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9月18日(日) 『日刊ゲンダイ』に掲載されたコメント [コメント]

〔以下のコメントは『日刊ゲンダイ』9月18日付に掲載されたものです。〕

*巻頭特集「ついに「岸田辞めろ」ツイート 国葬が世紀の赤っ恥になる恐れ」

国民の分断を招いてでもメンツや保身を優先

 「何事も検討して先送りばかりの岸田首相が、珍しく素早く決断した国葬が支持率下落の要因になったのは皮肉ですが、そもそもの発端が党内の安倍派や岩盤支持層をつなぎ留めるためであったり、弔問外交で点数を稼ぐというヨコシマな発想から来ているから、こういうことになる。すでに世界各国に通知して出席者が決まりつつある以上、今さら中止にはできないという現実も重くのしかかっています。こういうタイミングで英国のエリザベス女王が亡くなり、19日に国葬が執り行われることになった。安倍氏の国葬より後に決まったのに、日本には来ない米国のバイデン大統領も参列するなど、各国の国家元首クラスが勢ぞろいしますから、彼我の差を見せつけられることになる。二階元幹事長が言うように『やってよかった』とは、決してならないでしょう。エリザベス女王の国葬の1週間後では、よりどころだった弔問外交も成果などない。ますます法的根拠や正当性が問われかねません。国葬直後の10月初旬からは臨時国会も始まり、岸田首相は真正面から追及を受けることになる。戦国時代の武将ではなく平時の公家タイプの岸田首相に乗り切る力量や胆力があるでしょうか」(法大名誉教授の五十嵐仁氏=政治学)

 各国元首が参列するエリザベス女王の国葬は、所要約1時間を予定しているというが、安倍の国葬は5時間にも及ぶ。その間、給水所の水しか飲めず、途中退席もできない。海外からの要人もそうだから、なんだか申し訳ないような気持ちになってくる。こんな国葬を強行して、誰が喜ぶのだろうか。

 7月8日に安倍が凶弾に倒れ、わずか6日後の7月14日に岸田が国葬の実施を発表。その後、国会の議論もないまま閣議決定だけで実施を決めてしまったのだが、この2カ月の間に撤回する機会はあったはずだ。

 そうでなくても、国葬と言うからには国民の代表である国会の議決を得るとか、少なくとも三権の長の了承を取り付ける必要はあっただろう。閣議決定だけで決めた国葬なんて、実態は政府葬か内閣葬でしかない。それは、「多大な功績を残した」安倍に対しても失礼じゃないのか?

 「いったん閣議決定を撤回して、国会で議決することからやり直せば体裁は保てたかもしれません。国会は自公与党が多数派なのだから、やろうと思えばできたはずです。そうはせず、閉会中審査に出席して通り一遍の説明をすればOKと考えていたとすれば、あまりに見通しが甘いし、閣議決定で何でも決められるというおごりがあったと言わざるを得ない。第2次安倍政権からの悪しき前例を踏襲したことが、つまずきの原因となった。閣議決定で何でも決める強権手法だけでなく、急激な円安による物価高はアベノミクスの副作用だし、統一教会の問題も安倍元首相の置き土産で、ここへきて岸田首相はことごとく安倍元首相の負の遺産に苦しめられている。それもこれも、政権維持のために党内政治を優先して、安倍シンパにおもねってきたせいです。民意に対して自慢の『聞く力』を発揮すれば、ここまで窮地に陥ることもなかったでしょう」(五十嵐仁氏=前出)

 今から国葬を中止するのは大変なことだが、それは「一時の恥」で終わる。このまま突っ込めば、世紀の赤っ恥で、未来永劫語り継がれることになる。そんな目に遭わされる安倍がかわいそうだ。

 もちろん、国葬を決めた岸田本人は自業自得で、支持率下落で危険水域に突入という民意の「辞めろ」コールを突きつけられることになる。



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