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『全ての国民を救えるんだ(前半)』三橋貴明 AJER2020.5.5

 

 

 

令和の政策ピボット呼びかけ人に、高橋あさみ様(私立Z学園高等学校 1年4組 16歳)が加わって下さいました。

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三橋TV第234回【財政破綻論者の断末魔 三つのパターンを完全撃破!】

https://youtu.be/DdqKjNat7Yg

 

 時局2020年6月号に、連載「三橋貴明の経世論 第39回 第二次世界恐慌」が掲載されました。

 
 わたくしは「経済力」について明確に定義しておりまして、「財(モノ)やサービスを生産する力」でございます。つまりは、供給能力、潜在GDPこそが「経済力」なのです。

 我々が必要とする財やサービスについて、いつ、いかなる時でも、「国内の生産者」が生産し、供給することが可能である。「いつ、いかなる時も」とは、もちろん戦争や疫病蔓延時もです。
 
 無論、平時において何でもかんでも「100%自給を追求せよ」と言いたいわけではありませんよ。とはいえ、例えば食料、エネルギー、医療、軍事といった安全保障の中核分野については、100%自給を目指さなければなりません。何しろ、この種の分野についての「生産」をおろそかにすると、非常時に国民が死ぬのです。

 政府は、厳密には主権通貨国の政府は、「財政破綻」など気にせずに、安全保障を中心とした分野に「貨幣」をつぎ込み、需要を拡大することで、供給能力の引き上げを目指さなければなりません。何しろ、カネの問題はないのでです。

 供給能力の引き上げのためには、四つの投資(公共投資、設備投資、人材投資、技術投資)が必要です。しかも、短期間では引き上げられません。

 長期に渡る投資の蓄積により、供給能力を高めていく。政府は必要があれば「貨幣発行(国債発行)」で需要を創出する必要がある。

 無論、需要は民間も拡大しますが、少なくとも「安全保障関連」の場合、何しろ「短期の利益」にならないため、民間が率先して需要拡大(要は支出)に努めることはありません。というわけで、政府の支出が必要なのです。

 ちなみに、先ほどから「需要」と言っているのは、民間の消費、投資、政府の消費、投資。つまりは、純輸出を除いたGDPのことです。

 さて、民間が投資を拡大するには、「利益」というインセンティブが必要です。そして、利益が生じやすいのは、適切なインフレ率の下で需要(市場)が拡大している時期です。

 インフレ期には企業が負債を増やしても、返済負担が年々下がっていきます。さらには、目の前の市場が拡大しているわけで、「投資すれば儲かる」ことになり、企業は率先してリスクを採り、投資を拡大します。

 もちろん、政府も投資を拡大する必要があります。特に、「短期の利益にならない分野」には、企業はなかなか投資できません。グローバリズムが蔓延し、株主から「短期の利益拡大」を求められ、さらにデフレで需要が縮小し、通貨価値が上がる(=負債の実質的価値が上がる)時期にはなおさらです。

 ところが、グローバリズムが蔓延した我が国では、政府までもが「技術投資」について「短期の利益を求める」という最悪の路線を採りました。

 緊縮財政の下で、政府は学術者に対し「短期の利益」「研究費用の自己調達」などを求め、日本の科学力はひたすら低下していく結果となりました。
 
【2000年を1とした各国通貨による科学技術予算の指数(名目値)】
 
 日本の科学技術予算は、2000年と比較し、何と1.2。ほぼ、増えていません。

 アメリカ、ドイツ、イギリスなどは、予算を二倍近くに拡大しています。ちなみに、グラフに入れてしまうと解り難くなるため外しましたが、韓国は5.2、中国は実に14.6です。

 日本並みに科学技術予算を増やさなかったのはフランスだけですが、まあ、フランスは「自分で支出しなくても、EUの技術力を活用すればいいや」と、計算していたのかも知れません。
 
 我が国の場合は、自国以外に頼れるリソースは皆無であるにも関わらず、ひたすら緊縮財政

 

【歴史音声コンテンツ 経世史論】

http://keiseiron-kenkyujo.jp/apply/
※ノンフィクション作家「河添恵子」先生との対談「歴史から学ぶ中国と中国人の本質」が視聴可能となりました。

 

 そもそも、
「成果がいつ出るか、あるいは「出るか否か」が分からないからこそ、カネの問題がない政府が支出(投資)する」
 のが科学技術予算のはずなのですが、日本政府は、
「短期の利益が出せないなら、分野を削れ。それでも研究を続けたいならば、学者が自ら資金を企業などから調達せよ」
 という、頭のおかしい「改革」が進められました。

 結果が、これですよ。
 
研究力ランキング、日本勢初のトップ10陥落…中国勢が躍進
 英科学誌ネイチャーは、主要科学誌に2019年に掲載された論文数などにもとづく研究機関の研究力ランキングをまとめた。日本勢は東京大の11位が最高で、ランク付けを始めた16年以降、初めてトップ10から陥落した。
 ランキングは、自然科学系の82雑誌で発表された論文への貢献度を、研究機関別に調べた。その結果、50位以内に入った日本勢は11位の東京大(前年8位)、37位の京都大(同29位)だけだった。1位は5年連続で中国科学院だった。中国勢は今回、新たに2機関がトップ10にランク入りするなど、躍進が目立った。
 また、国別のランキングでは、日本は米国、中国、ドイツ、英国に続く5位。16年以降、上位7か国の順位に変動はないが、論文貢献度は今回、中国が前年比で15・4%増と急上昇した一方、日本は5・1%減だった。(後略)』
 
 日本は5.1%減だった・・・・。まさに、衰退国。

 経済力を強化する四投資の内、技術投資はまさに「基盤中の基盤」です。技術がなければ、交通インフラも工場も建設できず、人材育成も不可能です。技術投資こそが、公共投資、設備投資、人材投資の下部構造、つまりは投資のインフラストラクチャーなのです。

 発展途上国が「発展途上国」なのは、ヒトがいないためでも、カネがないためでもなく、技術投資を中心とする投資蓄積が不十分であるためです。

 その要の技術について、政府が発行するだけで話が終わる「カネ」を理由に削減し、我が国はひたすら衰退途上国として坂を転がり落ちてきました。

 もう、いい加減にしましょう。

 全ては緊縮財政を「扇の要」とした、構造改革、グローバリズムといった政策の必然なのです。

 今回のコロナ危機を切っ掛けに、緊縮財政路線の愚かさが国民に広まりつつあります。緊縮財政路線は、衰退国化であるエビデンスの一つが、本日取り上げた「研究力ランキング」になります。

 緊縮財政が、日本を技術大国から転落させた。この事実もまた、緊縮財政からのピボット(転換)に際し、強力な武器になります。

 結局、財務省や安倍政権など、緊縮財政至上主義者を叩きのめすのは、「現実」なのです。問題は、現実が彼らを潰すまで、日本が亡国に至らずに済むかどうか、でございます。

 急がなければなりません。日本を技術大国から転落させた、緊縮財政に終止符を!

 

「日本を技術大国から転落させた緊縮財政に終止符を!」に、ご賛同下さる方は、

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