆さんはどうお考えになりましたか?
今週は世界感染者数のニュースを大前が解説しました。
大前は「100年前に流行したスペイン風邪の事例は、流行後の大混乱も含め参考に出来る」と述べています。
過去の事例を参考にすることによって、さらなるリスクの回避やアイデアの創出に役立てることが出来ます。
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